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OBSで音ズレが発生する原因と解消する方法を解説


※2024年12月に更新しました。

ゲーム実況や音楽ライブ配信に欠かせないPCソフトがOpen Broadcaster Software、略してOBS studioまたはOBSと呼ばれています。

OBSを使いこなすのは少々馴れが必要ですが、無料で多機能なので多くのライブ配信者が使っている人気の配信ソフトです。

OBSを使ってライブ配信していると、配信された動画と音声のタイミングがずれる、いわゆる音ズレ問題に直面することがあります。

ここではOBSで音ズレが発生する原因とを解決方法についてまとめました。

記事監修者

ライブ配信オペレーター 水田 吉紀

2024年 2月 監修者:ビデオ制作ディレクター / MDM合同会社 代表 水田吉紀
2012年 営業職から映像製作会社に転職し、映像カメラマンの業務に携わる。 2020年 MDM合同会社を設立。
ライブ配信業務を中心にビデオ撮影・動画編集の仕事を請け負っている。


オススメ記事:OBSのライブ配信でおすすめのパソコンスペックを解説

OBSが音ズレを起こす原因を徹底解析

OBSが音ズレを起こしてしまう原因は以下の4つです。

OBSの音ズレの原因

同期の不具合
fps値のズレの蓄積
可変フレームレートの使用
パソコンの機能的問題
✅ ネット速度による遅延

それぞれの現象がなぜ起こるか?原因を挙げてみましょう。

音声と動画がうまく同期できない

OBSでライブ配信や動画の録画を行う際、映像と音声をそれぞれ異なる機器でパソコンに入力することになります。

例:映像⇒カメラ 音声⇒オーディオインターフェース

そして入力した映像と音声はOBSのソースパネルで

★映像は映像キャプチャデバイス
★音声は音声入力キャプチャ

それぞれ追加して設定します。

映像と音声がOBSで統合される際に、キャプチャの設定間違いで同期がスムーズに行かないと音ズレが発生することがあります。

fps値ズレの積み重ね

fpsとはフレーム・パー・セカンドの略で、1秒間に有する画像のフレーム数を表す単位です。

一例を挙げると、一般的なゲーム実況で推奨されるfps値は1080P 60fps、これはサイズ1920×1080の画像が1秒間に60枚入っていることを意味します。

この値が高いほど画質は向上しますが、PC性能がそれに追いついていないと処理できる画像数が60枚から59枚と少なくなります。

この差異が積み重なると、動画の時間経過とともに画像と音声のズレが顕著になります。

可変フレームレートによる不安定性

可変フレームレートとは、1秒間に取り込める画像のフレーム数を変化させる設定機能の一つです。

この設定を使うとファイルサイズを節約できるメリットがありますが、フレーム数が一定でないために音ズレの原因になることもあります。

パソコンのスペック不足

OBSのように動画と音声を同時処理するようなソフトを使うと、パソコンはCPUを多く使用します。

この使用率が100%になるとオーバーワークな証拠、不具合の一つとして音ズレを発生させてしまう恐れがあります。

インターネット速度による遅延

OBSを使った配信に限らず、インターネットネット速度が不十分な環境では映像と音声のズレが生じるケースがあります。

私の経験では光ファイバーなど安定した通信環境の会場でも、WiFiを無料開放しているようなケースでは途中でネット速度が極端に落ちて配信に不具合が生じることがありました。

また、テスト配信時にスマホのテザリングで配信を行うようなときも、パケットオーバー後に大幅に音声ズレが生じやすくなります。

OBSの音ズレ解消方法

OBSの音ズレの解消方法はOBSの用途やOBSをインストールしているパソコンのスペック、接続機器の環境によって様々な方法があります。

ネットの情報では主にゲーム配信の音ズレ解消方法が書かれていることが多いため、音楽やインタビュー、対談のライブ配信で同じ方法を行っても解決しないこともあるので注意してください。

ここでは解決方法をなるべく網羅的に解説し、不足している部分は随時追記していくこととします。

OBSの音ズレを改善させるには、まず以下の4つの方法を試すことで簡単に解決できることがあります。

✅タイムスタンプの使用を解除する
✅同期オフセットの値を調節する
✅外部接続のマイクの周波数を変える
✅パソコンや周辺機器の設定を見直す
✅通信速度に合った解像度やビットレート・フレームレートを選ぶ

