インタビュー音声をキレイに編集する・ノイズを除去する方法

この記事は2024年7月に更新しました。また記事にはプロモーションが含まれています。

 

インタビューの音声収録は撮影時に細心の注意を払うことでクリアな音で録音できます。

 

インタビュー動画の音声をクリアに収録できるポイント」では予算に合わせた最適な録音機材を解説しています。

 

 

なるべく撮影時に高品質な音声収録ができるのが望ましいのですが、撮影当日に不慮の機材トラブルや天候の悪化などで音声にノイズが入ってしまうことは多々ありますよね。

 

 

注意をしていてもノイズを収録することはありますよねえ

 

予算高めの映像制作ではプロのMA担当者さんにノイズ処理をブン投げることができますが、小予算の映像制作では自分でナレーション編集やノイズ除去をせねばなりません。

 

ここではPremiere Proを使って

・ノイズが入ってしまった場合に動画編集ソフトでノイズを除去・軽減する方法
・インタビュー動画の音声がキレイに聞こえるように編集する手順
・ホワイトノイズや風切り音を除去する方法

を解説します。

 

また、Adobe Auditionを使ったホワイトノイズを完全に取り除く最終手段もあるので最後に紹介してます。

 

音声収録後のノイズでヒイヒイ慌てる前にぜひここで紹介する方法を見て試してみてください。

 

記事監修者

ビデオカメラマン・動画編集 水田 吉紀

2024年 2月 監修者:ビデオ制作ディレクター / MDM合同会社 代表 水田吉紀
2012年 営業職から映像製作会社に転職し、映像カメラマンの業務に携わる。
2020年 MDM合同会社を設立。主に関西エリアでビデオ撮影・動画編集の仕事を請け負っている。

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ノイズ除去の基本手順

 

動画ファイルや音声ファイルに入ってしまったノイズを例に挙げてみましょう。

 

・マイクの品質や接続方法が悪く、サーっというホワイトノイズが入る
・屋外で撮影し、風切り音が入ってしまう
・ピンマイクが衣擦れしてノイズが入ってしまう
・部屋で収録中にパトカーや救急車のサイレンが鳴る

 

挙げるときりがありませんが、上記の例はノイズや騒音が入ってしまう、よくありがちなケースではないでしょうか。

 

SONY モニターヘッドホン MDR-CD900ST

 

ノイズを防ぐためにはまず、音声収録中はモニターヘッドホンを使ってノイズにすぐ気が付けるようにします。

 

 

屋外の撮影ではウィンドウジャマーを必ず装着し、ピンマイクの衣擦れには十分注意します。

 

パトカーのサイレンが鳴ったらすぐに収録を中断して、もう一度撮り直しをしなければなりません。

 

だけど、実際の撮影仕事では撮り直しが出来ない事も多いので、その場合は動画編集ソフトで何とかするしかありません。

 

Premiere ProやEDIUSなど、大半の動画編集ソフトは軽度の音声ノイズを除去できるような機能を備えています。

 

そして重度の雑音を除去するには、編集ソフトから音声ファイルだけを出力してAdobe Auditionのような専用のソフトウェア(通称DAW)でノイズ除去を行います。

 

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Premiere Proのノイズ除去

 

まずは動画編集ソフトの中でも人気が高いPremiere Proを例に紹介します。

 

Adobe Premiere Proにはさまざまなエフェクトや調整機能があり、Premiere Proだけでノイズ除去がある程度可能です。

 

また、Premiere Proは同じくAdobeのAuditionというオーディオ専用の編集ソフトと簡単に連携できます。

 

AuditionにはPremiere Proではできない機能もあり、私にとって音で困ったときの最終兵器です。

 

Premiere ProはAuditionと相性が良く、オススメの動画編集ソフトと言えます。

 

まず後編集でノイズを除去するときに注意したいのが「ノイズ除去のやりすぎ」です。

 

オーディオ編集では人の息継ぎの音まで除去することができますが、息継ぎに関しては残すのが一般的です。

 

たしかにノイズと言えばノイズですが、息継ぎをすべて除去してしまうと、人間味が薄れてしまいます。

 

人が話している感じがなくなってしまうのです。

 

そのため編集ソフトを使う時は、あくまでも余計な物音だけを除去し、インタビューの対象となる人の息遣いなどはあえて残しておくのが良いです。

 

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不要な部分をカット・ボリューム調整

 

