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OBSのライブ配信で起きる遅延を最適にする設定項目を解説します


※2024年12月に更新しました。

ライブ配信を行なっている時に気になるのが、遅延の発生です。

「ラグ」とも呼ばれるものですが、これは基本的にどの配信プラットフォーム(配信サイト)を使っても起こりえるものです。

なぜならインターネット回線を通して配信される映像や音声のデータは、サーバーなどを通って処理されるため、どうしてもリアルタイムから遅延が発生します。

例えばもし30秒以上の遅延が起こっていると、配信者とリスナーとのコミュニケーションがまったく噛み合いません。

OBSを使っても残念ながらこの遅延はある程度発生しますが、プロの配信者であればいかにこのラグを短くできるかが腕の見せどころとなってくるでしょう。

ここではOBSを使って実施できる遅延の最適化について解説します。

記事監修者

ライブ配信オペレーター 水田 吉紀

2024年 2月 監修者:ビデオ制作ディレクター / MDM合同会社 代表 水田吉紀
2012年 営業職から映像製作会社に転職し、映像カメラマンの業務に携わる。 2020年 MDM合同会社を設立。
ライブ配信業務を中心にビデオ撮影・動画編集の仕事を請け負っている。


最初に各配信サイトにおける遅延時間を知ろう

OBSの設定で遅延を回避していく前に、先ずは各配信サイトにおける遅延時間の目安について確認しておきます。

一般的にライブ配信で定番的に利用されているYouTubeならおよそ3秒から5秒程度が許容範囲でしょう。

それに比べて遅延が大きいのがLINE LIVEで、10秒から15秒程度の遅延が発生します。

実際この程度の遅延であれば視聴者もさほど気にならないので、特に気にする必要もありません。

しかしより大きな時間での遅延があるような場合は、OBSの設定を見直して改善してみましょう。

遅延が起きているかどうかの確認は、実際に配信をしてみないとわかりませんので、配信中に質問をしてみてリスナーからの返答がある時間を確認してみるのが良いです。

また配信サイトによっては遅延時間を表示してくれる機能があります。

大幅な遅延を起こす主な3つの理由

OBSによるライブ配信で大幅な遅延が起きる理由は主に3つあります。

主な遅延の原因

✅ネット回線の問題
✅パソコンの性能不足
✅OBS(または配信サイト)の設定ミス

遅延の原因として最も多いのが通信状況が悪いことによる遅延の発生です。

インターネット回線に何らかの原因があり、ライブ配信での映像と音声に遅延が出てしまいます。

例えば屋内のインターネット回線を使う場合、テスト段階で安定していたとしても本番の配信で不安定になるといったことが起こります。

インターネット回線は利用時間帯によっても速度が違います。

なので事前にテスト配信する場合は、曜日・時間・接続環境を同一にして行うことで本番の環境により近づけることができます。

インターネット回線の終端装置からハブや有線ルーターを経由する場合は、安価なハブ・ルーターを使うとネットの速度が落ちて遅延の原因になることもあります。

業務でライブ配信を実施する場合は業務用のハブを使うことをお勧めします。

他にも配信用に用意したパソコンのスペックが低い場合も遅延が発生する原因となります。

パソコンのスペックが低く、エンコード処理の遅れで配信に遅延が発生する場合は思いきって買い替えるか、性能の良いパソコンをレンタルしましょう。

OBSのライブ配信でおススメのスペックを以下で解説しているので合わせて読んでみてください。

OBS配信でおすすめのパソコンスペック

最後に配信サイト側の設定問題も紹介しておきましょう。

YouTubeの「ライブ配信の遅延」設定

大手の配信サイト、例えばYouTube Liveでは、遅延の設定を配信設定画面から行えるようになっています。

設定の中に低遅延モードというものがあり、こちらを設定しておくと遅延しにくくなると考えてください。

逆に設定していないまま(通常の遅延)だと、遅延が起こりやすくなります。

YouTubeヘルプでは「通常の遅延」による配信は以下の条件で使用することを勧めています。

適した状況:視聴者側の再生バッファ量を抑える。
視聴者とのやり取りを行わない場合は、このオプションを選択してください。視聴者側のバッファ量が最小限に抑えられるため、高い品質が得られます。
このオプションでは、すべての解像度とライブ機能がサポートされます。

ライブ配信の遅延|YouTubeヘルプ

OBSが原因の遅延と解消方法について

ではOBS由来で遅延が発生する場合と、その解決方法も紹介しておきます。

OBSには遅延設定があります。

この設定を有効にすることで、あえて遅延を発生させるという機能です。

映像の品質を追求する場合は、ある程度遅延があるほうが担保されるためOBSにも遅延設定が備わっています。

しかし何かしらの拍子に遅延機能を有効にしてしまっていて、気づかないままに配信をすると意図しない遅延が起こりえます。

OBS側での設定について詳しく見ていきましょう。

OBS「設定」を選択

OBSを起動してホーム画面を開いてください。

OBS「詳細設定」⇒ 遅延配信 ⇒ 有効にするのチェックボックスを見る

画面の右下にある設定を開き、左側にあるメニューから詳細設定をクリックします。

画面の中央からやや下の部分に遅延配信という欄があるので、そこのチェックボックスを確認してください。

もし「有効にする」のチェックボックスにチェックが入っているのなら、クリックして外します。

最後にOKを押して終了です。

視聴者とコミュニケーションを頻繁に行う場合や、コメントを読み上げるようなときに遅延があるとかなり違和感のあるライブ配信となってしまいます。

OBSの遅延配信は秒単位で遅延する時間を設定できます。

配信遅延時間(初期設定で20s)

