ハードウェアエンコーディングに悩む方が知っておきたい5項目

この記事は2024年4月に更新しました。また記事にはプロモーションが含まれています。

 

動画編集の書き出しに
ハードウェアエンコーディングを
選んだほうが良いの?

 

動画編集の数をこなすようになると必ず不満に思うことが

 

「動画の書き出し時間ってもっと短くできないの?」

 

という点でしょう。

 

例えばAdobeの動画編集ソフト Premiere Proではハードウェアエンコーディングという設定があり、書き出し時間を大幅に短縮できる機能があります。

 

ハードウェアエンコーディングはパソコンに搭載されているグラフィックカードを使って動画を書き出しする方法です。

 

動画編集界隈ではハードウェアエンコーディングについて様々な意見があります。

 

 

ハードウェアエンコーディングは賛否両論があるみたいですね

 

ここでは

 

この記事で解説する事

 

✅ソフトウェアエンコーディングとハードウェアエンコーディングの違い
✅ハードウェアエンコーディングのメリット・デメリット
✅Premiere Proによるハードウェアエンコーディングのやり方
✅ハードウェアエンコーディングができないときの解決方法
✅RTX 2070 SUPERでハードウェアエンコーディングした動画の画質検証

 

について解説します。

 

動画の書き出しやハードウェアエンコーディングについて悩んでいる方はぜひ読んでみてください。

 

記事監修者

ビデオグラファー 動画編集者 おーとふぉーかす

2018年からBTOパソコンを使った動画編集の検証を実施し、これまで年間20台以上 累計100台以上のパソコンレビュー記事を執筆しました。PC通販サイトとコラボで動画編集用のパソコンの企画・販売や当サイト限定クーポンの配布を行っています

ハードウェアエンコーディングとは?

 

動画編集においてハードウェアエンコーディングとは何なのか?まず解説します。

 

ハードウェアエンコーディングは動画の書き出し時に、パソコンに搭載されているグラフィックカードの機能を活用してエンコーディングする方法です。

 

このためグラフィックカードを搭載していないパソコンではハードウェアエンコーディングが出来ない場合があります。

 

ハードウェアエンコーディングが使用できる環境については動画編集ソフトによって微妙に異なっており、それぞれ使用環境を確認する必要があります。

 

 

これに対してグラフィックカードの支援を得ずに動画を書き出しする方法がソフトウェアエンコーディングです。

 

グラフィックカードを搭載していないパソコンや、ハードウェアエンコーディングに対応していないCPUを使った動画書き出しは基本的にソフトウェアエンコーディングになります。

 

その他にも重要なキーワードについて念のため解説しておきます。

 

GPU

 

内蔵GPUとQSVを装備したインテルCore i9-9900K

 

GPUは、画像処理専門の計算処理を行うチップのことを言います。

 

GPUを搭載した基盤と冷却ファンが一体となったパーツがグラフィックカードで、グラフィックカードをGPUと呼ぶ場合があるのはこの理由です。

 

GPUチップはグラフィックカードだけでなく、CPUやマザーボードに内蔵されていることもあります。

 

このようなGPUは内蔵GPUやオンボードグラフィックと呼ばれ、グラフィックカードと分けて考えています。

 

ちなみにインテルCPUにはGPUを内蔵した製品が多いのですが、AMDのCPUにはGPUを内蔵していない製品が多いです。

 

追記

AMD Ryzen 7XXXシリーズ(Zen4)から内蔵GPU(Radeon グラフィックス)を搭載したCPUが主流となっています。

 

QSV(インテル・クイックシンク・ビデオ)

 

Core i9-9900Kの仕様

 

クイック シンク ビデオとは、第2世代インテル Core プロセッサー以降の内蔵 GPU に搭載されている、画像処理用のハードウェア・アクセラレーターです。

 

引用元:クイック シンク ビデオを有効にする方法|ドスパラ

インテルの一部のCPU(主にGPU内蔵のCPU)に搭載されている機能で、QSV対応のCPUを搭載しているパソコンはグラフィックカードがなくてもハードウェアエンコーディングができます。

 

QSVによるハードウェアエンコーディングはパソコンのマザーボードにある映像出力端子を使用することになります。

動画編集ソフトのEDIUS X ProではQSVを使ったハードウェアエンコーディングに対応しています。

 

QSV対応CPU搭載パソコンを使って動画の書き出しを行う場合は、書き出し設定でハードウェアエンコードを選べます。

 

またグラフィックカード搭載のパソコンでQSVを使用する場合はBIOSの設定が必要になります。

 

BIOSの設定に慣れていない方はQSVを使わずにグラフィックカードのハードウェアエンコーディングを使用するか、ソフトウェアエンコーディングを使用するのが無難です。

 

