NVIDIA RTX
Quadro、GeForce違いがよく分からん..
動画編集に使うパソコン選びでやっぱり気になるのがビデオカードです。
ゲーム用途ならGeForceとRadeonのどちらかを選べば良いでしょう。
ところがクリエイター向けのビデオカードはGeForce、Radeonの他にもQuadroやらNVIDIA RTXやら種類がどんどん増えています。
パソコンに詳しくない方はどのビデオカードを選んだらよいかさっぱり分からないという方も多いでしょう。
ここでは動画編集者の方向けに、NVIDIA RTXとGeForceの違いについて解説します。
実際に動画編集をやってみた検証結果も紹介するので、ハイスペックなパソコンを買う前にぜひ読んでみてくださいね。
>>グラフィックカード搭載 動画編集にオススメのPC4モデルをすぐに確認する
2018年からBTOパソコンを使った動画編集の検証を実施し、これまで年間20台以上 累計100台以上のパソコンレビュー記事を執筆しました。PC通販サイトとコラボで動画編集用のパソコンの企画・販売や当サイト限定クーポンの配布を行っています
NVIDIA RTXは主に業務用途のビデオカードとして販売されています。
NVIDIA RTXの用途は映像制作の中でもVR制作やモーショングラフィック、3Dアニメーションといったプロ向けのジャンルを主としているほか、CADソフトを使う設計会社のパソコンやサーバーなどワークステーション用のビデオカードとしても用いられております。
NVIDIA RTXシリーズのビデオカードを搭載したパソコンは、BTOパソコンのような受注発注タイプのパソコンがメインで、その価格帯は30万円以上から100万円近くするものまであります。
価格からもプロ・業務向けのパソコン用ビデオカードであることは間違いないのですが、NVIDIA RTXがプロ向けと考えられているもう一つの理由があります。
それはNVIDIA RTXシリーズがQuadroシリーズの後継となるビデオカードであるからです。
私が初めてQuadroのビデオカードを手にしたのは2013年頃で、BTOパソコンショップでフルオーダーしたパソコンにQuadro K2000を搭載してもらいました。
その当時のビデオカードは今ほど種類が多くなく、10万円を超えるようなビデオカードを搭載したパソコンの多くは特注扱いとなって納品も随分待たされたと記憶しています。
またこの当時からGeForceもありましたが、今ほどの性能はなかったのでプロの映像制作者はQuadro、ゲーム用途やアマチュアユーザーはGeForceと棲み分けがハッキリしていました。
Quadroは名前が「Quadro K2000」のようにアルファベットの次に2000、4000、5000、6000と4ケタの数字が続き、数字が大きくなるほど高性能(高価)なビデオカードになっています。
Quadro K2000、K4000、K5000、K6000 |
2013~2015年頃 |
Quadro M2000、M4000、M5000、M6000 | 2016年頃 |
Quadro P400、P620、P1000、P2000、P4000、P5000、P6000 |
2017年頃 |
Quadro RTX 4000、RTX 5000、RTX 6000、RTX 8000 | 2019年頃 |
NVIDIA RTX A2000 | 2021年頃 |
私は次に買い替えたパソコンでビデオカードをゲーム用に移り、GTX 1080 Tiというビデオカードを2017年頃から使っていました。
2019年にはゲーム用のビデオカードが GeForce GTXとRTXに分かれ、GeForce RTX 2000番台が販売開始。この頃にQuadroにもRTXを冠した製品が怒涛のようにリリースされます。
2021年にはQuadro RTXからNVIDIA RTXに名称が変わったビデオカードがプロ向け・ワークステーション・CAD・VR制作向けとして販売しています。
長年ビデオカード界隈をウォッチしている人には、NVIDIA RTXがQuadroを系譜とする製品であることがすぐに分かります。
