30May
カラーグレーディングにはまず撮影した映像を正しい色にするプライマリーグレーディングと呼ばれる工程があります。
プライマリーグレーディングでは映像全体のトーンを整える作業となりますが、少人数または一人でグレーディングを行いたい場合はこの作業を効率よく完了したいはずです。
今後は低予算の映像制作や、個人制作の動画でもカラーグレーディングを利用する機会が増えていくので、スピーディなカラーグレーディングを知っておいて損はありません。
ここでは便利なカラーグレーディング・動画編集ソフト DaVinci Resolveに備わっているカラーグレーディングを最短でやる手順を解説します。
この動画ではDaVinci Resolveによるプライマリーグレーディングについて詳しく解説してくれています。
動画前半ではDaVinci Resolveのオートモードによってスピーディにカラーグレーディングする方法が述べられ、3分40秒以降ではカーブを使った本格的なグレーディングも解説されています。
DaVinci Resolveの初心者さんはぜひ視聴してみましょう。
目次
DaVinci Resolveでプライマリーグレーディングを最短でやる方法
カラーグレーディングは撮影素材によって作業が変わります。
RAWやLogで撮影できるカメラを持っている方はなるべくRAW・Logに設定して撮影を行いましょう。
まずはRAW・Logで撮影した映像を使って、DaVinci Resolveでカラーグレーディングを進めていく手順を解説します。
RAW・Logで撮影できない方はこの項目は読み飛ばしてください。
RAW・Logで撮影した素材に対してまずやるべきコト
RAW・Logで撮影した素材はまずLUT(Look up table)を当てる作業を行います。
DaVinci Resolveにはブラックマジックデザインやソニー、ArriなどRAWやLogで撮影できるカメラのLUTが標準で備わっています。
なのでまずはカメラに適合するLUTを当ててみましょう。
今回サンプルで撮影した素材はソニーα7SⅡで撮影しましたので、LUTは「Sony SLog3 to REC709」を当ててみましょう。
DaVinci Resolveのエディットページのタイムライン上にカラーグレーディングを施したいクリップを並べます
参考:DaVinci Resolveのタイムライン作成で知っておきたいコト
次にカラーページに移り、クリップを選択します。
クリップのノードを確認します。
ノードはphotoshopのレイヤーみたいなものですね。
選択したクリップのノードの上にカーソルを合わせて右クリック 「1D入力 LUT」→「Sony SLog3 to REC709」を選択します。
α7SⅡで撮影したSLog3の映像はそのままだと「眠い色」になっていますが、LUTを当てることで本来の色を引き出すことができます。
LUTを当てただけでも十分見れる映像になっていますが、ここではもう少し補正するところまでやってみましょう。
またLUTを最速で適応するには「DaVinci ResolveでLUTを全クリップに一瞬で適用する方法」を合わせて読んでください。
DaVinci Resolveのオート機能で色補正する
RAWやLogで撮影できない一般的なカメラで撮影したクリップを使う場合はこの段落以降から参考にしてください。
DaVinci Resolveではカラーページを利用してカラーグレーディングを行いますが、ここでは最も簡単な色補正を紹介しましょう。
DaVinci Resolveの色補正にはオートモードが用意されており、DaVinci Resolveが自動で色補正をしてくれます。
まずは補正したいクリップのノードを選択します。
LogのクリップにLUTを当てている場合はLUTを当てたノードを選択します。
そしてカラーホイールの左下の「A」をクリックします。
クリップの色が補正されました。
これはDaVinci Resolveの自動色補正機能です。
ややコントラストが強めに出る傾向がありますが、このオート機能でDaVinci Resolveが自動的に色を補正してくれるのでとても便利です。
DaVinci Resolveで輝度の調整とRGB(色)の調整を行う
オート補正でプライマリーグレーディングを完了しても良いのですが、ここではさらに好みのトーンに調整するときに効率が良い方法を解説します。
自動補正したクリップをさらに細かくグレーディングする場合、先ほど自動補正したノードとは別のノードを追加して行います。
同一のノードで全てのグレーディングを行ってしまうと、後々のやり直しや部分修正に対応できない場合があります。
ノードを別にすることで修正がやりやすくなります。
ノードの追加は右クリック→「ノードを追加」→「シリアルノードを追加」で行います。
ノードの種類は「DaVinci Resolveのノードエディタがカラリストにとって重要な理由」を参考にしてください。
追加したノードにカラーグレーディングを行います。
DaVinci Resolveのプライマリーバーが超便利!
今回はカラーホイールのプライマリーバーを使ってカンタンかつ素早くグレーディングする方法となります。
カラーホイールの右上のメニューからプライマリーバーを選びます。
するとカラーホイールがプライマリーバーに変更されます。
それでは早速、プライマリーバーを使って色調整をしてみましょう。
プライマリーバーにはカラーホイールと同様にリフト・ガンマ・ゲイン・オフセットがあります。
今回は映像のホワイトポイント(明部)を調整してみましょう。
明部を調整するときはゲインのメーターを触ります。
ゲインにはYRGBのメーターがあり、それぞれメーターをマウスで上下することができます。
R:赤
G:緑
B:青
ゲインのマスターホイールで調整するとYRGBすべてがリンクして調整されますが、メーターをひとつづつ触るとY・R・G・Bそれぞれひとつづつ調整することが可能です。
マウスでドラッグすればメーターが動きます。
また、変更してから元に戻したい場合は数値をダブルクリックすることで初期値に戻ります。
たとえば、この映像では空が白とびしていますので、ゲインで輝度を落としてみましょう。
ゲインのYを下げてみると白とびがなくなり、空の雲が見えてきました。
このままだと空以外の部分が暗く沈んでしまっているので、ガンマ(中間部分)の輝度を上げてみましょう。
すると空以外の輝度が回復し、全体的に適切な明るさになりつつ、青空も美しく表現されています。
SLogで撮影することで広いダイナミックレンジで記録でき、白とびした映像もDaVinci Resolveのカラーグレーディングで色が鮮やかに甦ります。
空を含めた風景を撮影する場合、露出を風景と空のどちらに合わせて撮影するか迷うところですが、カラーグレーディングを行うと空・風景の色がどちらも色鮮やかになりますよ。
DaVinci Resolveで比較動画を出力してみましたのでご覧ください。
DaVinci Resolveでのファイル出力については「DaVinci Resolveで動画ファイルを出力するときに知っておきたいコト」を合わせて読んでみてください。
DaVinci Resolveでプライマリーグレーディングを最短でやる方法 まとめ
こんな感じ!
今回はLUTを当て、自動補正とカラーホイールのプライマリーバーだけでプライマリーグレーディングを行いました。
これだけの作業で最初の映像よりもかなり見れるものになったのではないでしょうか。
それでは次のセカンダリーグレーディングに進みましょう。
参考:DaVinci Resolveでセカンダリーグレーディングを始めるよ!
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