
OBSのライブ配信でおすすめのPCスペックを解説
※2024年12月に更新しました。
ライブ配信のクオリティをアップするのに役立つソフトにOBSがあります。
テロップや画像の挿入機能に加え、クロップやマスク機能、配信と同時に録画する機能などなど、ライブ配信に必要な機能を網羅したソフトウェアです。
無料でありながら様々な機能が搭載されているOBSは、使いこなせば有料のソフトにも劣らない自在性があります。
ただしその分大切になってくるのが配信用パソコンのスペックです。
性能不足のパソコンでOBSを運用すると、ソフトウェアが使用中に落ちたり、録画中にエラーが発生する場合があります。
ここではOBSユーザーによく使われているパソコンや推奨スペックについて詳しく解説します。
OBS Studioの動作推奨環境とは?
OBSはOpen Broadcaster Softwareの略で、Windows、Mac、Linuxといった主要なOSに対応しているライブ配信用のソフトウェアです。
公式サイトではOSごとにダウンロードできるようになっているものの、動作推奨環境が日本語で明記されているページが見当たりません。
(かなり探しましたが..ご存知の方教えてください)
英語では以下のページが見つかりましたので翻訳してみます。
基本の動作環境
Windows
OS:Windows 8 / 8.1 / 10
GPU:DirectX 10.1macOS
macOS:High Sierra (10.13) 以上
Intel CPU (PowerPCはサポート対象外)
GPU:OpenGL 3.3~Linux/Unix
GPU:OpenGL 3.3
X window system
この情報を見るとそんな性能の良いパソコンでなくても問題なさそうです。
欲を言えばグラフィックカードを搭載したパソコンであれば良いのかな?という程度です。
公式サイトの説明はさらに続きます。
ハードウェアエンコーダー
ハードウェア エンコーダーは通常、ローカル録画には推奨されますがストリーミングには推奨されません。
ハードウェアエンコーダーはソフトウェア エンコーディングが不可能な場合の最後の手段になる可能性があります。
ハードウェアエンコーダーは、デフォルト プリセットのveryfast を使用したソフトウェアエンコーディング (x264) と同じビットレートでの品質の低下と引き換えに、パフォーマンスへの影響を最小限に抑えます。
現在、すべてのコンシューマー レベルのハードウェア エンコーダーは、以下に示すように、特定の GPU によって提供されます。
GPU に最新のドライバーを使用していることを確認してください。NVIDIA NVENC
NVIDIA GeForce GTX クラス GPU (GTX 600 シリーズの一部のカード以降)。
モバイル GPU のサポートはありますが、ほとんどの場合 NVENC はサポートされません。
NVENC エンコーダーを使用するとエラーが発生します。
ドライバーが既に最新の状態である場合、GPU は NVENCをサポートしていない可能性が高いです。Intel クイック シンク ビデオ (QSV)
Intel Core-i-CPU 2xxx (Sandy Bridge) 以降の Intel HD グラフィック GPU。
QSV の初期のイテレーションの品質が低いため、Intel Core-i-CPU 4xxx (Haswell) 以降が推奨されます。
ハードウェアエンコ―ダーについて諸々説明があるので、補助的に解説してみます。(ご存知の方は読み飛ばしてください)
ハードウェアエンコーディングとは動画の書き出し時に、パソコンに搭載されているグラフィックカードの機能を活用してエンコーディングする方法です。
これによりCPUの負荷を抑えつつ配信と録画ができるため、OBSによるライブ配信を使う方はぜひ知っておきたい機能です。

OBSのコントロールパネル「設定」を選択
OBSはコントロールパネルの出力タブから「出力モード」で「詳細」を選ぶことで「配信」と「録画」のエンコーダをそれぞれ設定できるようになっています。
エンコーダーには
・ストリームエンコーダ
・QuickSync H.264
・NVIDIA NVENC H.264(new)
・x264
と4種類あります。
このうちQuickSync H.264と、NVIDIA NVENC H.264(new)がハードウェアエンコーディングとなります。