ノイズ除去の操作方法としては、画面上の波形を見ながら、邪魔な部分を消去する、またはボリュームを小さくします。

 

この方法が最も簡単なノイズ除去方法です。

 

クリップを右クリック。「リンクを解除」

 

ノイズを除去するクリップを選択して、右クリック、「リンクを解除」を選択します。

 

映像と音声が分離する

 

リンクを解除することで映像と音声を分けて編集することが出来ます。

 

ノイズ部分を削除・ノイズのない部分をコピーして持ってくる

 

騒音が入ってしまった部分を削除します。削除した部分は無音になってしまうので、騒音が入っていない音声をコピーして削除した箇所に置きます。

 

音声クリップ間にオーディオトランジションのクロスフェードの「コンスタントパワー」を適用して馴染ませます。

 

これが基本的な音声ノイズ除去方法ですね。

 

 

でもこんな簡単に済まないことの方が多いです

 

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Premiere Proで音声をクリアにする

 

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ノーマライゼーション

 

Premiere Proにはノーマライズという編集が行えます。
ノーマライズとは、音声ファイル全体の最大音量を均等化する作業のことです。

 

ある瞬間だけ音量が大きすぎる時などにノーマライズをすることで、インタビュー動画全体の最大音量を調整できます。

 

ノーマライズをするかどうかは賛否両論あって、音楽を編集する場合はノーマライズをしないという意見が多いようです。

 

 

声が小さい場合はノーマライズを行うと環境音が大きくなって不自然な感じになる場合があります。

 

シンプルなインタビュー編集ではノーマライズを一度適用してみて、後の編集が楽になりそうなら使うという感じで気楽に考えると良いです。

 

音声クリップを右クリックし「オーディオゲイン」を選択

 

ノーマライズを行いたい全ての音声クリップを選択して右クリック、「オーディオゲイン」を選択します。

 

「最大ピークをノーマライズ」にチェックを入れてdB値を入力

 

「最大ピークをノーマライズ」を選択して「OK」でノーマライズが完了です。

 

この時オーディオゲインを-3dBに設定するのがオススメです。

 

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パラメトリックイコライザーで環境音を整理する(空調音を消す)

 

イコライザー調整を使って音声編集することで、空調音やホワイトノイズを消して人の声を聞き取りやすくする方法があります。

 

イコライザーは指定する周波数帯域の音量を調整できる機能で、Premiere Proではオーディオエフェクトの「パラメトリックイコライザー」を指します。

 

パラメトリックイコライザーを音声に適用する

 

オーディオエフェクトからパラメトリックイコライザーを探して、ノイズを除去したいクリップに適用します。

 

エフェクトコントロールの「編集」のボタン

 

エフェクトコントロールパネルにパラメトリックイコライザーが追加されるので、カスタムセットアップの「編集」のボタンをクリックします。

 

パラメトリックイコライザーの設定画面

 

パラメトリックイコライザーの設定画面が表示されます。

 

イコライザーの中央線に打っている点は7つの周波数で、それぞれ下の項目で設定できます。

 

点をマウスで選択してドラッグして下方向に下げることで、指定した周波数のゲインを下げることが出来ます。

 

適当に周波数を選んで下げてみる

 

タイムラインを再生してノイズの波が一番動いている周波数を下げてみることでノイズを軽減してみました。

 

パラメトリックイコライザーの「ローパス」

 

また、ホワイトノイズや空調音などの環境音はパラメトリックイコライザーのプリセット内の「ローパス」を選択します。

 

「ローパス」は低周波数帯域の音をカット

 

すると低周波数帯域の音をカットすることが出来ます。

 

また、反対に強調したい周波数の帯域を上げることも出来ます。

 

もし動画内に聞き取りにくい部分があるようなら、音声の帯域レベルを見つけてゲインをアップし、聞き取りやすくなるようにしましょう。

 

 

この作業をするだけでもかなり聞き取りやすさが変わります

 

Premiere Proのパラメトリックイコライザーは完全にノイズを除去するというのは難しいですが、必要な音を強調して不要な音を小さくするといったことが簡単に出来ます。

 

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マルチバンドコンプレッサーで音声をクリアにする

 

Premiere Proで音声をクリアにできるエフェクトの一つにマルチバンドコンプレッサーがあります。

 

これは声の音質を変えることが出来るエフェクトです。

 

Premiere Proのマルチバンドコンプレッサー機能

 

最新のPremiere Proにはマルチバンドコンプレッサー機能は搭載されており、Auditionでなくても使えます。

 

