ライブ配信用で使うプロカメラ
はSONY PXW-Z190か? それとも..
私はこれまで映像の仕事で使う業務カメラはすべてレンタルで対応しており、年度に一括償却できる程度のカメラ・機材のみ所有していました。
これは業務カメラを低価格で一時的に利用できるレンタルサービスがあって成り立つのですが、制作代金(ギャラ)が上がりにくい映像業界で生き残るにはこれが最善の手法だと私は今でも思っています。
しかし、ここ最近ライブ配信に関わる仕事が増えてくるにつれて1台業務カメラを所有することを本気で考え始めるようになりました。
そこで候補に挙げているのがSONY PXW-Z190です
結論から先に言うと1か月以上悩んでも決断できておらず、やはりレンタルでPXW-Z190をじっくり使ってみてから決めようと思っています。
またSONY以外のメーカーの業務カメラでも気になる製品(Canon XF605)が出現したので、それらの製品も比較しながら、PXW-Z190について調べたこと、検証内容をこの記事でまとめました。
PXW-Z190を買うか検討している方や、制作業務でライブ配信を実施している方はぜひ読んでみてください。
SONY Z190について調べる中で製品の特長が一番わかりやすく解説されているのがプロ向け映像機材を取り扱う販売店システムファイブとソニーが開催したSONY PXW-Z280とZ190の比較セミナーです。
ちょっと長い動画ですが、とても参考になるので合わせてご視聴してみてください。
PXW-Z190もとい業務カメラを所有しておいた方が良いかも。と考え始めたきっかけはライブ配信です。
コロナの影響であらゆるイベントが中止・延期を余儀なくされ、撮影の仕事が減少しました。
一方でその中でも依頼が着実に増えているのがライブ配信です。
ライブ配信はレンタルで利用できる業務カメラでも問題なく対応できるのですが、ライブ配信機器(スイッチャー)との接続で事前に準備や確認が必要になることが多くなります。
またカメラ側の設定も必要な上、ケーブル・スイッチャーとの相性の問題が発生することもあるため、撮影前日・前々日には機材の検証も必要です。
カメラのレンタル費用は日割り計算になるので、長期でレンタルするとコストが増してメリットが減ってしまいます。
コロナが終息して元の生活にすぐ戻るなら買う必要はありませんが、どうも世の中そんな簡単に切り替わる雰囲気ではありません。
これからも一定量のライブ配信の業務が発生するなら、ここは思い切って1台買った方がコストを抑えられるのではないか?と思ったのです。
この記事を書いている時点で現行の業務カメラの中で手が届きそうな価格は以下の4台です。
SONY PXW-Z190(2018年9月発売) | 544,500円(税込) |
SONY PXW-Z150(2016年3月発売) | 440,000円(税込) |
Panasonic AG-CX350(2019年2月発売) | 436,000円(税込) |
Canon XF605(2021年10月発売) | 538,000円(税込) |
ソニーはFX6やFX3といったCinema Line カメラを重視して開発しているようで、Z190・Z280以降業務カメラを更新していません。(2021年11月時点)
一方、PanasonicとCanonはライブ配信に対応した機能をもつ業務カメラを一足先にリリースしています。
どのカメラが良いのか非常に悩ましいところですが、私の場合SONY NX5RやZ150を使い慣れているので、ソニーから選ぶならZ190が妥当なところかなーと思った次第です。
PXW-Z190の難点は2018年9月発売で、今から買うならやや古いかなといったところです。
メーカーの好みやこだわりを無視すれば選択肢は広がります。
業務カメラはまあいいお値段するのでじっくり考えて購入したいですよね。
仕事仲間のカメラマンにPXW-Z190を使ったことがあるかどうか、評判はいかがなものか聞いてみると賛否両論の意見です。
「4Kセンサーであるがゆえにやっぱり暗い、映像がねむい」という低評価もある一方で、「オートフォーカスがメチャ良い。」「従来業務カメラと比べて機能の充実度が段違い」という高評価あります。
イメージセンサーはセンサーサイズが同じであれば、解像度が高いほど画素と画素の間に生じる画素ピッチの面積が増えます。
