プロの映像制作者さんは
どんなSDカードを使ってるの?
ビデオカメラはもちろん、一眼カメラでも動画を撮影する方が増えています。
動画と写真でSDカードの選び方が違うのはご存知?
動画用のSDカードは選び方が難しくて、値段だけで判断するとかなり高い確率で失敗します。
動画用のSDカードが売っているわけではないので、SDカードに表記されている数値を見て適切なものを選ばないといけません。
先日こんなツイートをしました。
SDカードごとに容量や読み書きの速度などが違うため、適当に選んでしまうと不便な思いをすることが多々あります。
そうならないためにも、SDカードについてある程度の知識を持っておいた方が良いです。
ここでは動画クリエイターさん向けに、SDカードの選び方について詳しく紹介します。
SDカードのスピードクラスをはじめ、容量や録画時間、読み書きの速度など、チェックしておきたい項目を解説します。
正しい知識を身につければ、SDカード選びで失敗することもなくなりますよ
動画でこの記事で解説したことをざっくりまとめて見れるので、文章を読むのが面倒な方はぜひ視聴してみてください。
結論から先に言うと、動画撮影で使うSDカードは容量と最大読み書き速度だけでなく「最低転送速度」をチェックする必要があります。
標準的な動画は1秒間に30コマの連続的に記録した静止画を並べたものです。
カメラの進化で、この各コマのデータ容量は日進月歩で増大しています。
カメラの性能に見合っていないメモリーカードではコマ落ちやデータが壊れるというエラーが生じます。
またSDカードは何度も使う間に読み書き速度が低下するので、SDカードの最大読み書き速度ではなく、最低限保証される転送速度の方が重要になります。
プロの動画クリエイターの中では秒間に120コマや240コマ(120fps~240fps)で記録できるカメラが人気があるので、メモリーカードは非常に高性能なものが求められるようになっています。
高フレームレートで撮影することで「スーパースローモーション」と呼ばれる映像表現が実現できます。
この動画ではスーパースローモーションの仕組みを簡単に動画で解説しましたので視聴してみてください。
ハイエンドクラスの一眼カメラは4Kの画質で秒間60コマ(60fps)で記録できるようになっており、簡単にプロっぽい映像表現が出来るようになっています。
このような高画質+高フレームレートの動画を確実に記録できるSDカードを選ぶときにチェックするのがSDカードのスピードクラスです。
SDカードのスピードクラスとはなんなのでしょうか?
スピードクラスとは、文字通りSDカードの書き込み速度を表す指標です。
SDカードの書き込み速度は明確な規格があり、すべて数字でSDカードの本体(または箱)に表示されています。
数字が大きいほど速度が速い、高性能だという証です。
そのため高性能で書き込みが早いSDカードを求めるなら、スピードクラスの数字が大きいものを選ぶのが良いということになります。
少しややこしいのは、スピードクラスには大きく3つの種類があるという点です。
✅C スピードクラス
✅U UHSスピードクラス
✅V ビデオスピードクラス
以上3つのアルファベットと数値で表されています。
まずはCのスピードクラスから解説します。
従来のSDカードでは使用回数を重ねるごとに、書き込み速度が遅くなる可能性がありました。新たに策定されたSDスピードクラスでは、一定以上の速度が保証され、常に安定した性能でお使い頂く事が可能となりました。SDスピードクラスで表示されている数字はそれぞれ「保証されている最低の転送速度」を示しており、数値が高いほど対応機器も多く高速です。
Cの中に数値が表記されており、C4・C6・C10と3種類あります。
SD~フルHDが主流の時代に生まれた規格で、最近(2021年1月時点)は表記されなくなりつつあります。
C4よりもC6、C6よりもC10のSDカードの方がスピードが速いことを意味しています。
最低転送速度10MB/秒 フルHD向き(1920×1080) | C10 |
最低転送速度6MB/秒 HD~フルHD(1280×720 ~ 1920×1080) | C6 |
最低転送速度4MB/秒 HD(1280×720)向き | C4 |
