動画クリエイターの方ならインタビュー動画を制作した経験があるのではないでしょうか。
インタビュー動画はweb集客に効果的で、製品PR動画や新卒採用動画にもインタビュー動画が活用されています。
ただし、構成やインタビュー内容を失敗すると、効果を発揮できないどころか視聴者にマイナスイメージを与えてしまいかねないリスクもあります。
インタビュー動画は質問内容がクオリティに大きく影響します
ここでは品質の高いインタビュー動画を作るための構成やインタビューの質問内容、カメラの構図について解説いたします。
ポイントを押さえれば市販のカメラでも十分作れるので、動画制作を内製化したい企業のPR担当者の方もぜひ読んでみてください。
2024年 2月 監修者:ビデオ制作ディレクター / MDM合同会社 代表 水田吉紀
2012年 営業職から映像製作会社に転職し、映像カメラマンの業務に携わる。
2020年 MDM合同会社を設立。主に関西エリアでビデオ撮影・動画編集の仕事を請け負っている。
私たちは今、あらゆる製品をインターネットで調べてから購入するようになっています。
「買って失敗したくない」という考えが強い人ほど製品について調べる傾向があり、キーワード検索ばかりでなく動画検索も行うようになっています。
そのような中で、インタビュー動画はインターネット集客において大きな効果を発揮すると言われており、インタビュー動画の制作案件はますます増加しています。
その理由を見ていきましょう。
カメラを使い、利用者に対してインタビューする手法はよく用いられます。
商品やサービスを利用してみてどうだったか、個人の感想を聞く形です。
出典:CREATOR'S VOICE ゆきりぬ|「DAIV」すべてのクリエイターに送る究極のPC
この動画はBTOパソコンショップのマウスコンピューターのPR動画でクリエイターにインタビューを行う形式で自社製品の有利性をアピールしています。
動画の構成は製品のPRを控えめに、クリエイターのファン層に向けてメッセージを伝える設計になっています。
最近のインタビュー動画は商品をヨイショしすぎず、最後に軽く推すぐらいのほうが好まれるようですね
こうしたインタビューでは利用者が満足した点や、良いと感じた点などを視聴者にアピールできます。
購入しようか迷っている視聴者に対して、商品やサービスのメリットを伝えることになり、購入を決断してもらうきっかけとなります。
しかもインタビュー動画は文章と比べると、利用者1人1人の声や表情を直接確認できるため、伝わりやすく信ぴょう性が高いと判断してもらえる傾向があります。
質問の仕方によっては、視聴者が知りたいと感じている部分や気になっている部分への回答にもなり、購入に慎重な人の心を解きほぐす重要な役割を果たしてくれると言えるでしょう。
たとえインタビュー動画を作成しても、本当に労力に見合うだけの効果を期待できるのでしょうか?
この点に関しては、Forrester Researchというアメリカのリサーチ会社が行った調査が参考になります。
どのような調査かというと、動画の使われているwebサイトと、動画の使われていないwebサイトそれぞれで、どちらが検索結果の上位に掲載されやすいのかというものです。
結果としては動画の使われているwebサイトの方が、53倍の確率で検索結果の上位に掲載されやすいという調査結果を公表しています。
動画がSEOに役立つかどうかは様々な場所でSEOの専門家同士で議論が交わされておりますが...
電子書籍やダウンロード販売など無形の製品が増える中、信頼性が高いユーザーが発信する商品の体験情報は購入判断の一つになるのは明らかです。
つまり、インタビュー動画を作成し、web集客に利用することでより多くの人に手にとってもらえるチャンスが増えるのです。
インタビュー動画を作る際は、入念な打ち合わせをしておきましょう。
質問内容を質問者と回答者でチェックし、スムーズな受け答えができるようにしておきます。
カメラが回っているだけでも、慣れていない人にとっては緊張してしまいます。
取材対象者の方がリラックスして喋ることができるよう、撮影が始まる前に雑談をして気持ちをほぐしておくのも撮影者の仕事の一つです。
慣れないうちは開始するまでの雑談のネタも準備しておくと良いですよ
また、カメラの画質やマイクの音質などにもこだわりたいところです。
インタビューの音声収録は以下の記事が参考になるので合わせて読んでみてください。
見やすくわかりやすい動画を作るためにも、細かい部分まで気を付けながら準備を行いましょう。
音声だけだと聞き取りにくかったりするので、大切なところはテロップで補ってあげるのも良い方法です。
良いインタビュー動画を作成すれば、web集客に大きな効果を期待でき、売上アップにもつながります。
インタビュー動画を作成する場合、何を、どんな構成で撮影すべきなのでしょうか?