しかし中古市場まで広く見るとQuadro P2200あたりもまだまだ現役(この記事を書いている2024年1月時点)なので、これから動画編集に挑戦しようと思う方にはパソコン選びで困惑する要素の一つとなっています。
要するにNVIDIA RTXシリーズはQuadroシリーズの後継で、数字が大きいほど性能がイイと考えれば間違いありません。
ちなみに後で紹介する、動画編集の検証で使ったパソコンがNVIDIA RTX A4000搭載で販売価格が39万円程。
5000番台以降のビデオカードを搭載したパソコンを個人が所有するのは稀なので、~4000番台を目安に考えれば良いのではないでしょうか。
ではQuadro系譜のNVIDIA RTXとゲーミング用途のGeForce RTXとの主な違いを挙げます。
✅NVIDIA RTXの方が値段が高い
✅NVIDIA RTXの方がビデオメモリが多い
✅GeForceに比べるとNVIDIA RTXの方がTDP値が低め
✅NVIDIA RTXはオリジナルファンモデルがない
✅NVIDIA RTXの方がベンチマークが低く評価されている
同価格帯のビデオカードの仕様を比較すると分かりやすいでしょう。
NVIDIA RTX A4000 | GeForce RTX 3080 10GBビデオメモリ |
単体価格:13.5~23.5万円 | 単体価格:9.2~26万円 |
Ampereアーキテクチャ | Ampereアーキテクチャ |
NVIDIA CUDA コア:6,144 | NVIDIA CUDA コア:8,704 |
Tensorコア:192 | Tensorコア:272 |
RTコア:48 | RTコア:68 |
ビデオメモリ:16GB GDDR6 | ビデオメモリ:10GB GDDR6X |
定格周波数 / ブースト時(MHz):735 / 1,560 | 定格周波数 / ブースト時(MHz):1,440 / 1,710 |
メモリ インターフェイス:256bit | メモリ インターフェイス:320bit |
メモリバンド幅:448GB/s | メモリバンド幅:760GB/s |
最大出力解像度:7680x4320 | 最大出力解像度:7680x4320 |
映像出力端子:HDMI×1, DisplayPort×3 | 映像出力端子:HDMI×1, DisplayPort×3 |
マルチモニター:最大4 | マルチモニター:最大4 |
グラフィックス カード電力:140W | グラフィックス カード電力:320W |
システム電力要件:記載なし | システム電力要件:750W |
※販売価格は2022年9月に価格コムで調べています
比較対象のGeForce RTX 3080はゲーミング用のビデオカードの中でもハイエンドクラスです。
ビデオカード単体の値段が近いので、それぞれのビデオカードを搭載した同程度のCPU、メモリ、ディスク搭載のパソコンは近しい値段になります。
NVIDIA RTXはGeForce RTXに比べるとビデオメモリ容量が大きい傾向があります。
さらに必要な電力の値が極端に低く、RTX 3080が320Wに対し、RTX A4000は140Wとなっています。
この値が小さいほど省電力なので、長時間使用するほど大きな差が生じます。
これがNVIDIA RTXがサーバー用に採用される理由の一つとなっています。
購入前のビデオカード性能を確認するのに便利なPassMarkでは、ビデオカードのベンチマークスコアを独自のシステムで決定しており、ある程度の目安にはなるはずです。
それらを確認するとRTX 3080のほうが断然優れたスコアとなっており、NVIDIA RTXのスコアはGeForce RTX 3070や RTX 3060 Tiのスコアよりも見劣りしてしまいます。
実際はどうなのか後で検証結果を紹介しますね。
また、両者のビデオカードは価格や性能の違い以外にもう一つあり、それはNVIDIA RTXにオリジナルファンモデルが存在しないという点です。
オリジナルファンモデルはGPUチップを搭載した基盤に、各メーカーオリジナルのファンを取り付けたものです。
例えばGeForce RTX 3070を販売するメーカーはMSI、ASUS、GIGABYTE、ZOTAC、Palitなどが挙げられますが、これらはNVIDIA製のGPUチップをベースに性能をチューニングして大型の冷却ファンを取り付けたものです。