Core i9-9900Kの仕様
QuickSyncはインテルCPU内蔵のGPUが持つ機能です。
自分が使っているインテルCPUがQuickSyncの機能を持っているかどうかはインテル公式サイトで調べると分かります。
一方のNVIDIA NVENCはOBS公式サイトで
NVIDIA GeForce GTX クラス GPU (GTX 600 シリーズの一部のカード以降)。
モバイル GPU のサポートはありますが、ほとんどの場合 NVENC はサポートされません。
とあり、GeForce GTXの比較的新しいモデルのグラフィックカードに対応し、モバイルGPU(ノートパソコン用グラフィックカード)では非対応になっているとのことです。
なおハードウェアエンコーディングにはデメリットもあって、ソフトウェアエンコード(主にCPUでエンコードする)よりも一般的に画質が落ちると考えられています。
しかし、ここ数年でグラフィックカードの性能が飛躍的に高まっており、両者の差を視覚で識別するのは難しくなっていると個人的には思っています。
関連情報:RTX 2070 SUPERでハードウェアエンコーディングした動画の画質検証
いずれにせよ、GPUを搭載していないパソコンの場合、OBSでハードウェアエンコーディングを選択することができません。
単純にライブ配信のみ行いたい場合はそこまで性能の良いパソコンを使う必要はありませんが、配信と同時に録画を実施したい場合はOBSに対応できるGPU機能を持ったパソコンを用いるのが安全でしょう。
ちなみに私は配信のエンコーダを「x264(ソフトウェアエンコーディング)」に、録画のエンコーダを「NVIDIA NVENC H.264」として負荷を分散して配信・同時録画を実行しています。
今のところ配信品質や録画の画質に問題が起きておりません。
OBSライブ配信はデスクトップPCとノート型PCのどちらが良い?
ではOBSのライブ配信で使うパソコンはデスクトップ型とノート型のどちらが良いでしょうか。
グラフィックカードを搭載したパソコンを選ぶなら、断然デスクトップパソコンのほうが低価格で性能の良いものを手に入れることができます。
またデスクトップのほうが冷却性能も優れているため、OBSのライブ配信中で高温になりやすいCPUやグラフィックカードを冷やし、パフォーマンスを妨げずに運用することができます。
YouTubeのライブ配信では配信した後に動画編集をすることもありますし、ゲーム配信をする場合はノートパソコンのグラフィックス性能では満足にプレイできないこともあるので、デスクトップパソコンの方が有利になります。
一方で、持ち運ぶ必要があるならノートパソコンを利用する必要があります。
ミドルスペック以上のノートパソコン(グラフィックカード搭載 15万円前後)ならOBSのライブ配信は十分可能になるので、主な用途は何か?よく考えて選ぶのが良いでしょう。
ノートパソコンでOBSライブ配信向けのスペックは?

ライブ配信をノートパソコンで実施例
ライブ配信をノートパソコンで実施したい方はかなり多いと思います。
ノートパソコンならwebカメラを搭載しているので、簡単なライブ配信ならOBSとノートパソコンですぐに実施できてしまいます。
また、スイッチャーやオーディオインターフェースを併用すると、機材をたくさん並べる必要があるのでコンパクトなノートパソコンの方が魅力的に感じるでしょう。
先ほど紹介したOBS公式サイトの動作環境に
モバイル GPU のサポートはありますが、ほとんどの場合 NVENC はサポートされません。
NVENC エンコーダーを使用するとエラーが発生します。
ドライバーが既に最新の状態である場合、GPU は NVENCをサポートしていない可能性が高いです。
ノートパソコンのGPU(グラフィックカード)はNVIDIA NVENC H.264に対応していないような記載がありましたよね。