この動画はクラウド会計ソフトfreeeのYouTubeチャンネルにあるインタビュー動画を前面に使った商品PR動画です。
ここで解説するインタビュー動画の構成ポイントが盛り込まれているので視聴してみてください。
インサートとは差し込むといった意味を持つ言葉です。
インタビュー動画においてもこのインサートという手法が非常に重要になってきます。
基本的にインタビュー動画は、対象者に質問すれば成立しますが、それだけでなくインサートも積極的に活用すると、こちらの伝えたいことがより伝わりやすくなります。
また、根拠を示すという意味でも有効です。
アプリのPR動画ではスマホを操作しているシーンのインサートは定番ですよね
たとえば、インタビュー動画の中で、商品やサービスの構造・仕組みなどに触れるシーンがあったとします。
言葉だけでは不足だと感じた場合、インサートを利用して構造や仕組みの説明をサポートしてあげましょう。
これだけでもわかりやすい動画になり、根拠も示せます。
より詳しい説明をインサートで行うようなイメージでしょうか。
図解による説明を表示したり、言葉の意味を説明するテロップなどを出すことで動画の質を高めることができます。
インタビュー動画では撮影前に以下の2点を事前に確認して準備しておきましょう。
・何を伝えたいかを明確にする
・インタビュー対象者はサービスに対して十分な知識を持っているか確認する
この2点がしっかり準備できていないと、中身の無い動画になってしまいます。
インタビュー動画はマーケティング手法の1つですから、商品やサービスの宣伝ができなければ意味がありません。
ただインタビューすれば良いのではなく、動画を通してどんなことをアピールしたいのかを整理しておきましょう。
また、インタビュー内で語られていることに根拠があるのか、インサートで示すことも大切です。
先程も触れた点ですが、どこにどんなタイミングでインサートを挿入すると効果的なのかを意識しましょう。
インサートだらけでも見にくくなってしまうので、ポイントを絞ることも必要です。
動画ですのでカメラを使って撮影することになりますが、使用するのはデジタル一眼カメラがオススメです。
デジタル一眼カメラなら性能も高く、より良い動画が撮影できます。
画質が良くコントラストも高いので素人目線でも「キレイな画質」として見れますし、屋内でも屋外でも綺麗な映像を撮影可能です。
特に撮影に慣れていない人がインタビュー動画を撮影する場合、カメラの機能に助けられる機会も増えるでしょう。
予算によっては小型のミラーレスカメラは不安に思われる可能性もあるので、10万円前後の予算なら一眼で。
30万以上の予算ならラージセンサーのシネマカメラをレンタルして使用するのも良いかもしれません。(例:SONY FS7・Canon C200)
代理店やクライアントが映像チェックするためのモニターを使うならシネマカメラがオススメです
ただし最新のミラーレス一眼とシネマカメラで画質はさほど変わりはなく素人目線では分からないので、クライアントとの信頼関係が確かなものであればカメラの種類はさほど気にする必要はありません。
自分が使いやすいカメラを用意し、しっかり準備してインタビュー動画を撮影すれば効果も期待できるようになります。
インタビュー動画ではカメラはどの位置に置くのが良いのでしょうか?