エフェクトからMultiband Compressor(マルチバンドコンプレッサー)を選択して適用したいクリップにドラッグ&ドロップします。

 

マルチバンドコンプレッサーの編集画面

 

マルチバンドコンプレッサーの編集画面が表示できますので、各種設定を行っていきます。

 

先ほど紹介した動画と同じようにプリセットが用意されており、「低域強調」や「ボーカルを上げる」、「耳障りな音の消去」があります。

 

クリップに適用するだけで簡単に音質を変えることができます。

 

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クロマノイズ除去で背景ノイズを除去する

 

Premiere Proはバージョンアップの度にノイズ除去の機能が改善されており、Adobe Auditionでしか出来なかったノイズリダクション機能をPremiere Proだけで実行できるようになってきています。

 

その中でもクロマノイズ除去は背景ノイズを簡単に消すことが出来るので、知っておくと動画編集がスゴく楽になりますよ。

 

クロマノイズ除去

 

オーディオエフェクトの中からクロマノイズ除去を探してクリップに適用します。

 

クロマノイズ除去の設定画面。「量」のゲージを右へ

 

設定画面にある「量」のゲージを右に動かすことでノイズ除去を行えます。

 

強くかけすぎると音声がおかしなことになるので、程良い具合に調整します。

 

クロマノイズ除去のプリセット

 

それさえも面倒な人向けにプリセットも用意されていて、「軽いノイズリダクション」と「重いノイズリダクション」のどちらかを選択することで、背景ノイズを軽減することが出来ます。

 

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ラウドネスを調整する

 

音量レベルの基準を設定することをラウドネスと呼びます。

 

テレビではドラマの間にCMが入ったり、番組が変わる際に映像のボリュームがバラバラにならないよう放送局には基準が設けられています。

 

ラウドネスは動画の音量のバランスをとる作業だとイメージしてもらえば良いと思います。

 

通常、音の編集作業の最後に行います。

 

テレビ局に納品する映像はラウドネスを「-24LKFS」に設定しなければなりません。

 

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Premiere Proのラウドネス調整

 

Premiere Proでラウドネスを調整するにはオーディオトラックミキサーを使います。

 

オーディオトラックミキサーを表示

 

初期設定では表示されていないので「ウィンドウ」⇒「オーディオトラックミキサー」にチェックを入れます。

 

エフェクトとセンドの表示/非表示

 

オーディオトラックミキサーパネルの左上の「>」にマウスカーソルを合わせると、「エフェクトとセンドの表示/非表示」というボタンがあるのがわかります。

 

「スペシャル」⇒「ラウドネスレーダー」を選択

 

ここをクリックすると設定画面が出ますので、「スペシャル」⇒「ラウドネスレーダー」を選びます。

 

ラウドネスレーダーのターゲット値を入力

 

ラウドネスレーダーを出した状態で動画の最初から最後まで再生すると、ラウドネス平均値が表示されます。

 

テレビ放送用のコンテンツなら、この数値が-24よりも大きい場合は音量を小さくする、逆に小さすぎるなら大きくするなどして調整します。

 

これに対してネットに配信する場合、例えばYouTubeでは高すぎる音量は動画をアップした後に自動的に下げられるようになっているようです。

 

これは2015年ごろに始まったYouTubeのラウドネス規制で、独自のアルゴリズムでピークを自動的に抑えるようになっています。

 

 

なので私はYouTubeにアップする動画はラウドネスをそんなに気にしていません。

 

私の場合

 

声は標準で-12dB前後、声のピーク時で-5dB前後
BGMは標準で-25dB、ピーク時で-20dB
音楽メインの映像(MVなど)は標準で-15dB、ピーク時で-5dB前後
効果音は声と同じぐらいの設定

 

になるようPremiere Proで調整して、ラウドネスの設定は気にせずそのままアップしています。

 

お客さんに納品する動画ファイルの場合はYouTube以外の動画共有サイトにアップする可能性もあるので、ラウドネス調整しておくのがオススメです。

 

こうした編集を行うと、インタビュー動画の音声はよりキレイになり聞き取りやすくなります。

 

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ノイズで本当に困ったときの強い味方 Auditionのノイズリダクション

 

Adobe Auditionのノイズリダクションはノイズ除去の最終手段です。

 

高精度でノイズを除去してくれますが、結構めんどくさいです。

 