OBSのエンコーダ設定
これについて不安に思った方もおられるかもしれませんが、ノートパソコンでも問題なく配信・録画にハードウェアエンコーディングを選ぶことができます。
古いグラフィックカードを搭載しているノートパソコンではNVIDIA NVENC H.264を選ぶことができないかもしれませんが、これから新しく購入するパソコンなら、GeForce RTXシリーズを搭載した製品を選ぶことで問題なくハードウェアエンコーディングを実行できるはずです。
以下のページで検証済です。合わせて読んでみてください。
関連情報:DAIV 5Nレビュー OBSのフルHDライブ配信が快適です
MacとWindowsのどちらがライブ配信に向いている?
個人的には低価格なWindowsパソコンをおすすめしたいところですが、Macが大好きな方はM1 Macといった評判の良いノートパソコンも気になるところでしょう。
OBSによるライブ配信でMacとWindowsの差はほとんどありません。
注意が必要なのは、MacはOBSの「デスクトップ音声」を使う場合に、仮想オーディオデバイスやループバック機能を搭載したオーディオインターフェースが必要になることです。
最小構成で配信したい方や仮想オーディオデバイスの設定が面倒な方はWindowsがおススメです。
Macのほうがオーディオドライバーが優れているので、オーディオインターフェースを使って、とことん音質にこだわったライブ配信をしたいと考えている場合はMacの方が良いでしょう。
ゲーム配信にはゲーミングパソコンがおすすめ?
ゲーミングパソコンとはゲーム配信に特化したパソコンです。
一般的なパソコンとの違いは、GPUの性能が非常に良いなどグラフィックの面で特に優れていることです。
家電量販店よりもカスタムメイドできるパソコン専門店で入手されることが多いですが、既存のデスクトップパソコンをアップグレードさせることも可能です。

OBSの映像設定
OBSでは配信する映像の解像度やフレームレートを自由に設定できるようになっています。
一般的な映像のフレームレートは30fpsで十分ですが、ゲーム配信では60fpsを選んでゲームの滑らかな動きをライブ配信したいと考える方も多いでしょう。
この場合は配信時のエンコーダに「NVIDIA NVENC H.264」を選べる性能の良いゲーミングパソコンが役立つでしょう。
ミドル~ハイエンドのゲーミングパソコンではGeForce RTXシリーズや高性能なグラフィックカードが搭載されているのでオススメです。
ライブ配信向けパソコンをパーツ単位で解説
ここではパソコンの主要なパーツごとにライブ配信に最適なスペックをまとめてみました。
CPU
パソコンの性能はCPUで決まると言われるほど重要です。
ゲーム配信ユーザーの間で最も多く使用されているのはCore i5からCore i7くらいまでが多いです。
もちろん、経済的余裕があればさらに高スペックCPUを使うとなお良いでしょう。
一方、Core i3でも不可能ではありませんが、本格的な配信のためにはおすすめできません。
メモリ
メモリとはパソコンで行われる情報処理を記憶、一時保存しておく機能の一つで、RAMとも呼ばれています。
一般家庭で使うパソコンでは4GBから16GBくらいで、ゲーム配信に適切なのは8GB以上と言われています。
上の画像は以下のスペックのパソコンを使ってライブ配信・同時録画したときのCPUやメモリ、グラフィックカードの使用率を調べたものです。
ライブ配信時のパソコンスペック
CPU:インテル Core i7 10870H
メモリ:16GB
GPU:インテルUHDグラフィックス(内蔵GPU)+ GeForce RTX 3060 Laptop GPU
ストレージ:M.2 SSD NVMe 512GB
Streamlabs OBSで配信・同時録画を実施した際に、16GB容量のメモリを10.7GB使用できているのが分かります。
このような検証結果から考えて、メモリは8~16GBあると余裕のあるライブ配信ができるでしょう。
GPU
GPUとはGraphics Processing Unitの略称で、画像処理を行うための機能です。
GPUの性能が良いほど、映像の処理速度も早く安定した配信、録画が行えます。
参考情報:配信ソフト「OBS」で見落としがちな高画質化/フレーム落ち対策のポイント
OBSでゲームの実況中継(ライブ配信)と同時録画をする場合
・ゲームプレイ時の映像描写
・ライブ配信のエンコード
・録画のエンコード
3つの役目を全てCPUまたはグラフィックカードに依存するとOBSが途中で落ちたり、録画品質が悪いといった不具合が生じる可能性があります。
そんな場合は、ゲームプレイと配信をCPUまたはグラフィックカードに任せて、録画は専用のハードウェアを使うと不具合が生じる確率が下がります。