画素ピッチの部分はレンズから入る光を取り入れることができないので、カメラの映像が暗くなる原因になります。
SDからフルHDに移り変わる過渡期でも同じような不満が生じており、その都度カメラメーカーは様々な工夫で明るく撮れる技術を取り入れてくれているそうです。
先ほど紹介した動画の中では「イメージセンサーを4Kにすることで暗くなる欠点をZ190で改善している」とソニーのマーケティング担当者の方が解説しているので、その点については実機で確認してみようと思います。
カメラを使用する環境や用途によっても意見が変わると思うので、自分が普段使う環境下で満足できる撮影ができるかどうか使ってみる必要があると改めて思いました。
PXW-Z190の機能を一つ一つ確認してみます。まずはカメラの心臓部であるイメージセンサーです。
PXW-Z190のイメージセンサーは4K60p収録対応のCMOSイメージセンサーExmor Rを3板式で搭載しています。
SONYのイメージセンサー「Exmor R」はコンデジからミラーレス一眼で実装されるようになった「裏面照射型イメージセンサー」です。
裏面照射型イメージセンサーはフォトダイオードと配線層を入れ替えることで高感度・低ノイズを実現したソニーのイメージセンサー製造技術の一つで、ミラーレス一眼ではSONY α7Ⅲ、α7SⅢに実装されています。
裏面照射型センサーではないSONY α7Ⅱやα6500からα7Ⅲに乗り換えたときに感度耐性の性能アップは十分実感しました。
PXW-Z190が裏面照射型イメージセンサーを採用しているのは魅力的なポイントの一つです。
またPXW Z190のイメージセンサーの大きさは1/3型で3板型となっています。
一眼カメラでは単板型が主流でビデオカメラでは3板型と単板型があります。
単板型のイメージセンサーは1画素ずつ赤・緑・青の信号を受けるようになっており、三板型は3枚のイメージセンサーがそれぞれ1枚で赤・緑・青の光の信号を受けるようになっています。
同じセンサーサイズである場合は、3板のほうが色の再現性に優れ、被写界深度が深くなるようです。
ただし三板型のほうが単板型よりも画質が優れているというのは一概には言えません。
またビデオカメラのイメージセンサーのサイズは1型よりもさらに小さい2/3型・1/1.7型・1/2型・1/3型があります。
PXW Z190はこの中でも1/3型のイメージセンサーサイズとなっています。
センサーサイズが小さいほど高倍率レンズを実現できるというメリットがあります。
SONY PXW-Z190 |
センサーサイズ:1/3型 |
SONY PXW-Z150 |
センサーサイズ:1型 |
Panasonic AG-CX350 |
センサーサイズ:1型 |
Canon XF605 |
センサーサイズ:1型 |
比較して見るとやはり3板型でセンサーサイズの小さいSONY PXW-Z190が最もズーム倍率が大きいのが分かります。
被写体とカメラの距離が離れる広い会場で撮影する場合はSONY PXW-Z190が非常に有利です。
一方で背景ボケを表現したい映像を撮るにはPXW-Z190は向いていないでしょう。
PXW-Z190の記録性能は4K(3840×2160)・フルHD(1920×1080)・HD(1280×720)で選べます。
記録方式はXAVC-LとDVCAM(MXF)でフレームレートは59.94/50/29.97/25/23.98から選べ、フルHD・HDはインターレース収録(1920×1080i・1280×720i)も対応可能なので、テレビ番組の収録にも使えます。
また、SDカードスロットはもちろんダブルスロット仕様でリレー記録・ダブル記録が可能です。
ただしPXW-Z190は2スロット同時記録はHD記録のみ。4Kのダブル記録はできません。
1スロット4Kで、バックアップにHD記録をするには有償アップデートが必要になるようですね。
別売のMPEG HDアップグレードライセンス「CBKZ-SLMP」を適用するとMPEG HD422/MPEG HD420記録にも対応し、4K30p収録時にMPEG HD422(50Mbps)でのHD同時記録も可能になります(*)。
ある程度情報収集したうえで、SONY PXW-Z190をレンタルする機会ができましたので、これ以降は実機を使ってみた感想を含めて仕様を解説します。
メリット・デメリットも解説しますよ!
