16Jan
2020年2月に更新しました。
カラーグレーディングで最適なディスプレイを見つけるには
カラーコレクション・カラーグレーディングには色を正確に表示してくれる優れたモニターディスプレイが必要です。
また、ディスプレイを正しく確認できるよう部屋をカラーコレクション用につくりかえる必要もあるでしょう。
参考:カラーコレクションの作業部屋を作るときに知っておきたいコト
このエントリーではまずカラーグレーディングに最適な環境をなるべく低予算で用意するためのモニターディスプレイの選び方と人気のディスプレイを紹介します。
3種類のディスプレイから選択する
ディスプレイはカラリストにとって最も重要な機材です。
色の判断を行い、最終的な映像の出来栄えを左右するためディスプレイ選びは入念に行う必要があります。
そしてプロが使用する業務用ディスプレイはとても高価です。
業務用のディスプレイには大きく分けて3種類があります。
液晶(LCD)ディスプレイ
液晶ディスプレイは映像モニターとして最も普及してるタイプのディスプレイです。
一般的に普及しているパソコンの液晶ディスプレイは8bit対応ですが、カラリストには10bit対応の液晶ディスプレイが望ましいです。
10bitのディスプレイはお値段が高かった時期もありますが、最近は値段が下がってきて手に入りやすくなっています。
プロの間ではEIZOがディスプレイの人気メーカーです。
EIZOの液晶モニターにはColorEdgeというシリーズがカラーグレーディングに最適のモデルとなっていて、外付けのモニタープローブやキャリブレーションソフトウェアが付属しています。
FlexScanは色調整を必要としない一般的なオフィス用の液晶モニターです。
カラーコレクション・カラーグレーディングに使用する場合はColorEdgeのシリーズを選択する必要があります。
FlexScanは価格が安いので、慌てて購入しないように気をつけましょう。
また、液晶モニターにはグレアタイプ(光沢パネル)とノングレアタイプ(非光沢パネル)があります。
部屋の照明をうまく調整して映り込みや反射を最小限にできるならグレアタイプでも問題ありません。
ノングレアタイプのほうが目も疲れにくく、一般のPCユーザーにも選択されることが多くなりました。
価格の差はそれほど大きくありませんので、これからモニターを購入するならばノングレアタイプがオススメです。
液晶ディスプレイの黒レベルとコントラストは日進月歩で改善されています。
カラーコレクションにはセルフキャリブレーションができる液晶ディスプレイを選択すれば間違いないでしょう。
プラズマディスプレイ
深い黒レベルと優れたコントラストの再現性で評価が高いのがプラズマディスプレイです。
開発当初、液晶ディスプレイよりも大画面化できることで人気が高まりましたが、液晶ディスプレイでも大画面化できるようになった昨今では人気が低迷し、国内ではプラズマ事業を最後まで継続してきたパナソニックが2013年末にプラズマ事業から撤退し、幕を下ろしました。
参考:なぜプラズマは主役になり得なかったのか?パナソニックのプラズマ撤退を検証する-マイナビニュース
プラズマディスプレイは液晶ディスプレイよりも頻繁なキャリブレーションが必要なことと、電源を入れてから30分以上経過しないと色表現が安定しないのでモニターのウォームアップが必要とされています。
有機EL(OLED)ディスプレイ
有機ELディスプレイは自己発光するためバックライトを必要とせず鮮やかな色表現が可能です。
ビデオ信号をとてもきれいに表示することができるディスプレイですが、非常に高価なことが難点として挙げられます。
一般的なテレビが液晶ディスプレイを採用していますので、同じ色表現をしない有機ELディスプレイでカラーコレクションのモニターをするのは適していないと言うカラリストの意見が多いとされています。
ちなみに有機ELディスプレイも電源を入れて30分は不安定なため準備時間が必要です。
ディスプレイ選びで注意したいコト
放送規格に準拠しているか?
映像のカラーコレクション・カラーグレーディングに使用するディスプレイは放送規格に準拠しているものであることが必須とされています。
デジタルハイビジョンの国際規格である「ITU-R BT709」では、ハイビジョンを正しく表示させるためのモニター環境の設定を「D65」、6500ケルビンに定めています。一方、日本では慣習的に「D93」、9300ケルビンを使い続けています。編集、ポスプロ、グレーディングまで何も言わないとD93で作業が行なわれるのです。D93のモニターで作業し、最終的に地上波でオンエアされるならまったく問題ありません。製作者が白のつもりで撮った色を、最終的に白と感じることができます。
しかし、Web用の映像を作る時には基本的にはD65が基本になります。また、作業を行なう環境もD65環境の可能性がある。例えばD93環境で撮影や編集を行なった映像をD65のモニターで観ると、色が転んで、全体的に赤っぽく見えて「なんだこれは」ということになる。こういった事態を避けるためには、最初から色温度に関するルールを決め、作業するモニターの色温度を変える必要があるのです。
CP+プロ向け動画セミナー 2016 一歩先を行く撮影&カラーコレクション 【モニターで気を付けたい点】から引用しています
映像方式にはPAL・NTSCがあることを聞いたことがあるかもしれません。
日本や米国の映像方式はNTSCとされ、ユーロ圏ではPAL、ロシア圏・東ヨーロッパ諸国ではSECAM、中国・アジア諸国ではNTSCとPALの両方となっています。
NTSCではITU-R BT.601という規格があり、SECAMにはBT.601 EBUと呼ぶ規格が用意されています。
業務用のディスプレイにはメニュー画面からこれらを選択することができます。
通常は工場出荷時に最適な設定がされていますので特に考える必要がありません。
しかし民生用のディスプレイではそのような設定モードがなくて、「シネマモード」という放送規格にやや近いモードがありますがあまりあてになりません。
その場合は別売りの外付けキャリブレーション機器を使うか、ソフトウェアキャリブレーションを利用する必要があります。
セルフキャリブレーションできるかどうか?
ディスプレイは工場出荷時に正しい色表現ができるよう調整されています。
この調整のことをキャリブレーションと言いますが、ディスプレイの色の再現性はディスプレイの経時劣化とともに標準から少しづつずれが生じてきます。
つまり同じ白を表示させた場合、ややオレンジがかった白が表示されたり、青みがかった白が表示されたりします。
この経時劣化を正しく調整するにはディスプレイに内蔵したキャリブレーション機能を使います。
つまり、カラーグレーディングに最適なディスプレイとは使用していくうえで欠かせないキャリブレーションを行えるかどうかにあると言えるのです。
必要な解像度を満たしているか?
出力したい映像の解像度がFullHD(フルハイビジョン)の場合、ディスプレイの解像度は1920×1080以上のものを使用する必要があります。
必要とされる解像度以下のディスプレイを使用した場合、(例:FullHDの映像を720×486のディスプレイでモニターする)正確な色の判断ができません。
現在(2020年2月時点)では4K HDRで撮影できるカメラが増えてきています。
これからカラーグレーディング用の液晶モニターを買うなら4K HDR仕様がオススメです。
低予算で準備できるカラコレ用人気の液晶ディスプレイ3選
EIZOの27型スタンダードモデル CS2740-BKです。
キャリブレーションセンサーは別売りとなります。
カラーマネージメント液晶モニター
4K解像度で高画質
27インチのゆったり大画面
27型カラーマネジメント液晶モニター
解像度2560×1440
キャリブレーションセンサーは別売りです
EIZOの映像制作専用モデルです。キャリブレーションセンサーが内蔵しています。
解像度1920×1200の液晶ディスプレイ
ノングレアIPSパネル
映像制作に最適な専用モデル
キャリブレーションセンサー内蔵モデル
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