ソフトウェアエンコーディングとハードウェアエンコーディングの違い

グラフィックカードを搭載したデスクトップパソコン

 

一般的に動画編集用のパソコンはグラフィックカードが必須と考えられています。

 

なので、これを読んでおられる多くの方がソフトウェアエンコーディングとハードウェアエンコーディングを選ぶことができ、その上でどちらが良いのか迷われていると思います。

 

まずはハードウェアエンコーディングのメリット・デメリットを解説します。

 

ハードウェアエンコーディングのメリット・デメリット

 

ハードウェアエンコーディングのメリットは書き出し時間を大幅に短縮できる点です。

 

ソフトウェアエンコーディングの半分以下の時間で書き出すことが可能です。(グラフィックカードによっては1/3以下)

 

デメリットはソフトウェアエンコーディング時と比較して画質がやや粗くなると考えられています。

 

ハードウェアエンコーディングのメリット・デメリット

メリット:書き出し時間を大幅に短縮できる

 

デメリット:ソフトウェアエンコーディングよりも画質が落ちる

 

私もこれまでは画質を重視してハードウェアエンコーディングを使用することはほとんどありませんでした。

 

GeForce RTX 2060 SUPER

 

しかし、ここ最近人気のグラフィックカード(特にGeForce RTXシリーズ)は描画性能が非常に高いと言われています。

 

それならば画質劣化はほとんど起きないないかも..

 

と考えるようになり、新しいパソコンを買ったときには検証しようと思っていました。

 

GeForce RTX 2070 SUPER搭載のハイエンドパソコンを借りる機会ができたので、早速ハードウェアエンコーディングを検証してみようと思います。

 

 

Premiere Proによるハードウェアエンコーディングのやり方

それでは早速AdobeのPremiere Proでハードウェアエンコーディングをやってみましょう。

 

ハードウェアエンコーディングはPremiere Proの書き出し設定でH.264またはH.265を選択すると実行できるようになっています。

 

Premiere Pro のプロジェクト設定画面

 

Premiere Proでは新規でプロジェクトを作成する際に「ビデオレンダリングおよび再生」でレンダラーに「Mercury Playback Engine-GPU 高速処理(CUDA)」を選ぶ項目があります。

 

これを選ぶことで動画編集中にGPUを活用することとなります。ただしこの設定はハードウェアエンコーディングではありません。

 

 

これ間違いやすい点かもしれませんね

 

Premiere Proの書き出し設定

 

ハードウェアエンコーディングはPremiere Proの書き出しで選択する必要があります。

 

書き出し設定をH.264、またはH.265でビデオタブからエンコード設定のパフォーマンスを確認します。

 

Premiere Proのエンコード設定

 

この選択項目でパソコンがハードウェアエンコーディングに対応できる性能を持っている場合、ソフトウェアエンコーディングとハードウェアエンコーディングを選択することができます。

ハードウェアエンコーディングができないときの解決方法

ハードウェアエンコーディング非対応のパソコン

 

例えば私が使っているAMDのRyzen1800X搭載パソコンではハードウェアエンコーディングに対応していません。
ソフトウェアエンコーディングが選ばれ、グレーアウトしています。

 

GeForce GTX 1080 Tiを搭載しているのですが、ハードウェアエンコーディングが出来ません。無念。

 

NVIDIA公式サイトでStudioドライバーをダウンロード

 

また、まれにハードウェアエンコーディングに対応できるCPUやグラフィックカードを備えていても、ハードウェアエンコーディングを選ぼうとするとエラーが生じる時があります。

 

そんな時はNVIDIAの公式HPでグラフィックカードの最新ドライバをダウンロードしてパソコンにインストールしてみてください。

 

 

正しいビデオカードを選択する

 

この時間違ったドライバーをダウンロードしないように注意してください。

 

製品シリーズを選ぶ時にはノート用とデスクトップ用に分かれています。

 

Studioドライバーを選択

 

またダウンロードタイプはゲーム用のGame ReadyドライバーとStudioドライバーがあります。

 

動画編集ではStudioドライバーが良いです。

 

検証で使ったパソコン(RTX 2070 SUPER)では最初にエラーが出ましたが、ドライバー(Studioドライバー)を更新することで問題なくハードウェアエンコーディングを使用することができました。

 

調べているとPremiere Proのハードウェアエンコーディングがグレー表示になって選択出来ない方がおられるみたいなので解決法を提示しておきます。

 

Adobe公式HPの情報を引用
ハードウェアエンコーディングのオプションを使用できません。なぜですか?
この機能を使用するには、Intel® CPU と Intel® Quick Sync のサポートが必要です。ご使用の Intel® CPU がハードウェアエンコーディングの要件を満たしていることを確認します。システムの BIOS で Intel® GPU の有効化/無効化がサポートされている場合、ハードウェアエンコーディングが機能するように、この設定を常に有効にする必要があります。Surface Studio など、一部のシステムでは Intel® GPU を有効にできないため、ハードウェアエンコーディングのオプションがグレー表示になります。