一方のNVIDIA RTXはGeForceシリーズのようなオリジナルファンモデルは存在せず、NVIDIA純正品となっているためにどこで購入しても同じ外観となっているのです。
GeForceのオリジナルファンモデルの多くはオーバークロック(クロック周波数を定格以上に設定する)して性能アップしていますが、NVIDIA RTXは標準の設計通りに動作するのが特長です。
オリジナルファンモデルに対して、メーカー標準のビデオカードはリファレンスモデルと呼ばれており寿命が長いと考えられています。
ドスパラ通販サイトを運営する株式会社サードウェーブさんからNVIDIA RTX A4000搭載のraytrek ZQ-A4000をお借りしたので、raytrek ZQ-A4000による動画編集を検証します。
また、raytrek ZQ-A4000のビデオカードをGeForce RTX 3060 Tiに取り換えてCPUやメモリ、起動ディスクなどが同じ環境で両者を比較します。
動画編集でどんな違いが生じるのか確認してみましょう。
検証機のスペックは以下の通りです。
raytrek ZQ-A4000
CPU:Core i7-12700K
水冷CPUクーラー搭載
メモリ:32GB PC4-25600
グラフィックス:NVIDIA RTX A4000 16GB
ストレージ:M.2 SSD NVMe 1TB Gen 4
359,980円(税込)
尚、動画編集に使用した撮影データはLUMIX GH6の4K・6Kで撮影したクリップを使います。
また検証に使用する動画編集ソフトはAdobe Premiere Proを用います。
ビデオカードの性能を引き出す動画編集ソフトではDaVinci Resolveが有名ですが、Premiere Proのほうがコマ落ちインジケーターでフレーム落ちを確認できるため採用しています。
またPremiere Proはプログラムモニターの画質設定でフル画質を選び、環境設定では「H.264/HEVC ハードウェアによる高速処理デコーディング」と「高速処理エンコーディング」にチェックを入れています。
このように設定することでビデオカードの支援を得て動画編集を実施できます。
GH6は最大6K解像度、最大フレームレートは240fps(解像度はフルHD)で動画を撮影できるカメラです。
また、カラーグレーディングに最適な色深度と、従来の撮影データ(420 8bit)に比べて色差成分の間引きが少ない422 10bitの映像データを記録できます。
GH6でこれらの記録設定を選ぶとHLG(ハイブリッドログガンマ)という肉眼でみるのに近いダイナミックレンジの映像を得ることができるというプロ仕様のカメラとなっています。
その反面、編集ソフトに取り込んでからデコードする上でパソコンへの負荷が大きく、低スペックのパソコンでは満足に再生することもできない場合があります。
それではまず4K60P(MOV LongGOP 4K59.94p 422 10bit 200Mbps HLG)で記録したデータを使って編集してみます。
先に紹介する画像がNVIDIA RTX A4000を搭載したraytrek ZQ-A4000で編集した状態で、後者はraytrek ZQ-A4000のビデオカードをGeForce RTX 3060 Tiに交換した状態で編集している様子です。
それぞれのCPU・メモリ・GPUの使用率とGPUの温度を以下に表でまとめています。
NVIDIA RTX A4000
CPU使用率:45%
メモリ使用量:21.7GB/32GB(68%)
GPU使用率:39%
専用GPUメモリ使用量:2.5GB/16GB(16%)
GPU温度:72℃
GeForce RTX 3060 Ti
CPU使用率:45%
メモリ使用量:17.6GB/32GB(56%)
GPU使用率:40%
専用GPUメモリ使用量:1.8GB/8GB(22%)
GPU温度:44℃
RTX A4000搭載の場合とRTX 3060 Ti搭載の場合を比較すると、CPU/GPU使用率はほとんど同じですが、メモリの使用量と専用GPUメモリの使用量が若干違うことが分かりました。
