OWC Thunderbolt Dockを買ったよ!
使用感や接続例を解説します
この記事を読もうとしてくれている方はThunderboltについて理解した上でOWC Thunderbolt Dockに魅力を感じている方だと思っています。
だけどOWC Thunderbolt Dockを購入した私はこの製品の性能を十分に発揮できていません。
後々Thunderbolt 4対応のノートパソコンを購入して解決する予定です(泣)
ここではOWC Thunderbolt Dockを使うとどんなメリットがあるのか。
OWC Thunderbolt Dockの機能や、接続例と実機を使って検証した結果や使用感を紹介します。
また、OWC Thunderbolt Dockを購入するとメリットがある人、そしてそうでない場合もあることを詳しく解説するので、OWC Thunderbolt Dockの購入を検討している方はぜひ読んで見てください!
Thunderbolt Dockは類似商品も数多くある上に、USBの規格や用途をよく分かっていないとその性能を発揮できません。
Belkin ドッキングステーション ハブ USB-C Thunderbolt3 | 4.1万円 |
Anker PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dock | 3.7万円 |
Thunderbolt 3 Dock ドッキングステーション/WAVLINK | 1.7万円 |
StarTech.com Thunderbolt 3 ドック | 2.8万円 |
※販売価格はAmazonで2024年1月に調べています
Thunderbolt Dockとよく似た製品にUSBハブがありますが、Thunderbolt DockはUSBハブをウルトラハイグレードにした製品です。
まずノートパソコンやデスクトップパソコンに接続してUSBポートを増やすことができます。
本体後面にはUSB Type-A端子が3つとType-C(Thunderbolt 4)の端子が3つ備わっております。
そしてLAN端子もあるのでThunderbolt Dock経由でネットの有線接続ができます。
またOWC Thunderbolt Dockの前面にはSDカードスロットやUSB2.0、ヘッドホン出力端子、そしてノートPCと接続するためのUSB Type-C(Thunderbolt 4)が備わっています。
例えばThunderbolt Dock経由でノートPCへSDカードのデータを転送することもできます。
OWC Thunderbolt Dockは電源が必要で付属のACアダプターを使用します。
ノートパソコンのACアダプターと同じような大きさになっており、USBで接続した機器へ給電も可能になっています。
私の場合、OWC Thunderbolt Dockはパソコンデスクに据え置いて使うことになりました。
ではThunderbolt DockはUSBハブとどう違うのでしょうか?
これを理解するにはThunderboltとUSBの違いを理解する必要があります。ココがちょっとややこしいです。
OWC Thunderbolt Dockはその名の通りThunderboltに対応しています。正確にはThunderbolt 4対応の製品です。
Thunderbolt 4は最大40Gbpsの転送速度で双方向にデータのやり取りが可能です。
最大40Gbpsの転送速度(Thunderbolt 3と同等)
PCI-express 4.0接続をサポート
Thunderbolt 3ではPCI-express 3.0をサポートしていましたが、Thunderbolt 4はさらにPCI-express 4.0もサポートします。
ちなみにThunderbolt 4で使うケーブルはThunderbolt 4ケーブルで、USB Type-Cと同じ形状でケーブルの先にイナズマのマークと数字の4が明記したものを使います。
私たちが普段から利用しているUSB端子には規格が細かく分かれておりまして、USB Type-Cの形状でも上の表のように4つの規格があります。
一方、ThunderboltはインテルとAppleが共同開発した規格です。
Thunderbolt1,2,3,4と数字が大きくなるほど新しい規格となっています。
ThunderboltとUSBは規格がまったく異なるのですが、Thunderbolt 3の端子がUSB Type-Cと同じになったことで一定条件(オルタネートモードを利用できるType-Cケーブルを使う)で互換性を持つようになったそうです。
要するにThunderbolt 4はUSBの最上位規格なんでしょ?
私は既存のUSBハブよりも転送速度が速くダンゼン有利に使える!