PXW-Z190の望遠ズーム機能は光学25倍、焦点距離で28.8mmから720mmをカバーできるようになっています。
また、業務カメラお馴染みのデジタルエクステンダーで焦点距離を2倍で撮影することもできます。
デジタルエクステンダーは画像クロップ(切り出し)でズームするので、画質が落ちます。
HD画質で編集する場合は4K設定で収録してデジタルエクステンダーを活用すれば画質低下も少なく済むでしょう。
私の用途では光学25倍ズームで十分です。
PXW-Z190はフォーカス・ズーム・アイリスと3連リングが備わり、アサインボタン(機能を割り当てることができるボタン)は本体左側面に6つ備わっています。
HXR-NX5Rを踏襲しつつ可変NDフィルターの切り替えスイッチと調整ダイヤルが追加されています。
PXW-Z190の右側面はこんな感じです。
PXW-Z190はHXR-NX5Rと比べてズームリングがやや細いです。回しにくさはありません。
リングの粘りは個体差があるかもですが、軽くもなく重くもなくちょうど良いです。
またPXW-Z190のフォーカスリングはクラッチ式でリングを手前に引くとマニュアルフォーカスに変わります。
クラッチ式は距離目盛のピントに移動するので、私は側面の切替スイッチを使っています。
PXW-Z190のアイリス(絞り)のオート・マニュアル切替はスイッチ式で、その横にプッシュオートボタンによる一時オートアイリスもできるようになっています。
一方ピクチャープロファイルのボタンは省略されており、ガンマやハイダイナミックレンジモードの設定はメニューに潜って設定することになります。
PXW-Z190はHXR-NX5Rの後継上位機種でありながら、ボタン配置はシンプルで撮影により集中できるようになっている印象があります。
きっとZ150・NX5Rどちらを使っていた方もZ190のほうが操作性がイイと感じるでしょう。
PXW-Z190の操作ボタンの中でも私が気に入ったのは4番のアサインボタンにランプが付いたことです。
アサインボタンは目視せずに操作できるよう中心にポッチン(凹凸)があるのが配備されているのはこれまで通りですが、このようなランプが付くのは初めてかもしれません。
何の機能を当てればいいかなー?
私は手振れ補正を割り当てました。
一人2カメや慌ててハンディ⇔三脚に切り替える用途で使う場合は、液晶画面を見なくても手ブレ補正の設定有無が分かるのが便利だと思います。
助手のカメラマンの操作確認にも便利かもしれません。
PXW-Z190本体右側のRECボタン周りには2つのアサインボタンがあり、初期状態では7にDIRECT MENU、8にはFOCUS MAGが割り当てられています。
DIRECT MENUはボタンを押すと液晶画面のメニュー画面とRECボタンのそばにあるレバー操作で設定ができる機能です。
これ意外と便利です。メニュー画面に潜ることなくホワイトバランスの数値設定が可能です。
ちなみにホワイトバランスセットボタンはアイリスリングのそばに備わっています。
使い勝手の良い場所に用意したなーと感心しました。
PXW-Z190上部のプレビューボタンやメニューボタンの構成はこんな感じです。
PXW-Z190背面のインターフェースはこんな感じ。
SDカードはもちろん2スロットでダブルREC・リレー記録も対応しています。
4KのダブルRECができないのはちょっと残念ですが、ライブ配信用途ならしばらくはフルHD以上の映像出力を求められることはないので良しとします。
記録メディア用SDカードスロットの下には12V DC入力ジャックが備わっています。
左上からSDI出力端子(BNC)が1つ、タイムコード用のBNCが一つ、LANコネクタ(1000BASE-T)
中央は上からUSB端子(オーディオ出力用・マイクロUSB端子/マルチ)が一つ、次にユーティリティ用のSDカードスロット(個人設定保存用)、HDMI出力端子(タイプA)が備わっています。
電源スイッチがハンドルの根っこ部分にあるのも珍しいです。(電源スイッチ探しました)
PXW-Z190はハンドル内のスペースにもこだわりがあるそうで、従来機種よりもかなり広くなっています。
左側から手を突っ込んでズームレバーやファンクションボタンはもちろん、人差し指でRECボタンも押すことができます。
PXW-Z190のウリのひとつがオートフォーカス性能です。
SONY αの一眼カメラで実装されている瞳AFを利用したことがある方は、業務カメラのAF性能も気になると思います。