RTX A4000の場合、メインメモリの使用量が多くGPUメモリの使用量は少なめとなっています。
また、GPUの温度はGeForce RTX 3060 Tiの方が低くなっているのが分かります。
RTX 3060 TiはオリジナルファンのおかげでGPUチップを十分に冷却できているでしょう。
それぞれ同じ2分のシーケンスを最初から最後まで再生して発生したコマ落ちは0フレームとなります。
シーケンスには4K60Pのクリップの他にBGMと字幕タイトルを乗せて、web向け動画のよくあるパターンを用いています。
このスペックなら、ビデオカードがどちらにしても4K60Pの動画を快適に動画編集出来そうです。
先ほどと同じシーケンスで今度はカラーグレーディングを実施します。
Premiere Proでカラーグレーディングをする場合、カラーパネルに表示を切り替えて行います。
カラーパネルにすることでGPUやメモリの使用量も変化します。
Premiere Proのカラーグレーディングは様々なやり方がありますが、今回は調整レイヤーをシーケンスに追加してカラーグレーディングを行います。
CPUの使用率は大きく上昇し、77%前後を推移しています。
NVIDIA RTX A4000
CPU使用率:78%
メモリ使用量:13.6GB/32GB(43%)
GPU使用率:63%
専用GPUメモリ使用量:2.4GB/16GB(15%)
GPU温度:75℃
GeForce RTX 3060 Ti
CPU使用率:76%
メモリ使用量:16.4GB/32GB(52%)
GPU使用率:70%
専用GPUメモリ使用量:3.7GB/8GB(46%)
GPU温度:44℃
RTX A4000・GeForce RTX 3060 Tiのどちらの場合でもGPU使用率は上昇しましたが、RTX A4000はメモリの使用量が減っています。
一方のGeForce RTX 3060 Tiは専用GPUメモリ使用量が大きく増えているのが分かりました。
2分のシーケンスの再生で発生したコマ落ちフレーム数を比較するとNVIDIA RTX A4000が16フレーム、GeForce RTX 3060 Tiが5フレームとわずかにRTX 3060 Tiがリード。
とはいえ誤差範囲内程度です。
どちらの場合も非常に快適に4K60P 422 10bitのカラーグレーディングが実施できます。
PassMarkのランキングではNVIDIA RTX A4000とGeForce RTX 3060 Tiに大きな差がありましたが、実機を使ったPremiere Proの動画編集では大きな差が見られません。
次にGH6で撮影した6K30P(MOV LongGOP 6K29.97p 420 10bit 200Mbps HLG)の撮影データを用います。
GH6では4:3の縦横比(アスペクト比)で6K解像度の映像を撮影できます。
6K29.97p 420 10bit 200Mbps HLGは、422 10bitに比べると色差成分の間引きが多くなりますが、その分パソコンに対する負荷は小さくなるはずです。
6Kの撮影データを4K30Pのシーケンスに乗せ、BGM・字幕タイトルを追加してカット編集を実施します。
4:3のアナモルフィック6Kは今では一般となった16:9で使うと上下に余分が生じますが、広めに撮影してクロップ前提で利用する撮影データとして活用できます。
NVIDIA RTX A4000
CPU使用率:13%
メモリ使用量:19.9GB/32GB(63%)
GPU使用率:32%
専用GPUメモリ使用量:4.7GB/16GB(29%)
GPU温度:64℃
GeForce RTX 3060 Ti
CPU使用率:17%
メモリ使用量:14.4GB/32GB(45%)
GPU使用率:44%
専用GPUメモリ使用量:3.7GB/8GB(46%)
GPU温度:49℃
CPU・GPUの使用率はどちらも低く推移しています。
CPU使用率はNVIDIA RTX A4000の場合は13%前後で推移し、GeForce RTX 3060 Tiでは17%前後となりました。
GPUの使用率はGeForce RTX 3060 Tiのほうが10%ほど高く推移しています。