と安易に考えてOWC Thunderbolt Dockを購入しました。
決して間違いではありませんが、正しい使い方をせねばOWC Thunderbolt Dockの性能は発揮できません。
以降は私のOWC Thunderbolt Dock購入前の利用イメージと、実際に使ってみて起きた失敗談を語ります。
私が描いたイメージが上の図のような感じです
常時デスクトップパソコンにOWC Thunderbolt Dockを接続しておいて、ライブ配信用のスイッチャーやオーディオインターフェース、モニターを接続しておきます。
そして外出先にてノートパソコンで作業した場合、ノートパソコンをThunderbolt 4ケーブル一本繋ぐことでデスクトップパソコンへデータ移動も高速転送できる。
さらにはノートパソコンでも配信用スイッチャーやオーディオインターフェースを共有して使える。(この時デスクトップPCはオフね)
場合によってはOWC Thunderbolt Dock経由でThunderbolt 4 対応eGPUへ接続。
ノートパソコンでも強力なビデオカードを使ってサクサク動画編集だー!
なんて妄想を繰り広げていましたよ(笑)
この妄想はいくつか実現できましたが、ダメだった点もあります。以降ではその解説もしてみましょう。
私はカスタマイズしたBTOパソコンと自作パソコンを使っているので、すぐにThunderbolt 4拡張カードによるThunderbolt 4接続を思いつきました。
よく調べもせずにOWC Thunderbolt Dockと同時にASRockのThunderbolt拡張カード「Thunderbolt 4 AIC」を購入。
OWC Thunderbolt Dockを常時接続しようと考えていたパソコンのマザーボードはASRock B550 Pro4です。
Thunderbolt拡張カードとマザーボードのメーカーは合わせたほうが良いそうですね。
そしていざ取り付けようとするとマザーボードにThunderbolt拡張カードのケーブルを取り付けるピンがないことに気が付きました。
そうなんです。
ASRock B550 Pro4はThunderbolt 4非対応なんです。もちろんThunderbolt 3も非対応(泣)
前回組み立てた自作パソコンのマザーボードはASRock Steel Legendで、Thunderbolt3のピンは普通に備わっていたので、新しいマザーボードならあるもんだという勘違い。
Thunderbolt 4は新しい規格でもあり、対応マザーボードが少ないのが現状です。
ASRockに問い合わせた時点では、「B550 PG Riptide」が対応しているそうです。
というわけでThunderbolt 3拡張カードを取り付けたデスクトップにOWC Thunderbolt Dockを接続することになりました。
Thunderbolt 4拡張カード「Thunderbolt 4 AIC」は無駄な買い物になってしまいましたよ。
Thunderbolt 4拡張カードでOWC Thunderbolt Dockを利用しようと考えている方はマザーボードが対応しているかどうか確認してください。
OWC Thunderbolt Dockのメリットの一つにノートパソコンへの給電ができる点があります。
ノートパソコンを充電するための96W給電と接続されたデバイスへの電力共有が可能です
ただし、これはOWC Thunderbolt DockのPCマークがある端子のみ96Wの電力で給電しているようで、他のThunderbolt 4端子にノートパソコンをつなげても給電できません。
そういえばよく見ると前面のThunderbolt 4端子にはノートパソコンのマークと90Wの文字が。
後面のThunderbolt 4には何も書かれていません。
前面のThunderbolt 4にノートパソコンを接続するとノートパソコンの充電が始まり、ACアダプターなしで運用できるのが分かりました。
他のThunderbolt 4端子では給電できません。
一方でスマホをUSB接続するとすべてのThunderbolt 4端子で充電できます。
USB接続でカメラも充電できるので非常に便利です。
パワーデリバリー対応のUSBケーブルならThunderbolt 4端子だけでなく、USB Type-Aのすべての端子で充電・給電可能です。
箱を開けてみるとこのような丁寧な注意書きがあるので、すぐに気が付くべきですが..
OWC Thunderbolt Dockは1台につきPC1台しか認識しません。
デスクトップPCに常時接続しているOWC Thunderbolt Dockをノートパソコンに接続するなら、デスクPC側のThunderboltケーブルを抜いてノートパソコンに接続するか、ケーブルごと入れ替えることになります。
また購入前に想定していた外付けのビデオカードボックスは、どの製品もPCに直接接続が推奨のようでThunderbolt Dock経由で認識するかどうかも分からず、認識したとしてもビデオカードのパフォーマンスが発揮できない可能性もあるみたい。
eGPUボックスの中にはUSBやLANポートを持った製品もあるので、Thunderbolt Dockを買わなくても良かったかもしれん..