 

サポート対象の Intel® CPU で Intel® GPU が有効になっているにも関わらずハードウェアエンコーディングを利用できない場合は、Intel® GPU がタスクマネージャーの「パフォーマンス」タブに表示されていることを確認してください(Windows® の場合のみ)。Intel® GPU が表示されていない場合は、デバイスマネージャーでこの GPU が有効になっているかどうか確認します。さらに、Intel® グラフィックドライバーを最新バージョンに更新します。

ハードウェアアクセラレーションによるエンコード/デコード|Adobe

この他の解決策はまず

 

✅ハードウェアエンコーディングに対応しているパソコンなのか調べる。

 

✅次にグラフィックカードのドライバーを更新。

 

✅Premiere ProではH.264、H.265のみでそれ以外で出力しようとしていないか確認。

 

✅Premiere Proを最新バージョンにアップグレードする。

 

✅グラボ非搭載の場合はIntel Quick SyncをBIOSで有効化する。(自己責任)

 

以上をまず試してみてください。

RTX 2070 SUPERでハードウェアエンコーディングした動画の画質検証

それでは早速ハードウェアエンコーディングで書き出ししてみます。

 

結論から先にいうとメチャクチャな速さで書き出しが完了しました。

 

試しで書き出しした動画は過去に制作したYouTube用の動画「失敗しない動画編集向け【ノートパソコン】の選び方」です。

 

約13分の動画で、使用している主な動画素材は4K ProRes422となっています。

 

FHD書き出し設定 VBR 1パス ターゲットビットレート10Mbps 最大ビットレート12Mbps

 

書き出し設定はH.264でVBR 1パス ターゲットビットレート10Mbps 最大ビットレート12Mbpsに設定しています。

 

 

私は自分のYouTube向け動画はいつもこの設定で書き出ししています

 

ソフトウェアエンコーディング 写真拡大
ハードウェアエンコーディング 写真拡大

 

ソフトウェアエンコーディングで書き出しすると6分9秒かかるところ、ハードウェアエンコーディングで書き出した場合4分8秒で終了しました。

 

ソフトウェアエンコーディング時のCPU使用率 画像拡大
ハードウェアエンコーディング時のCPU使用率 画像拡大

 

ソフトウェアエンコーディングではCPUの使用率が100%となり、一方GPUの使用率は20%前後に止まります。

 

ソフトウェアエンコーディング時でもグラフィックカードが多少活用されているのがよく分かります。

 

一方、ハードウェアエンコーディングの場合、CPUの使用率が60%前後まで下がり、それに対してGPUの使用率が50%近くまで上昇しました。

 

ハードウェアエンコーディングではソフトウェアエンコーディングよりもGPU(グラフィックカード)がCPUの支援をより多く行っているのが分かります。

 

Core i9-9900K+RTX 2070 SUPERでエンコーディング比較
ソフトウェアエンコーディングで書き出し 6分09秒
ハードウェアエンコーディングで書き出し 4分08秒

 

1/3以上の時間短縮となりましたよ。

 

では肝心の画質の方を確認してみましょう。

 

部分的に書き出ししてそれぞれVimeoにアップしてみました。

 

書き出し比較 VBR 1パス ビットレート10Mbps

 

YouTubeには書き出しした動画を比較できるよう動画を作成してアップしてみたので確認してみてください。

 

では次にビットレートを上げて書き出ししてみます。

 

書き出し比較 VBR 1パス ビットレート50Mbps

 

こんな感じです。

 

個人的な感想ですが、画質に大きな差を感じませんでした。

 

画質の粗さが許容範囲内であればハードウェアエンコーディングを利用しても良さそうですね。

ハードウェアエンコーディングに悩む方が知っておきたい5項目 まとめ

こんな感じです!

 

ハードウェアエンコーディングは性能の良いグラフィックカードを搭載したパソコンで、CPUも対応していなければ実行できません。

 

また編集ソフトによっては対応していない場合があります。

 

Premiere Proでハードウェアエンコーディングが出来ない場合は、最新版のPremiere Proに更新、ドライバーの更新やIntel Quick SyncをBIOSで有効化するなど自己責任で行ってみてください。

 

ハードウェアエンコーディングで書き出し時間は劇的に速くなります。

 

納品用のファイルをハードウェアエンコーディングするかどうかはじっくり考えるとして、テストで書き出しする場合はハードウェアエンコーディングをフル活用しようと思っています。

 

性能の良いグラフィックカードをパソコンに搭載している方はぜひ試してみて下さい!