専用GPUメモリ使用量もGeForce RTX 3060 Tiのほうが多く消費しています。
いずれにせよ6K30P 420 10bitの動画編集はどちらも問題なく出来るようで、カット編集したシーケンスをプレビュー時のコマ落ちは0フレームとなりました。
検証機のraytrek ZQ-A4000はCPUにインテル第12世代のCore i7-12700Kを搭載しているので、CPUも強すぎるためか差が出ませんね(汗)
次にそれぞれの環境で書き出しテストもやってみます。
4K60P 422 10bitデータをカラーグレーディングしたシーケンスで書き出しを行います。
書き出し設定はH.264(mp4)、ビットレート設定は VBR(可変ビットレート)に設定し、ターゲットビットレート50Mbpsに設定して書き出しします。
NVIDIA RTX A4000・GeForce RTX 3060 Tiどちらの場合でもハードウェアエンコーディング(GPU支援のエンコーディング)が使用できます。
ここではソフトウェアエンコーディングとハードウェアエンコーディングの書き出し時間とCPU・GPUの動きを比較検証してみましょう。
まずはGPU支援を得て高速エンコーディング(書き出し)ができるハードウェアエンコーディングを行ってみます。
Premiere Proでは書き出し画面のエンコード設定「パフォーマンス」⇒「ハードウェアエンコーディング」を選びます。
NVIDIA RTX A4000
CPU使用率:68%
メモリ使用量:19.5GB/32GB(62%)
GPU使用率:84%
専用GPUメモリ使用量:2.9GB/16GB(18%)
GPU温度:77℃
GeForce RTX 3060 Ti
CPU使用率:71%
メモリ使用量:19.8GB/32GB(45%)
GPU使用率:86%
専用GPUメモリ使用量:3.7GB/8GB(46%)
GPU温度:56℃
2分04秒のシーケンスの書き出しに要した時間は以下になります。
NVIDIA RTX A4000 | 1分32秒 |
GeForce RTX 3060 Ti | 1分33秒 |
ハードウェアエンコーディングによる書き出し時間の差は1秒で誤算範囲です。
ほぼ同じ時間で書き出しができると考えて問題ありません。
Premiere Proでは書き出し画面のエンコード設定「パフォーマンス」⇒「ソフトウェアエンコーディング」を選ぶことで、CPUの演算処理をメインにエンコーディングを行えます。
一般的にはソフトウェアエンコーディングのほうが高画質と考えられていますが、RTXシリーズ以降ハードウェアエンコーディングの画質が飛躍的に向上したことで見分けがつかなくなっています。
ソフトウェアエンコーディングの方が書き出し完了までの時間が長くなります。
NVIDIA RTX A4000
CPU使用率:100%
メモリ使用量:16.6GB/32GB(52%)
GPU使用率:52%
専用GPUメモリ使用量:2.3GB/16GB(14%)
GPU温度:69℃
GeForce RTX 3060 Ti
CPU使用率:100%
メモリ使用量:17.8GB/32GB(45%)
GPU使用率:46%
専用GPUメモリ使用量:2.2GB/8GB(28%)
GPU温度:47℃
RTX A4000・RTX 3060 TiともにCPU使用率は100%となります。
RTX A4000のほうがメモリ使用量とGPU使用率が高く推移します。
両方ともGPU負荷大きくないようで、GPU温度はカット編集時とほとんど変わりません。
NVIDIA RTX A4000 | 1分32秒 |
GeForce RTX 3060 Ti | 1分33秒 |
2分04秒のシーケンスでソフトウェアエンコーディングによる書き出し完了時間も、ハードウェアエンコーディング同様に1秒となり誤差程度です。
この結果を見る限り、NVIDIA RTX A4000とGeForce RTX 3060 Tiの両者の書き出しにかかる時間は全く同じと考えて良いでしょう。
raytrek ZQ-A4000とPremiere ProによるNVIDIA RTX A4000とGeForce RTX 3060 Tiの違いはメモリやGPU使用率の違いはありますが、フレームのコマ落ちや書き出し時間にほとんど違いがありませんでした。