OWC Thunderbolt Dockの転送速度を調べるために2種類のメモリカードの転送速度をチェックしてみます。
検証で利用したのはSONYのSDカード UHS-II対応SDカード「SF-G 64T」とCFexpress Type Aカードの「CEA-G80T」と専用のカードリーダーMRW-G2です。
どちらの製品もSONYのハイエンドビデオカメラで4K60P All-Iや4K120P All-Iを収録する際に必要になるメモリーカードで、高速な読み書き性能を持っています。
SF-G 64T |
読込速度:300MB/s |
CEA-G80T |
読込速度:800MB/s |
SDカード「SF-G 64T」をOWC Thunderbolt Dockに接続し、CFexpress Type Aカードはカードリーダー経由でOWC Thunderbolt Dockで接続します。
そしてそれぞれの転送速度をCrystalDiskMarkで計測してみることにします。
また、パソコン側がThunderbolt 3対応である場合と、そうでない場合を比較してみることにします。
どちらも保存データがあることと、経年劣化で多少読み込み速度が落ちるのが予想できますが、どのぐらい理論値に近いのか確認することでOWC Thunderbolt Dockの転送速度を見てみましょう。
それではOWC Thunderbolt DockとThunderbolt 3拡張カードを登載したデスクトップパソコンで、Thunderbolt 3接続を実施したうえでSDカードとCFexpress Type Aカードの転送速度を計測してみます。
CrystalDiskMarkの判定結果では、CFexpress Type Aカードがシーケンシャルリード821MB/s、シーケンシャルライト662MB/sとなりました。
書き込み速度(シーケンシャルライト)が理論値5%ほど下回っておりますが、データも入っておりますので誤差範囲内と考えます。
またSDカードの方はシーケンシャルリード304MB/s、シーケンシャルライト264MB/sです。
Thunderbolt 3接続ではメモリーカードの転送速度の性能を十分に発揮できるのが分かりました。
次にOWC Thunderbolt DockとUSB Type-C端子を搭載したノートパソコンを接続して同じメモリーカードの転送速度を計測してみます。
CrystalDiskMarkの判定結果では、CFexpress Type Aカードがシーケンシャルリード450MB/s、シーケンシャルライト418MB/sとなりました。
転送速度が理論値より40%ほど下回っており、かなりの性能低下です。
またSDカードの方はシーケンシャルリード267MB/s、シーケンシャルライト271MB/sです。
SDカードはOWC Thunderbolt Dockの本体に挿し込むからでしょうか。
CFexpress Type Aカードほど性能低下はしておりませんが、Thunderbolt 3接続と比べると読込速度(シーケンシャルリード)がやや低下しています。
この結果を見るとやっぱりThunderbolt 3接続のほうが優れているようです。
・Thunderbolt接続環境でUHS-II SDカード・CF-Expressカードの転送速度を発揮できる
・接続するPCがThunderboltに対応していない場合は20~40%パフォーマンス減
・USB Type-Cでも運用は可能です
パソコン側がThunderbolt 3(あるいはThunderbolt 4)に対応することが重要になるので、OWC Thunderbolt Dockを利用する方はご注意ください。
私にとってOWC Thunderbolt Dockは当初のイメージ通りに使えていなくて少し残念なのですが、2台のパソコンで使いまわせないことはないので使い方次第だと思っています。
✅Thunderbolt 4端子を搭載したノートパソコンを持っている方
✅Thunderbolt 4の転送速度を生かして大容量データをやり取りしたい方
✅デスクの周辺機器にケーブル一本でPCへ接続したい方
ライブ配信スイッチャーやオーディオインターフェースを揃えてリモートワーク機器が充実してきたけど、毎回ケーブルを接続するのが面倒。という方はOWC Thunderbolt Dockがあると効率よくリモート会議を開始できるでしょう。
OWC Thunderbolt Dockと液晶ディスプレイをThunderbolt(USB-C)ケーブルで常時接続しておけば、ノートパソコンをデュアルディスプレイ仕様にするのもスムーズです。
カメラにも給電できるので、動画編集者さんやライブ配信者さんは使い方次第で作業効率がアップするのでオススメですよ。