PXW-Z190は従来の顔検出AFがさらに進化し、顔限定AFと顔優先AFのどちらかを選べるようになっています。
それぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット:人物の顔を優先してピントを合わせる。Z190では顔登録機能で優先してフォーカスを合わせることができる
デメリット:顔検出できない場合、ピントが背景に抜ける(移動する)ことがある
PXW-Z190の顔認識は顔の形で判別しているようで、目・鼻・口の配列で顔を認識しているような印象です。
なので上下左右を向いていても、顔の配列が分かる場合は高精度でピントを合わせます。
一方で顔が完全に横に向いている場合は検出できなくなることが多い感じがします。
またマスクをつけている状態の横顔も認識しにくいです。
深くお辞儀をして顔が見えなくなった場合ももちろん認識できません。
また、複数の顔を検知した場合どちらの顔に合わせるか迷うので、登場人物が少ない場合はあらかじめ優先人物を登録しておくほうが良いです。
撮影中にカメラのRECボタンのそばにあるジョイスティックで優先する人物を変更できるのも便利です。
メリット:顔が検出できない場合はマニュアルフォーカスに切り替わる。被写体がお辞儀や顔の向きを変えたときにピントが背景に移動しない
デメリット:顔検出しないとAFが効いていないので注意が必要
顔限定AFを使ってみると被写体の顔や体の向きでピントが暴れないので、Z190を使うならぜひ活用したいAF機能です。
顔限定AFと顔優先AFは撮影状況によって使い分けたいAF機能なので、アサインボタンに割り当てておくのが良いかもしれません。
私はアサインボタン 5に顔検出AFを割り当てました。
こうすることでアサインボタン 5を押すたびに「ノーマルAF」⇒「顔検出AF」⇒「顔限定AF」に切り替わるようになります。
例えばセミナー撮影で最初の広い画では通常のAFを使い、登壇者や舞台のほうへ寄る(ズーム)前に顔検出AFに切り替え、寄りきってサイズを決めたら顔限定AFに切り替える。という使い方をしてみました。
いつもは寄りきってからマニュアルフォーカスに切り替えて、フォーカスマグ機能やピーキングでピントを合わせています。
この方法だと望遠端(最大ズーム)でカメラ本体のアサインボタンを押す場合があるので、ほんの少し揺れが生じて映像に現れてしまうことがあります。
注意して静かにボタンを押せば映像の品質を下げるほどの揺れにはならないのですが、顔限定AFならこの緊張感から解放されるので使う価値は十分あると思いました。
PXW-Z190を購入前に調べていると気になる点が一つありました。
それはPXW-Z190はSDI・HDMI同時出力できないという情報です。
これは某有名映像機材レンタルショップのPXW-Z190の注意書きから得た情報で、実機で確証をとれていないためレンタルで使用するときに必ず確認する必要があると考えていた懸念点です。
ライブ配信を伴う撮影ではSDIまたはHDMIでライブ配信機器に接続しますが、もしPXW-Z190ではSDI・HDMI同時出力ができないとなるとライブ配信ではカメラの映像を外部モニターに出力するといったことができなくなります。
新しく発売されている他社のカメラ(Panasonic AG-CX350・Canon XF605)ではSDI・HDMI同時出力に対応しているため、ライブ配信用途ではPXW-Z190を選ばないほうが良いってことになってしまいますよね。
結論から先に言うとフルHDのSDI・HDMIの両方同時出力が出来ました。
検証ではHDMI・SDI同時出力と、SDI⇒HDMI変換アダプタを使ったHDMIの同時出力も問題なく実施できました。
ではレンタルショップの情報はガセ誤った記載だったのかなと思いきや、よくよく調べると設定によっては同時出力ができなくなることがあることが分かりました。
まず記録フォーマットがフルHD(1920P 50)の場合です。
メニューの映像出力の項目で「出力On/Off」が両方Onにします。
次に出力フォーマットの設定です。
出力設定では記録設定と同じ解像度または低解像度の映像を選べるようになっています。
プログレッシブとインターレースを選ぶことができるのも分かりました。
次に記録フォーマットをフルHD(1920P)から4Kに変更します。
そうすると出力設定では4KのSDI出力ができないようになっています。
つまり出力フォーマットの設定は記録フォーマットの選定によって状況が変わるため、カメラの内部記録とインターネットライブ配信の映像出力が両方必要な場合に不都合が生じるケースがあるということになります。