初期設定で20s(20秒)となっているので、間違って遅延配信が有効になってしまうとかなり大きな遅延が起きるので注意してください。

YouTubeの遅延設定はOBSからできる

先にも解説しましたが各配信サイトでは、配信に関する設定ができます。

人気のある配信プラットフォームの多くは遅延設定を行なうことによって、最小限の遅延で済ませられる機能があります。

基本的にはライブ配信用のダッシュボードにアクセスして、設定を変更していく必要があります。

OBS「配信の管理」⇒ 「新しい配信を作成」⇒ 「詳細設定」

ただYouTube Liveについては、最新のOBSを使うことでソフトウェアから設定ができるようになっています。

OBSのホーム画面の右下にある配信の管理をクリックしましょう。

新しい配信の作成をタブの中から選択して、タイトルにわかりやすい名前をつけておきます。

詳細設定の欄を見ると、遅延という項目があるはずです。

OBSの「ライブ配信の遅延」設定

この項目では遅延・低遅延・超低遅延の3つが選択できます。

この中から超低遅延・低遅延のいずれかを選んでください。

設定が終われば配信を作成して、配信開始をクリックすると設定を保存できます。

超低遅延と低遅延のどちらを選べばいいのか

YouTubeの場合は、遅延・低遅延・超低遅延の設定ができます。

リスナーとのやり取りが多い場合は低遅延か超低遅延を選べば良いとしましたが、どちらを選べばよいのでしょうか。

超低遅延を選択

遅延を最も短くできるのが超低遅延の設定です。

通常はこちらの設定をしておいて良いのですが、超低遅延を選択することで配信が止まってしまう場合があります。

適した状況: リアルタイムで活発にやりとりを行うライブ配信。
視聴者のエンゲージメントを最大限に引き出す場合は、このオプションを選択してください。視聴者側のバッファ量が増加する可能性が高くなります。
この設定では、1440p と 4K の解像度はサポートされていません。
注: この設定では、ネットワーク上でライブの取り込みの問題が発生したときに、視聴者が受ける影響が大きくなります。ネットワークでストリームを維持できるように、取り込みビットレートを下げることを検討してください。

ライブ配信の遅延|YouTubeヘルプ

リアルタイムに近くやり取りができるメリットがあるのですが、バッファーの量も多くなるためユーザーの環境によってはそうした現象が起こります。

ですので視聴者から配信がプツプツ途切れるなどのコメントがあった時は、次回の配信(もしくは一度配信を終了して)から低遅延にしてみるといいでしょう。

低遅延の設定だと10秒前後のラグが発生します。

通常の遅延よりは小さく、特別に大きなラグが出るわけではありませんので、バランスの良い配信になります。

つまりリアルタイムに近いやり取りをしないのであれば、低遅延に設定しておくのもおすすめです。

どうしても遅延が酷い場合は画質を下げてみよう

ライブ配信において遅延を完全になくすことができません。

設定を変えても数十秒の遅延が起こるという場合、画質を下げてみるのも1つの方法です。

OBSでは画質の設定が簡単にできるので、その手順も念のため説明しておきます。

OBS「設定」⇒ 「映像」⇒ 出力解像度とFPS共通値を設定する

OBSのホーム画面右下にある設定をクリック、左側にある映像を選択してください。
出力(スケーリング)とある部分の数字を少し小さくします。

さらに縮小フィルタの欄をバイリニアに設定し、FPS共通値を30に設定しましょう。
設定が終われば、画面右下にあるOKをクリックして完了です。

最終的にネット環境とパソコンのスペックを見直そう

ライブ配信で遅延が何を設定しても大きく出るのなら、最終的にはネット環境やパソコンのスペックなどを見直す必要があります。

ネット環境でいえば、最低限固定回線を利用した方がいいでしょう。

またWi-Fiによる無線接続ではなく、LANケーブルを使った有線接続にします。

できればルーターもスペックの高いものがおすすめです。

上りの通信速度が10Mbps~30Mbps程度もあれば、ストレスのない配信ができるはずです。

もし通信速度が出ないのなら、ネット環境を見直すか、画質を下げます。

オススメ記事:DAIV 5Nレビュー OBSのフルHDライブ配信が快適です

OBSのライブ配信で起きる遅延を最適にする設定項目を解説 まとめ

OBSのライブ配信で遅延を最適化する項目を解説してみました。

ライブ配信では遅延はつきものです。

絶対になくならないものですが、あまりにも遅延が大きいと視聴者とのやり取りがしにくくなります。

そのため遅延をできるだけ小さくするための設定がOBSにはあります。

遅延の発生については、OBSの設定だけが問題ではありません。

配信用に使っているパソコンのスペックや、インターネット回線の速度なども大きく影響してきます。

ですので設定すれば遅延がなくなるのではなく、飽くまでも遅延しにくくなる方法の1つだと考えてください。

OBSではあえて遅延を発生させる設定があるのですが、何かの拍子にこれが有効になってしまうことがあります。

知らないうちに起こっている場合も考えられますので、先ずは遅延設定が有効になっていないか確認してください。

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