録画機能を兼ね備えたライブ配信用スイッチャー ATEM Mini Pro ISO
HDMIケーブルで接続して使えるレコーダーや、ATEM Mini Proのような録画機能を備えたライブスイッチャーでパソコンの性能を補うことも可能です。
ストレージ(ディスク容量)
パソコンのディスク容量のことをストレージと言います。
近年のパソコンの多くはメインストレージ(Cドライブ)に高性能なSSDが搭載されています。
SSDを搭載したパソコンならライブ配信の運用でも安定性が高くなります。
例えばパソコンショップの映像編集向けノートパソコンやゲーミングノートパソコンでは、メインストレージに高速な読み書き速度を実行できるM.2 SSDが採用されています。
ここで注意したいことが一つあります。
読み書き速度が速いSSDはHDDに比べると、ソフトウェアの起動の速さや動画編集ソフトの安定性などで優れたパフォーマンスを発揮します。

ディスクの空き容量
しかし、容量が不足するとその性能が極端に下がるという欠点を持っています。
例えば上の画像のように475GBのCドライブのデータの空き領域が20%を切った状態になると、SSDの読み書き性能は以下のようになりました。

Cドライブの空き容量が十分にある状態

データが圧迫している状態
Cドライブの空き容量が少ない状態だと、同じパソコンにもかかわらず、書き込み性能が極端に低下しています。
OBSでライブ配信と同時に録画も行う場合、通常はCドライブ内に記録データを保存します。
メインストレージの空き容量が少ない状態でライブ配信を実行すると、配信と録画の両方に悪影響を及ぼす可能性があります。
このため十分な空き容量(目安は25~30%の空き)を確保し、OBSの録画で出力されるデータがどのぐらいの容量になるのか、あらかじめ把握しておくことが重要となります。
OBSのライブ配信はパソコンを冷却する専用クーラーがおすすめ

OBS Studioでのライブ配信で利用しているノートパソコン DAIV 4P・DAIV 5P
OBS Studioを使って長時間のライブ配信をする場合、ノートパソコンを用いる方は注意が必要です。
ライブ配信はパソコンに負荷をかけるので、PCの冷却性能によってはかなり熱を持ちます。
グラフィックカードを搭載した最新のノートパソコンの場合、冷却クーラーを備えているのですが、長時間ライブ配信を行う時は注意が必要です。

OBS Studioで併用しているノートパソコン用冷却クーラー
私は出張ライブ配信サービスで、ノートパソコンを冷却するノートPCクーラーを利用しています。
ノートPCクーラーはPCとUSBケーブルで接続し、PCの電源でファンを回して冷却します。
これを利用すればノートPCが熱を持ちすぎてシャットダウンするのを防げるはずです。

USBポートを備えたノートPC用クーラーがおすすめ
また、DAIV 5Pと同時に購入したCOOLER MASTER ERGOSTAND 4 はノートPC用クーラーのファンの強さを調節するダイヤルのほかに複数のUSBポートを備えています。
USBポートが少ないノートPCでライブ配信する場合は、USBのハブ機能を持ったノートPC用クーラーを利用するのがおススメです。
ライブ配信サービスの同業者の間ではライブ配信スイッチャーも熱で落ちることがあるという情報も共有されているので、ノートPC冷却用だけでなくスイッチャーの冷却用途で使うのも良いでしょう。
当サイトとマウスコンピューターのコラボ企画でご提案しているライブ配信オススメモデルでは、オプションでノートPC用クーラーを同時に購入できるようになっています。
OBSのライブ配信でおすすめのパソコンスペックを解説 まとめ
ここでまとめます。
OBSのライブ配信は標準的な性能を持つパソコンでも配信は可能ですが、配信と録画を同時に実行する場合は注意が必要です。
おすすめはCPUとGPUの性能が高くメモリ容量が大きい(16GB~)、ストレージの空き容量を十分に確保できるパソコンです。
ゲームの実況配信なら性能の良いGPUを選び、録画をする場合は外部レコーダーの利用がおススメです。
OBSをふんだんに使って、高品質なゲーム実況やライブ配信にぜひチャレンジしてみてください。