例えばインターネットライブ配信でよく利用されているZoomを使った配信では、スイッチャーの負荷を下げるために720×480Pの解像度の映像出力を求められることがあります。
これはZoomが多数の視聴者に向けて配信する場合にクラウド(CDN)接続になり、クラウド(CDN)接続では高解像度の配信ができないようになっているからです。(2021年12月時点では最高640x360)
PXW-Z190では720×480Pで出力するには記録フォーマットを720x486iにする必要があります。
こうなるとカメラの高画質内部記録ができなくなるため、とても厄介な仕様と言えます。
インターネットライブ配信ではスイッチャー側の設定でも解像度を設定できるので、その点を全て把握できているオペレーターの方が担当すればそこまで問題になることはないと思いますが、撮影だけを請けている場合は要注意でしょう。
PXW-Z190のNDフィルターは一般的なローレットタイプのNDフィルター(3段階 0・1(1/4ND)・2(1/16ND)・3(1/64ND))とNDフィルタの濃さを自由に変えられる可変NDフィルターの併用型となっています。
私はPXW-FSシリーズで初めて使うようになりました。
浅い被写界深度で撮るソニーのシネマカメラだけが持つ機能なのかなと思っていましたが、PXW-Z190にも実装されています。
また、3段階のNDフィルターの値もメニュー画面で変更できるようになっているのは非常に便利です。
レンズの開放値は最大開放値から少し絞った状態が解像力が最大になり、さらに絞るほど低解像になります(小絞りボケ)。
個人的な目安ですが、なるべく絞り値は4.0~6.3で撮影するようにしており、6.3以上に絞らなければならないときはNDフィルター(1段目)を入れるようにしています。
ただ、状況によってはNDフィルターを入れることで暗くなりすぎて絞りをF2.8まで開けないと暗い映像になることがあります。
このような時に便利なのが電子式可変NDフィルターです。
3段階のNDフィルターを入れた後、好みの絞り値に固定した上で可変NDフィルターで露出設定を追い込んでいくことができるので非常に便利です。
センサーサイズが小さいビデオカメラは小絞りボケが起こりやすいので、電子式可変NDフィルターを使うことで求める画質を追求できるようになっています。
つまりPXW-Z190はNDフィルターを使う環境で画質を追い込める業務ビデオカメラであると考えることができます。
運動会やスポーツの撮影といった明るい環境で、高精度の人物ピントフォーカスが必要な場合、PXW-Z190はベストな選択となります。
PXW-Z190は暗いという評判をよく聞くので、どのぐらい暗いのかなと心配していました。
フルHD(1920×1080 50M)で撮影したデータをPremiere Proで切り出した画像がこちらです。
ページに表示している画像は長辺800pxになっているので、フルサイズで確認したい方は拡大画像を表示してご覧ください。
撮影設定は絞り F4.0 シャッター速度1/60 ゲインレベル 12dBです。
レンズはズーム端でF2.8で撮影出来るので、解像度を十分保てるよう少し絞った状態となります。
私の個人的な感想ですが、PXW-Z190の感度耐性はNX5Rと比べるとかなり良く、見た感じ6dBぐらいと思えるほどノイズが少ないです。
これが裏面照射型CMOSセンサーの威力でしょうか。これならレンズの暗さをゲインで十分カバーできそうです。
ここでまとめます。
PXW-Z190は撮影環境によっては何の文句もない素晴らしい業務カメラになります。
特に日光や照明で十分な明るさを得られるなら、記録撮影・インターネットライブ配信どちらの用途でも十分な性能を発揮することができます。
特に可変NDフィルターで絞りを固定できるので、小絞りボケが発生することなくレンズの解像度を最大限発揮できます。
4Kのダブル記録ができない点や、映像の外部出力は記録設定によって左右されるので、カメラの内部記録を行いながらライブ配信に出力する場合は注意が必要です。
オートフォーカスは抜群で顔検出AFをアサインボタンに当てることで、人物撮影には相当精度の高いピントフォーカスが可能となります。
発売して年数が経っていますが、十分購入に値するカメラです。
Canon XF605とどちらを買うか非常に悩ましいですが、プロ機としての外観や映像クオリティを求めるならPXW-Z190のほうがおススメです。
以上。PXW-Z190の検証とレビューでした。