映像制作者やカメラマンにとって、減価償却に関する情報は難しく分かりにくいものが多いため、記帳や確定申告で不安を抱える方も多いでしょう。
ここではカメラや関連機器の具体的な仕訳と減価償却について分かりやすく詳しく解説します。
例えば、10万円で購入したカメラを5年で減価償却する場合の計算方法や年度途中で購入した資産の減価償却方法など実務で役立つ情報を提供します。
この記事を読むことで、減価償却に関する不安や疑問を解消し、正確で透明性のある会計処理ができるようになるでしょう。
カメラの経費化で悩む個人事業主や経営者の方はぜひ読んで見てください。
2023年 5月11日 監修者:公認会計士・税理士 辻 哲弥 / ACLEAN会計事務所
2019年1月有限責任監査法人トーマツに同年最年少の20歳で入社し、製造業・建設業等、幅広い業種で延べ20社以上の監査業務に従事。
2022年同法人を退社後、慶應義塾大学の大学院で法律を勉強する傍ら、会計事務所にて税務を学ぶ。同年8月公認会計士登録(登録番号:42636)。
同年9月税理士登録(登録番号:149486)、ACLEAN会計事務所設立、再生可能エネルギー電力会社のCFO就任。
動画編集者や個人事業主が仕事で使うカメラや周辺機器を購入した際、勘定科目は「消耗品費」もしくは「工具器具備品」です。
購入代金が10万円未満の場合は「消耗品費」、10万円以上の場合は「工具器具備品」を選びましょう。
購入代金が10万円未満の場合、少額減価償却資産として扱われます。
取得金額の全額を一括で必要経費として参入可能です。
青色申告をする個人事業主の場合、「少額減価償却資産の特例」により、購入金額30万円までであれば減価償却の必要はありません。
※95,000円のカメラを現金で購入した場合
借方 | 貸方 |
消耗品費95,000円 | 現金95,000円 |
一方で、取得金額が10万円以上(※青色申告の個人事業主の場合は30万円以上)の場合、耐用年数である「5年」かけて経費計上します。
※30万円のカメラを購入し毎年6万円ずつ5年で減価償却した場合
借方貸方概要
減価償却費60,000円工具器具備品60,000円カメラ減価償却
参考情報:国税庁「減価償却のあらまし」
カメラの購入代金が10万円を超えるかどうかで、帳簿上の扱いは大きく変わってきます。勘定科目や減価償却の必要性が変わってくる可能性があるため、注意しましょう。
個人事業主として頻繁にカメラを使っている場合、カメラレンズのみを買い足す場面もあるでしょう。
この場合もカメラ本体と同様に処理します。
10万円未満なら「消耗品費」、10万円以上なら「工具器具備品」の勘定科目を選択してください。
※8万円のカメラレンズを、A店にて現金で購入した場合
借方 | 貸方 | 概要 |
消耗品費80,000円 | 現金80,000円 | A店カメラレンズ購入 |
取得金額が10万円以上(※青色申告の個人事業主の場合は30万円以上)の場合、耐用年数である「5年」かけて減価償却をします。購入金額を5で割り、1年ずつ経費計上しましょう。
カメラレンズも、カメラと同様の勘定科目で処理できます。カメラとレンズをセットで購入した場合、「それぞれの価格」ではなく「合計金額」で判断される点も頭に入れておいてくださいね。
良いカメラを長く愛用するため、カメラバッグやプロテクターなど、各種消耗品も上手に使いたいところです。
副業で写真撮影をしたり、個人事業者として動画編集を行っていたりする場合、こうした消耗品も経費計上できます。勘定科目は「消耗品費」です。
※1万円のカメラバッグを現金で購入した場合
借方 | 貸方 |
消耗品費10,000円 | 現金10,000円 |
減価償却が必要になるのは、購入金額が10万円以上かつ使用可能期間が1年以上のものです。
カメラ関連の消耗品で、これら2つの条件を満たすアイテムは少ないでしょう。
個人事業主がデジタルカメラを購入した場合も、購入価格が10万円を超えるかどうかで仕訳が変わってきます。
10万円未満の場合は「消耗品費」として、10万円以上の場合は「工具器具備品」です。
※8万円のデジタルカメラを現金で購入した場合
借方 | 貸方 |
消耗品費80,000円 | 現金80,000円 |
デジタルカメラの耐用年数も、一般的なカメラと同じ「5年」です。
10万円以上の品を減価償却する場合は、こちらを参考にしてみてください。
動画編集者を生業にしている方にとって、ときにカメラ以上に高額になってしまうのが、各種機材です。
スタビライザーやビデオリグといった機材や備品を購入した場合も、10万円未満であれば「消耗品費」として10万円以上であれば「工具器具備品」として処理してください。
※15万円のカメラ機材を一括償却資産として3年で均等償却する場合
借方 | 貸方 | 概要 |
減価償却費50,000円 | 一括償却資産50,000円 | カメラ機材(1/3年) |
購入金額が20万円までであれば、「一括償却資産」として3年間で経費計上できます。
カメラ関連アイテムの勘定科目は、基本的にシンプルです。「消耗品費」と「工具器具備品」の2つの勘定科目さえ覚えておけば、迷う必要はありません。減価償却については、購入金額に合わせて適切な方法を選択しましょう
ひと言で「カメラ」と言っても、個人事業主や副業者が導入する方法はさまざまです。
以下にカメラ関連の勘定科目や減価償却に関する質問をまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
副業のためにカメラをレンタルした場合に使える勘定科目は、「賃借料」です。
何を借りたのか明らかになっていれば、「雑費」を使用しても構いません。
どちらを使用した場合でも、あとから税務署に指摘されるような恐れはないため安心してください。
ただし勘定科目の使用においては「継続性の原則」があります。
一度選択した勘定科目を、その都度変更するのはやめましょう。
中古で購入した場合でも、減価償却は可能です。
ただし新品を購入した場合よりも耐用年数は短くなります。
「【対応年数】-【経過年数】+【経過年数】×0.2」の計算式で、耐用年数を導き出しましょう。
カメラの対応年数は「5年」です。
3年経過した中古カメラの場合、上記の計算式から耐用年数は「2年」となります。
耐用年数の最低期間は「2年」なので、これ以上短くなることはありません。
胃カメラや内視鏡検査を受けた場合、検査費用がかかります。
個人事業主の場合、残念ながらこれらの検査費用を経費として計上することはできません。
また医療費控除の対象外になるという点も、頭に入れておきましょう。
防犯カメラの仕訳で重要になるのが、「購入費」と「導入システム」です。
設置工事費を含めた購入費が10万円未満であれば「消耗品費」として、10万円以上であれば「工具器具備品」の勘定科目で処理します。
複数カメラを1つのモニターでチェックするなど、購入したカメラが防犯システムの一部として認められる場合の耐用年数は「6年」です。
防犯カメラ単体の場合は「5年」となります。
今回は個人事業主として写真撮影や動画編集を行っている方向けに、悩みやすいカメラの勘定科目・減価償却についてまとめました。
個人事業主から法人化を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
2023年 5月11日 監修者:公認会計士・税理士 辻 哲弥 / ACLEAN会計事務所
2019年1月有限責任監査法人トーマツに同年最年少の20歳で入社し、製造業・建設業等、幅広い業種で延べ20社以上の監査業務に従事。
2022年同法人を退社後、慶應義塾大学の大学院で法律を勉強する傍ら、会計事務所にて税務を学ぶ。同年8月公認会計士登録(登録番号:42636)。
同年9月税理士登録(登録番号:149486)、ACLEAN会計事務所設立、再生可能エネルギー電力会社のCFO就任。
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