現在は4K動画に対応したSDカードが主流になっているので、Cの表記がないものはC10と考えて差し支えないです。
転送速度の指標にUHSスピードクラスがあります。
この表記は二種類あります。
✅U1(UHS Speed Class1)
✅U3(UHS Speed Class3)
それぞれの最低転送速度は以下になります。
UHS Speed Class1 転送速度の最低保証は10MB/秒 | SD・HD向き |
UHS Speed Class3 転送速度の最低保証は30MB/秒 | フルHD・4K動画撮影対応 |
最近はフルHDで撮影できるカメラが標準になっているので、U1のSDカードはほとんど見かけなくなってきています。
通販で購入する場合は間違ってU1を購入しないように注意すれば良いです。
✅UHS-I
✅UHS-II
またUHSには規格以外にもインターフェースの違いがあります。
UHS-I とUHS-II の見分け方は「SDXC」と表記されている周辺に I または II が表記されています。
また裏面のSDカードの接続端子も違いがあります。
UHS-IIのほうがピンが2段に分かれて並んでいます。
UHS-I は最大104MB/秒、UHS-II は最大312MB/秒でデータ転送できるようになっています。
この性能差を考えるとプロのクリエイターは UHS-II 一択と言えそうですが、残念ながらUHS-II 対応のカメラでないとSDカードをUHS-II にしてもその性能を発揮することがありません。
現時点(2021年1月時点)では動画性能の高い上位モデルのカメラがUHS-II に対応し、ミドルクラス以下のカメラはUHS-I 対応となっています。
SDカードの性能を表す指標の1つに、ビデオスピードクラスがあります。
ビデオスピードクラスは次世代の規格に対応していて、動画が専門のクリエイターは必ずチェックしておきたい指標です。
例えばプロ向けのカメラ EOS-1DX MarkIIIを見てみると
高度な編集を可能にする、5.5K 12bitのRAW動画
12bitの豊富な階調データを持ち、編集耐性の高いRAW動画※の内部記録が可能です。HDR素材やコントラストの高いシーンの撮影、高度な編集を前提とするワークフローに対応。また、ピクチャースタイルやホワイトバランスを、画質を劣化させることなく変換できるほか、色や明るさ、コントラストなどを調整する際の自由度が高いという利点もあります。さらに、2枚のカードを使って、RAW動画と通常動画/Canon Logを同時記録することも可能です。
4K以上、6Kなど高解像度で映像を記録できるようになっています。
また、色域の広い10bit 4:2:2でも撮影できるみたいですね。
このようなカメラが登場してきたおかげで、従来のスピードクラスやUHSスピードクラスでは判断できなくなっています。
そこで役に立つのがビデオスピードクラスです。
ビデオスピードクラスは次世代の解像度にも対応できる規格と言われています。
ビデオスピードクラスは速度がいくつかに分かれています。(2023年12月時点)
✅V6
✅V10
✅V30
✅V60
✅V90
数字が大きいほど速度が速く、現時点で最高速度を出せるのはV90ということになります。
Vの後に付く数字は最低保証速度を指しています。
最低でもこれだけの速度が出ますよという意味です
V90の場合、90MB/sが最低保証速度ということになり、1秒あたり90MBの書き込み速度が出ます。
V60なら60MB/s、V30なら30MB/sといった感じです。
これまで解説したスピードクラスの指標である「U」や「C」よりも次世代の画質に対応した分かりやすい指標と言えます。
V60やV90のSDカードでは4K動画を安定して記録できます。
V90(最低速度90MB/秒以上) | 8K |
V60(最低速度60MB/秒以上) | 8K |
V30(30MB/秒以上) | 4K |
V10(10MB/秒以上) | フルHD |
例えば4Kで動画を撮影するならV30で事足りると考えられますが、4K+高フレームレート(4K60P~)、4K+10bit となるとデータ容量が大きくなるので、V60またはV90を選ぶのが良いと言えます。