目線を合わせるのか、外すのかでも印象は大きく変わってきます。
この動画はインターネット広告代理店の株式会社メディックスによる『新卒採用サイト』会社紹介動画です。
カメラ目線や被写体をフレームにどう配置させるのか?非常に参考になるので視聴してみましょう。
1台のカメラでインタビュー動画を撮影する場合、対象者の目線が外れるようにカメラを置くのがセオリーと考えられています。
具体的に説明するとインタビューする人と、インタビューに答える人が対面するように向かい合い、対象者の斜め横にカメラを置くようなイメージです。
2人とカメラが三角形になるような配置が良いでしょう。
画面で見た場合、対象者が斜めに写っている形になり、実際にこの角度から撮影されたインタビュー動画は少なくありません。
対象者の正面から目線を合わせる形でカメラを置いても良いのですが、視聴者に圧迫感を与えてしまうことがあります。
力強さを演出したい時は良い角度ですが、その力強さが逆にマイナスに働いてしまうこともあるので注意しましょう。
斜めから撮影すると、対象者はインタビュアーに向けて話をしますので、カメラに目線が合うこともなく、視聴者は第三者的な目線で動画を閲覧できます。
動画内にテロップを表示することも多いと思うのですが、この場合はテロップの表示位置もあらかじめ考えておきましょう。
カメラを斜め横に置いて撮影する場合、対象者の向かって右に置いているなら画面の左側に、向かって左に置いているなら画面の右側に大きなスペースができます。
たとえば上のような構図なら左のスペースにテロップを表示すれば、対象者にテロップが被ってしまうこともありません。
このままの動画では非常に不自然な構図に思えるかもしれませんが、スペースが大きいほど文字テロップを大きなサイズで配置できます。
テロップで強調したい発言があった場合は非常に有効的な構図と言えます。
また、テロップは画面下に表示するケースも多くなりますので、画面下部分にテロップのためのスペースをあらかじめ用意しておくのも良い方法です。
液晶モニターのテロップ部分に黒く塗った段ボール紙を被せるなんて事もやってましたよ
対象者の胸あたりまで映るようにしておけば、テロップで顔が隠れるような心配もありません。
どこにテロップを表示するのかはあらかじめ考えておき、それを踏まえたうえで画面の構図を決めることが大切です。
テロップを使うなら対象者の胸あたりまで映るのが良いと紹介しましたが、これはミディアムショットと呼ばれる比率です。
バストショットとも呼ばれます。
このように対象者をどのくらい映すのかによっても比率は代わり、動画の印象も変わってきます。
顔だけを映すのはアップショットと呼ばれ、画面に大きく対象者の顔が映ることになりますので、迫力ある映像となりますが、同時に圧迫感も感じさせます。
一般的なインタビュー動画では、アップショットはあまり使われません。
バストショットを含めたミディアムショットには、他にウエストショットやニーショットと呼ばれる比率があります。
ウエストショットは対象者の腰あたりまで、ニーショットは対象者の膝あたりまでを映します。
全身を映す場合はロングショットと呼ばれますが、インタビュー動画だと対象者が遠く感じられたり、カメラとの距離が離れるので音声も拾いにくくなり使われることは少ない構図です。
こうした比率の中から、どれがベストなのかを実際の映像を確認しながらチェックしていくことも必要です。
バストショットを基本にし、要所でアップショットを使ったり、ロングショットを使ったりするのも良い方法です。
「失敗しないインタビュー動画の作り方」では編集時にクロップする方法も解説されているので合わせて読んでみてください。
インタビュー動画の場合、特定の対象者に注目し、その人の話を聞くことがメインとなります。
そのためカメラが動く必要は基本的になく、手ぶれも厳禁です。
インタビュー動画を撮影する時はカメラが揺れたりしないよう、しっかりと固定しておくようにしましょう。
三脚が有効で、逆にカメラを手に持っての撮影は適していません。
インタビューが長時間に及ぶ場合もありますし、カメラの配置を決めたら三脚で固定し、基本的には動かさないことがポイントです。
カメラを動かしながら撮影すると、臨場感やスピード感のある映像を撮影できますが、インタビュー動画にこうした要素は不要であることがほとんどです。
意図的に動きを出したい時以外は、カメラは固定すると考えておきましょう。
たとえばカメラを顔よりも高い位置に置き、上から撮る場合や、逆に顔よりも低い位置に置き、下から撮る場合などが考えられます。
もちろん顔の高さに合わせて撮影することもありますし、これら3つの角度から最適な角度を探しましょう。
上から撮った場合は俯瞰的な視点になり、下から撮った場合はあおるような迫力のある映像になります。
インタビュー動画ではどちらでもなく、相手の目線に合わせた角度で撮ることが主流ですが、あえて上からや下から撮ることで違った印象を与えられます。
インタビューの目的や内容に応じて角度を考えるとより良い動画が完成するでしょう。
カメラの置く位置を変えるだけで、対象者の印象が変わったり、視聴者の感じ方が変わったりします。
配置と角度に気を付け、ベストな構図でインタビュー動画が撮影できるように準備しておきましょう。
インタビュー動画では質問内容が非常に重要です。
質問を考える時はどのような点に注意すればよいのでしょうか?