私はPremiere Proのノイズ除去を試して、どうしてもノイズが気になる場合のみAuditionでノイズ除去を行います。

 

 

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最終手段で使うAdobe Audition

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Adobe Auditionのノイズ除去の手順

 

Adobe Auditionで音声データを読込

 

まずAdobe Auditionを起動します。

 

次にノイズを除去したい音声ファイルを読み込みます。

 

Premiere Proで動画の音声だけをwavファイルで出力して、Auditionで読み込むと良いです。

 

タイムラインの波形でノイズを確認

 

音声ファイルを読み込むと、タイムラインに波形が表示されます。

 

ここで例に挙げた音声ファイルは喋り声の背景に車の騒音が入ってしまっているものです。

 

上の画像の前半部分には音声と車の騒音が混ざっています。途中から車の騒音だけになっているので、その部分を指定します。

 

in点とout点を打ちます。in点は「I」キー、out点は「O」キーで打てます。

 

in点とout点を打った部分は白く反転します。

 

エフェクト ⇒ ノイズリダクション/リストア ⇒ ノイズリダクション(プロセス)を選択

 

 

次にメニューの「エフェクト」から「ノイズリダクション/リストア」を選び、「ノイズリダクション(プロセス)」を選びます。

 

ノイズリダクションの設定画面

 

するとAuditionのエフェクト「ノイズリダクション」が起動します。

 

まず設定画面の右上にある「ノイズプリントをキャプチャ」を押します。これ重要です。

 

ノイズリダクションのゲージを100%へ

 

そして次にノイズリダクションと書かれたゲージを100%の方向へ動かします。

 

削減値もほんの少しだけ右方向に動かします。

 

この状態ですでにノイズは消えており、タイムラインを再生するとノイズが消えた状態の音が聞けます。

 

設定画面の左下の電源マークで、ノイズリダクションのオンオフ時の音の違いを確認することもできるようになっています。

 

設定が終わったら適用をクリックします。

 

In・Out間のノイズが消える

 

すると、in点、out点を指定した部分のみノイズが消えました。

 

これで終わりではありません。

 

次にクリップ全体のノイズを消す必要があります。

 

音声ファイルを全選択

 

Ctrlキーと「A」を押して、音声ファイルを全選択します。

 

そしてもう一度、メニューの「エフェクト」から「ノイズリダクション/リストア」を選び、「ノイズリダクション(プロセス)」を選びます。

 

ノイズリダクションの設定画面で「適用」をクリック

 

そして何も設定をせずに「適用」をクリックします。

 

ここで何もしなくて良いのは、ノイズ除去の設定の最初に「ノイズプリントをキャプチャ」をしているからです。

 

これでキャプチャしたノイズプリントをクリップ全体に適用することになります。

 

ノイズが消える

 

するとクリップ全体からノイズが消えてしまいました。

 

そして音声のある部分は波形が残っています。

 

ノイズだけを除去してくれています。

 

 

あまりにもキレイに除去できるのでびっくりしますよ

 

多少音声の感じも変わってしまうので、もし不自然ならノイズリダクションのゲージを100%ではなく80~90%に抑えると良いです。

 

ノイズ除去したデータを保存する

 

ノイズを除去したデータは保存する必要があります。

 

左上のファイル名を選択してCtrlキーと「S」キーを押せば保存できます。

 

こんな感じです。

 

以前はこの方法しか知らなかったのですが、Premiere Proの新しい機能を使うようになってからはAuditionのノイズリダクションが最終兵器となりました。

 

ちょっと面倒ですが、かなりキレイにノイズを除去できるので、動画編集ソフトで解決しない場合は試してみてください。

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インタビュー音声をキレイに編集する方法 まとめ

インタビュー動画の音声編集ではノイズ除去も重要になります。

 

 

周囲の物音はもちろん、衣装の衣擦れなど、余計なノイズはしっかりと除去しましょう

 

また、さ行を発音した時に出る歯擦音もノイズの1種と考えられています。

 

まったく気にならないレベルならかまいませんが、もし動画を見直してみて気になるようならやはり除去しておきましょう。

 

インタビュー動画は対象者が何を話しているか、正確に聞き取れないといけませんので、ノイズ除去を徹底して動画のクオリティアップを図りましょう。

 

そしてそもそものお話、動画収録時にノイズを収録することがないよう頑張れば、楽に動画編集できます。

 

低予算でクリアな音声を収録できる機材もあり、以下の記事で紹介しています。

 

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