各方法についての手順を、詳しく紹介しましょう。

タイムスタンプの解除の手順

OBSの音ズレが気になった時に、最も手っ取り早くできる方法がタイムスタンプの設定変更です。

この方法はOBSを使ってゲーム配信をする方に効果がある方法で、音ズレが発生していたらまず初めに確認したい項目です。

音声ミキサー⇒プロパティを選択

1.音声ミキサーにある「デスクトップ音声」の右にある歯車をクリックする
2.プロパティを選択する

デスクトップ音声の「デバイスのタイムスタンプを使用」のチェックを外す

3.デバイスのタイムスタンプを使用のチェックマークを外す

OBSの初期設定で用意されているデスクトップ音声はプロパティを確認すると「デバイスのタイムスタンプを使用」にチェックが入っています。
ここのチェックを外します。

ゲーム配信ではデスクトップ音声を使うことがあるため、この方法で解決するケースが多いようです。

音声入力キャプチャは初期設定でチェックが外れている

一方で音楽のライブ配信や対談のライブ配信ではデスクトップ音声を使用せず、「マイク」を使用したり、新たに「音声入力キャプチャ」を追加します。

「マイク」や「音声入力キャプチャ」のプロパティの「デバイスのタイムスタンプを使用」では初期設定でチェックマークが入っておりません。

もし設定時に「デバイスのタイムスタンプを使用」に誤ってチェックを入れていたら、外してみて音ズレが解消するか確認してみましょう。

同期オフセットの設定方法

タイムスタンプを外しても解決されない時は、同期オフセットの数値を変更する方法を試してみましょう。
この設定は映像よりも早く出力される音声をOBSで意図的に遅らせる方法です。

オーディオの詳細プロパティ⇒同期オフセットを調節

1.音声ミキサーにある歯車のマーク(ソースは何でもよいです)をクリックする
2.オーディオの詳細プロパティを選択する
3.調整したいソース(この場合マイクや音声入力キャプチャ)の同期オフセットの数値を変更する

デフォルトでは同期オフセットの数値は0ですが、この数値を大きくするほど音声出力が遅くなるので微調整していきましょう。

カチンコ

カチンコや手をたたいて映像と音のずれを確認しやすいようにして、数値を上げていきます。

目安として15ms~50ms程度でほぼ一致するように改善することができるはずです。

使用する機器や配線状況・ケーブルの品質によって目安を一概に言えませんが、自宅配信で100ms程度、中規模のライブ配信で200ms~300msで音と映像を一致できています。

またゲーム配信の場合はさらにもう少し遅くする必要があり、800ms~1000msでズレを調節できました。

注意したいのはOBSのモニター画面を見ても確認できない(ズレがわかりにくい)ので、ライブ配信の映像を確認しなければなりません。

OBSには録画機能があるので、カチンコ(手を叩くなど)の様子を録画して確認するというのも一つの手法であると思います。

接続マイクのサンプリングレート設定

なおも音ズレが改善されない時は、OBSのサンプリングレートを変えてみましょう。

コントロールパネルの「設定」⇒「音声」を選択

1.画面右下の設定を選択する
2.左側より音声をクリックする

「一般」のサンプリングレートを変更

3.最上部にある「一般」の枠内のサンプリングレートを44.1kHzまたは48kHzに変更する

ここでサンプリングレートについて解説すると話が長くなるので割愛させていただきますが、OBSでこの設定を変更することで音の品質が変わることはありません。

OBSの初期設定は48kHzになっています。
通常は48kHzで問題ありません。
音ズレが起きた場合に44.1kHzに変更すると解消される場合があるようです。

解決しない時はパソコンに問題あり?

上記の3つの方法を全て試した上でも症状が直らない場合、パソコンのサウンド設定を変更することで改善する場合もあります。

先ほど解説したサンプリングレートの関連となる設定です。
OBSのサンプリングレートと、パソコンで設定しているオーディオインターフェースのサンプリングレートを統一することで音ズレを解消する方法です。

Windows10の設定方法を以下で解説するので確認してみてください。

Windows10のサウンド設定

Windows10の右下にあるスピーカーのマークを右クリックして「サウンド」を選択します。

「再生」タブの「既定のデバイス」⇒プロパティを選択

次に再生のタブを選んで、使用するオーディオインターフェースを選びます。
そして右下の「プロパティ」をクリックします。

「詳細」⇒「既定の形式」を確認

プロパティの画面が開くので「詳細」のタブを選択します。
その中に「既定の形式」という項目内にチャネル、ビット、44100Hzとあります。

この例で選択したオーディオインターフェースはYAMAHA AG03で、サンプルレートを変更できません。

そこでYAMAHA AG03のドライバーとなるYamaha Steinberg USB DriverをYAMAHA ソフトウェア公式ダウンロードサイトから取得してインストールします。