もしかしてCPUの性能が良すぎるのかもしれません。
そこで私が使用している自作パソコンでも検証してみました。
おーとふぉーかす自作パソコン
CPU:AMD Ryzen 9 3900X
CPUクーラー:Thermaltake TH360 ARGB Sync Snow Edition
マザーボード:ASRock X570 Steel legend
メモリ:32GB PC4-28800 G.Skill
グラフィックス:GIGABYTE GeForce RTX 3070 OCモデル
M.2 SSD:SAMSUNG 980 PRO
HDD:Seagate IronWolf 6Gb/s 7200rpm 6TB
294,998円(税込・2021年1月時点)
Ryzen 9 3900XもハイエンドCPUではありますが、さすがにraytrek ZQ-A4000のCore i7-12700Kには敵いません。
なのでビデオカードの違いで結果が出るかもしれません。
ここではRTX A4000・GeForce RTX 3060 Ti・GeForce RTX 3070の3種類のビデオカードで比較してみます。
NVIDIA RTX A4000
CPU使用率:56%
メモリ使用量:17.1GB/32GB(54%)
GPU使用率:30%
専用GPUメモリ使用量:2.7GB/16GB(17%)
GPU温度:65℃
GeForce RTX 3060 Ti
CPU使用率:49%
メモリ使用量:23.3GB/32GB(73%)
GPU使用率:33%
専用GPUメモリ使用量:2.5GB/8GB(31%)
GPU温度:46℃
GeForce RTX 3070
CPU使用率:80%
メモリ使用量:20.6GB/32GB(65%)
GPU使用率:33%
専用GPUメモリ使用量:3.0GB/8GB(37%)
GPU温度:50℃
4K60Pのカット編集はビデオカードのベンチマークランキング通りの結果となり、発生したコマ落ち数はRTX A4000が最も多くなりました。
やはりCPUが少し弱い分コマ落ちフレームは増えます。とはいえ動画編集に困るほどのカクつきは起きず、どのグラボを使っても快適に動画編集可能です。
NVIDIA RTX A4000 | 18フレーム |
GeForce RTX 3060 Ti | 33フレーム |
GeForce RTX 3070 | 2フレーム |
NVIDIA RTX A4000
CPU使用率:72%
メモリ使用量:18.8GB/32GB(59%)
GPU使用率:32%
専用GPUメモリ使用量:2.6GB/16GB(16%)
GPU温度:76℃
GeForce RTX 3060 Ti
CPU使用率:71%
メモリ使用量:19.8GB/32GB(62%)
GPU使用率:32%
専用GPUメモリ使用量:2.4GB/8GB(30%)
GPU温度:53℃
GeForce RTX 3070
CPU使用率:67%
メモリ使用量:20.7GB/32GB(65%)
GPU使用率:34%
専用GPUメモリ使用量:2.9GB/8GB(36%)
GPU温度:52℃
4K60PのカラーグレーディングでもNVIDIA RTX A4000のメモリ使用量は少なく、16%ほど。
コマ落ちフレームもベンチマークのランキング通りとなっています。
NVIDIA RTX A4000 | 14フレーム |
GeForce RTX 3060 Ti | 6フレーム |
GeForce RTX 3070 | 3フレーム |
NVIDIA RTX A4000
CPU使用率:9%
メモリ使用量:17.3GB/32GB(54%)
GPU使用率:25%
専用GPUメモリ使用量:4.2GB/16GB(26%)
GPU温度:64℃
GeForce RTX 3060 Ti
CPU使用率:35%
メモリ使用量:18.6GB/32GB(58%)
GPU使用率:24%
専用GPUメモリ使用量:5.5GB/8GB(68%)
GPU温度:48℃
GeForce RTX 3070
CPU使用率:10%
メモリ使用量:18.0GB/32GB(56%)
GPU使用率:31%
専用GPUメモリ使用量:4.2GB/8GB(53%)
GPU温度:50℃