質問を考えるにあたって、まずは対象者からどんな言葉、答えを聞き出したいのかを考えておきましょう。
インタビュー動画を撮影すると決まった時点で、なんらかの目的があるはずです。
その目的に応じて
・どんなことを言ってもらえれば動画として成立するのか?
・クライアントがアピールしたいことは何なのか?
・視聴者がどんなことを知りたいと思うか?
以上の3つを考えます。
もちろん質問内容はクリエイターやディレクターのセンスが問われるといっても過言ではありません。
しかし事前にクライアントと打ち合わせをしてアピールしたいポイントと聞き出したいことが明確になっていれば、自然と質問内容も限られてきます。
インタビュー動画では対象者に自由に話してもらうことも大切ですが、動画として使えるワードや考えを話してもらう必要もあります。
こちらがどんなことを聞き出したいのか、この点は必ず整理しておきましょう。
想定していた質問で聞き出せなかった場合は、さらに踏み込んだ質問をするなどします。
あらゆる答えを想定し質問内容を練ることも大切でしょう。
あいまいな聞き方だと相手も答えにくいので、できるだけ具体的な質問を用意しておくとスムーズに撮影を進められます。
たとえば、「感想を聞かせてください」だけだと相手もシンプルな答えで終わってしまうことがほとんどです。
そうではなく「○○についてどんなことを感じたか、具体的にどう思ったかを聞かせてください」とするとより深い話が聞けるようになります。
質問の仕方が少し違うだけでも答えは変わってきます。
いきなり難しい質問をしても、相手も困ってしまいます。
最初は簡単な質問で良いのでまずは答えてもらい、その答えに応じて話を掘り下げていくのも有効なテクニックです。
テーマをだんだん絞っていくようなイメージでしょうか。
インタビュー動画の撮影に慣れていない人が対象者だと、最初はどうしても緊張感があります。
慣れないカメラの前で話すのは大変です。
緊張感をほぐすために雑談から入るのも良いでしょう。
相手が緊張していると感じたら、まずはリラックスさせることを優先し、緊張がほぐれた頃を見計らって重要な質問に入っていきます。
あらかじめ聞き出したいことがわかっていれば、それに合わせて質問を考えられるので、徐々に核心に迫っていくことも可能です。
インタビュー動画は質問の内容がすべてです。
理想的な動画を撮影するためにも、質問はじっくり考えておきましょう。
インタビュー動画の質問を考えるための参考資料として以下の記事を読むと具体的な質問例も見出せますよ。
以下の書籍も役立ちます。
こんな感じです!
インタビュー動画の構成は
「インタビューシーン+インサート動画」
で構成されます。
効果的なインサート動画を活用すれば動画のクオリティアップになります
使用するカメラは予算が少ないなら一眼カメラがオススメです。
第三者が確認できるよう外部モニターを利用すると良いですよ。
インタビューの質問は簡単な質問から始めて、相手がリラックスして話ができるよう環境を整えてあげましょう。
インタビュー動画の編集中の音声ノイズを除去する方法については以下で解説しましたので合わせて読んでみてください。