関連情報:Yamaha Steinberg USB Driver|YAMAHA ソフトウェアダウンロード

Yamaha Steinberg USB Driverのコントロールパネル

インストール後、Yamaha Steinberg USB Driverのコントロールパネルをスタートから探して開きます。

サンプリングレートを変更できる

AG06/AG03のタブを選択すると「Sample Rate」の項目で変更できるようになっています。

ここでOBSと同じ値に変更します。

このようにしてOBSとオーディオインターフェースのサンプリングレートを合わせることで音ズレが解消できる場合があります。

OBSの初期設定に合わせて48kHzに変更するのが良いでしょう。

Behringer UM2

オーディオインターフェースによっては、Windows10のサウンド設定からサンプリングレートを変更できるようになっています。

Behringer UM2で確認してみました。

スピーカーのプロパティ⇒詳細タブ「既定の形式」でサンプリングレートが変更可能

サウンドのプロパティの画面の「既定の形式」の項目を見てみると、サンプリングレートを4.1kHzから4.8kHzに変更可能です。

以上の方法で多くは解決できると思いますが、それでも解決できない場合はパソコンのスペック不足も考えられます。

スペックの高いパソコンに買い替えるのが一番早い方法ですが、金銭的に難しい場合は以下のようにパソコンの設定を変えてみましょう。

★解像度を下げる
★フレームレートを下げる

デバイスで調節する

テーマから逸れるので手短に解説します。

ATEM Mini Pro ISO

ライブ配信でATEM MiniのようなスイッチャーとOBSを併用してライブ配信する場合に、音声と映像がズレる場合はATEM Miniのソフトウェア(ATEM software Control)で調節することも可能です。

ATEM software Controlのディレイ

ATEM software Controlを起動して、上の画像の赤枠の部分をクリックするとディレイのツマミが表示されます。

このツマミを回すことでフレーム単位で音声を遅らせることができるようになっています。

ATEM Miniで映像・音声を入力している場合はATEM Miniのソフトウェアで調節するのが最善のやり方かもしれませんね。

ネット回線で音ズレが生じた場合の対処法

OBSの画面では音声ズレが生じていないのに、配信プラットフォーム(例えばYouTube ライブなど)の管理画面で大きくズレている場合はネット回線の状況を確認します。

Windows PCの場合、Ctrl + Shift + Wscキーでタスクマネージャーが起動しますので、パフォーマンスタブを選択します。

タスクマネージャーのイーサーネット グラフ

上のような画面が表示されるので、配信を実施しているときにイーサーネットの送信速度を確認します。

宅内の光ファイバーで使用者は自分のみという環境では上記のような速度が実現できるので、遅延のない配信ができます。

しかし、大きな会場の光ファイバーを使用する場合、LANの端子(回線終端装置)からPCまでの距離の長さやLANケーブルのスペック不足、配信中のWiFi開放による帯域幅の減少など様々な要因でインターネットの通信速度が配信中に不安定になるなど、本来の性能を発揮できていない場合があります。

そのような環境で、高画質配信を実施すると遅延の増加や音ズレが生じやすくなります。

配信前には必ず通信環境を確認し、事故がおきないよう解像度やビットレート、フレームレートを調整することをお勧めします。

OBSの音ズレ解消方法 まとめ

OBSの音ズレが起こる主な原因は、映像と音声の同期がうまくいかない、fpsの差分が重なってしまう、PCの処理速度の問題、通信の問題と4つあります。

解決するためにはOBSの設定で

★ビデオタイムスタンプのチェックを外す
★同期オフセットの数字調整
★サンプリングレートの変更
★適切な映像設定を選ぶ

という3つの方法がメインです。

OBSの設定でどうしても改善しないときは

★パソコンの設定でオーディオインターフェースのサンプリングレートを変更する
★解像度やフレームレートを下げてパソコンの負荷を減らす
★パソコンをスペックアップする

以上の方法で音ズレの解消が期待できます。

音ズレの解消法は接続環境によってそれぞれですが、ひとつひとつ試してみてください。

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