ただし転送速度が速くなるほど値段が高くなるのと、無駄に高速なものを選んでもその効果を十分に活かしきれないこともあります。
予算内で、自分が撮影する映像に見合ったSDカードを選ぶということも大切です。
SDカード選びで重要なポイントになるのが、容量・録画時間についてです。
容量が足りないと動画をすべて録画できない場合もあるでしょう。
また、カメラの画質設定によって必要な容量も変わるので注意が必要です。
HD~フルHD | 32~64GB |
フルHD~4K | 64~128GB |
4K~6K | 256GB~ |
単純に数字が大きくなるほど録画時間も伸びていきますので、困ったら容量の大きいものを選ぶのが無難でしょう。
また、SDカードには本体に容量を示すアルファベットも書かれています。
それが以下のような文字です。
SD | 容量~2GBまで |
SDHC | 2~32GBまで |
SDXC | 32GB~2TBまで |
SDUC | 2TB~128TBまで |
SDカードには上記のいずれかの文字が書かれていて、おおよその容量も示しています。
SDなら最大で2GBまで。
SDHCなら2GBから32Gまで。
SDXCなら32GBから2TBまで。といった具合です。
SDUCがもっとも容量が大きくなるのですが、これは2018年に登場したばかりの新しい規格で、2021年1月現在ではまだ対応したSDカードはありません。
現状ではSDXCのSDカードがもっとも大容量ということになります。
通常は数字で容量をチェックするのであまり意味はありませんが、知っておくと便利な規格です。
SDカードの性能を決める要素の1つが読み書き速度です。
データを読み込んだり、書き込んだりする際の速度のことで、速ければ速いほど快適になります。
また、読み込み速度と書き込み速度は同じではなくそれぞれ違うので、両方をしっかりとチェックする必要があります。
読み込み速度は十分でも書き込み速度が不足しているなんてこともあり、両方が要求する速度を満たしていないといけません。
SDカード本体やパッケージには、必ず最高転送速度が記載されています。
✅R(Read)…読み込み
✅W(Write)…書き込み
RとWで読み書き速度を表していて、一般的にはWよりもRの数値の方が大きくなります。
Rの数値が大きいほど、SDカードからパソコンにデータを転送するときの速度が速くなります。
読み取り速度が速いほど短時間でパソコンに転送でき、待ち時間が少なくなります。
それに対してWの数値(書き込み速度)は写真用途でSDカードを選ぶ時に重要となります。
カメラの連写機能を使って撮影する場合、Wの数値が低いSDカードを使うとデータ書き込みが遅れ、続けて撮影ができません。
この動画では書き込み速度の違うSDカードで連写した場合、データ書き込み時間がどのぐらい違うか比較しています。
写真撮影で連写機能を使う頻度が高い方はぜひ視聴してみてください。
最高転送速度の速いものを選んでおけば、データの読み書きや転送も快適になり、撮影時にわずらわしい思いをすることもなくなります。
動画用のSDカードを正しく選ぶ手順をまとめます。
✅最低保証の転送速度をチェック
✅4K以上ならビデオスピードクラスを確認
✅必要な容量をチェック
まずは3種類のスピードクラスをチェックして最低転送速度をチェックします。
フルHD以上の画質や高フレームレートで撮影するならビデオスピードクラスのチェックが必須です。
その次に重要なポイントとなるのが容量です。
これらをそれぞれチェックし、最適なものを選びましょう。
カメラの性能が高まるほど、要求されるSDカードの性能も上がります。
カメラ買換え時にはメモリーカードの買い替えも念頭に入れておきましょう。
仕事でカメラを使う方はSDカードの出費もバカにならないと思いますが、ダブルスロットのカメラならせめて1枚だけでも性能の良いSDカードを使って備えるのがおススメです。
最後に私がおススメするSDカードを紹介しておきますね。
SD~フルHD(60P) |
|
フルHDハイスピード撮影(120P~240P)または4K30P |
・SanDisk Extreme Pro 128GB UHS-I
|
4K60P |
・SONY TOUGHシリーズ128GB SF-G128T |