NVIDIA RTX A4000 | 0フレーム |
GeForce RTX 3060 Ti | 2フレーム |
GeForce RTX 3070 | 1フレーム |
6K30Pの動画編集も快適で、AMD Ryzen 9 3900XとNVIDIA RTX A4000の相性は問題なしです。
NVIDIA RTX A4000
CPU使用率:52%
メモリ使用量:19.8GB/32GB(62%)
GPU使用率:61%
専用GPUメモリ使用量:3.1GB/16GB(19%)
GPU温度:80℃
GeForce RTX 3060 Ti
CPU使用率:61%
メモリ使用量:19.9GB/32GB(62%)
GPU使用率:62%
専用GPUメモリ使用量:3.1GB/8GB(38%)
GPU温度:45℃
GeForce RTX 3070
CPU使用率:61%
メモリ使用量:19.8GB/32GB(62%)
GPU使用率:65%
専用GPUメモリ使用量:3.1GB/8GB(38%)
GPU温度:54℃
AMD Ryzen 9 3900Xはインテル Core i7-12700Kと違って内蔵GPUが非搭載です。
なのでエンコーディングの時間は差が出るかも?と予想しましたが、ハードウェアエンコーディングの差は10秒程の違いとなりました。
どのビデオカードを使っても書き出し時間は誤差程度の違いしかありません。CPUが変わっても同じような結果です。
NVIDIA RTX A4000 | 1分47秒 |
GeForce RTX 3060 Ti | 1分44秒 |
GeForce RTX 3070 | 1分45秒 |
NVIDIA RTX A4000
CPU使用率:100%
メモリ使用量:20.2GB/32GB(63%)
GPU使用率:25%
専用GPUメモリ使用量:2.5GB/16GB(16%)
GPU温度:61℃
GeForce RTX 3060 Ti
CPU使用率:92%
メモリ使用量:16.1GB/32GB(50%)
GPU使用率:23%
専用GPUメモリ使用量:2.5GB/8GB(31%)
GPU温度:52℃
GeForce RTX 3070
CPU使用率:100%
メモリ使用量:15.9GB/32GB(50%)
GPU使用率:22%
専用GPUメモリ使用量:2.5GB/8GB(31%)
GPU温度:48℃
ソフトウェアエンコーディングでもすべてのビデオカードでGPUが動き、使用率は横並びです。
書き出し時間も僅差。
Premiere Proの書き出しはどれを使ってもあまり変わりません。
NVIDIA RTX A4000 | 3分28秒 |
GeForce RTX 3060 Ti | 3分26秒 |
GeForce RTX 3070 | 3分26秒 |
今回インテルCPU・AMD CPUの2種類で検証してみました。
ビデオカードはNVIDIA RTX A4000とGeForce RTX 3060 TiとRTX 3070です。
Premiere Proを使った動画編集ではどのビデオカードでも4K60P(422 10bit)と6K30P(420 10bit)が快適です。
NVIDIA RTX A4000は値段が高いので、シンプルな動画編集なら価格の安いGeForce RTX 3060 Tiのほうが断然オススメという結論となります。
GeForce RTXシリーズはNVIDIA公式サイトからStudioドライバーをインストールすることで、Quadroと同様に10bitにも対応しています。
Quadro、NVIDIA RTXにこだわる必要があるのは本当に一部のプロフェッショナルだけなのかもしれませんね。
Premiere Proの動画編集者にはGeForce RTXシリーズを強く推します。
DAIV FX-I7G7S
CPU:インテル Core i7-14700F338800円(税込)
>>販売終了しました
MousePro LP-I7N20
CPU:Core i7-14700T362780円(税込)
ThinkStation P2 Tower:RTX A搭載
CPU:Core i7-14700322404円(税込)
Magnate MQ20-B
CPU:Core i5-14400F販売終了しました