動画編集やPCゲームをプレイするには必須ともいわれるグラフィックボードですが、パソコンのパーツの中でどんな働きをするものなのでしょうか。
結論を先に言うと、動画編集をするならグラフィックボード搭載のパソコンを選ぶのが良いです。
ただしPCゲーム用途のパソコンほど性能の良いグラフィックボードは必要ありません。
ではどのような目安で選んだらよいのでしょうか?
ここで詳しく解説しますね。
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2018年からBTOパソコンを使った動画編集の検証を実施し、これまで年間20台以上 累計100台以上のパソコンレビュー記事を執筆しました。PC通販サイトとコラボで動画編集用のパソコンの企画・販売や当サイト限定クーポンの配布を行っています
まずはそもそもグラフィックボードとは何でしょうか。
またグラフィックボードの持つ役割とは具体的にどんなものなのでしょうか。
グラフィックボードは別名で
✅グラフィックカード
✅グラボ
✅グラフィックス
✅ビデオカード
✅VGA
と呼ばれることがありますが全て同じです。(ここではグラフィックボードで統一します)
グラフィックボードにはGPUと呼ばれる半導体が搭載されています。
GPUはパソコンでの画像演算処理の役割を担っています。
実はCPUにもGPUが内蔵されており、グラフィックボードがなくても画像処理を行えます
しかし、取り扱う画像や映像が高解像度になると、CPU内蔵のGPUだけでは処理がなかなか追いつかなくなってきます。
そんなときに役立つのがグラフィックボードです。
3DのPCゲームやオンラインゲームの映像を滑らかに液晶ディスプレイで表現するために、グラフィックボードでCPUのサポートを行うのです。
CPUにGPUが内蔵されているなら、グラフィックボードはなくても大丈夫なんじゃないか? という考え方があります。
これは鋭い考え方で、最新のCPUはGPU性能も高いため、画質にこだわらなければグラフィックボードなしでも対応できます。
この記事を書いている時点で、グラフィックボードが役立っていると実感できるのは4Kの動画を編集しているときでしょう。
高画質、高解像度の映像はそれだけデータ量も多く、編集するときにはパソコンへの負荷も高くなるのでCPU内蔵のGPUだけでは性能が足りません。
グラフィックボードがないパソコンで高画質の動画編集をしようとすると、動画編集用ソフトのプレビューがカクカクして不安定になります。
また映像にエフェクトを適用した箇所がプレビューで再現できない、ソフトウェアが固まる、強制終了するといった不具合が起こりやすくなります。
また、3Dのオンラインゲームを高画質でプレイする場合には、高フレームレートを維持できなくなります。
CPUの中にはGPU機能を持たない製品があります。
例えばCore i7-13700KFやCore i7-14700KFといった末尾に「F」が付くインテルのCPUです。
インテルのFモデルは内蔵グラフィックスの機能を無効化することで発熱が抑えられるという謡い文句で販売されています。
オーバークロックに強いため、ゲームユーザーが好んで使うことがあるみたいですね。
動画編集でこのCPUを使う場合も必ずグラフィックボードを搭載している必要があるでしょう。
また、AMDのCPUではRyzen 7XXXシリーズ以降は内蔵GPUを搭載していますが、動画編集で使うには十分な性能を持っていません。
Ryzen CPUで自作パソコンを組むならグラフィックボードが必須です。
ゲームをプレイする様子を録画してYouTubeに投稿するといったゲーム実況動画を作りたい方はグラフィックボードなしでは、快適な作業環境を作れません。
ゲームプレイと録画を同時に行うのはパソコンに負荷をかけるからです。
ゲーム録画はグラフィックボードでCPUの負荷を分散するのが効果的です
このような場合、ゲームタイトルに合わせてハイスペックなグラフィックボードを用意する必要があります。
一方でゲーム録画をキャプチャーボードで行うなら、パソコンで録画を行わないのでパソコンへの負荷が減ります。
ゲームプレイの滑らかさを重視するなら、録画は外部レコーダーに任せるのがオススメです。
インターネットライブ配信を行う方もグラフィックボードを搭載したパソコンを選ぶのが良いです。
ライブ配信はライブ配信用のソフトを使うことで音声収録を改善したり、ライブ配信中にテロップを加えるといったことが実現できます。
人気の無料ライブ配信ソフト OBSではライブ配信中の映像を録画することができます。
この際にグラフィックボード(NVIDIA GeForce RTXシリーズ以上)があれば、エンコーダにNVIDIA NVREC H.264を選べます。
グラフィックボードでハードウェアエンコーディングを行うことでPCの負荷を抑え、画質の劣化を防げます。
グラフィックボードのメーカーで一番有名かつシェアも高いのがNVIDIAです。
NVIDIAのグラフィックボードの中でも代表的なシリーズにGeForceとQuadroのふたつがあります。
大まかな分け方として、GeForceがゲーミングパソコン向け、Quadroがクリエイター向けといわれています。
Quadroは現在名称が変わりNVIDIA RTX XXXXシリーズとしてCAD・サーバー向けのビデオカードで販売しています。
NVIDIA RTXとGeForce RTXはどっちがいい?徹底検証してみる
一昔前は動画編集用パソコンにはクリエイター向けのQuadroが向いていると言われてきましたが、GeForce RTXシリーズ登場以降は一概にそう言えなくなっています。
たとえばPremiere ProはGPUアクセラレーションにCUDAやOpen CL、Apple Metalのドライバーを要求します。
Windowsの場合CUDAを用いますが、GeForceとNVIDIA RTXのCUDAコア数を比較してみると、GeForceの方がCUDAコア数の多いグラフィックボードが手に入ります。
NVIDIA RTX A4000 (実売価格13.4~14.4万円) | CUDAコア:6,144基 |
GeForce RTX 4070 (実売価格8.8~11.7万円) | CUDAコア:5,888基 |
GeForce RTX 4080(実売価格17.1~24.2万円) | CUDAコア:9,728基 |
※実売価格は価格コム調べ(2024年1月時点)
GeForceシリーズは新しい製品ほどCUDAコア数が劇的に増えているので、発売時期が古いNVIDIA RTXよりも最新のGeForceのほうが動画編集に向いていると言えるでしょう。
またGeForceとNVIDIA RTXの明確な違いとして、表現できる色の数の差があります。
GeForceのエントリーグラフィックボード(Geforce GTXシリーズなど)は8bitカラー(約1677万色)しか表現できないのに対し、NVIDIA RTXは10bitカラー(約10億6433万色)に対応しています。
そのため色表現を重視するならNVIDIA RTXといわれてきたのですが、最近はGeForceでもRTXシリーズといった10bitカラーに対応するモデルが出てきています。(別途設定が必要です)
GeForceはQuadroよりも安価でコストパフォーマンスが良く、動画編集用パソコンにはGeForceの方がおすすめと言えそうです。
グラフィックボードのメーカーにはNVIDIAの他にAMDがあります。
AMDのグラフィックボードはRadeonが主力で、NVIDIAのGeForceとシェアを二分しています。
また、NVIDIAに比べてビデオメモリ容量が大きいグラフィックボードが多い傾向があります。
2020年12月にRadeonからハイエンドモデルのRX 6800 XTが発売されていますが、動画編集での有効性はまだレビューが少なく未知数です。
Radeonのビデオカードは半導体需要増加に伴い価格が暴騰しております。
これまで低価格がウリのRadeonでしたが、2021年以降はNVIDIAよりも値段が高くなっていました。
そのような点からも性能重視のパソコンをお手頃な価格で手に入れたいならNVIDIAのほうがオススメと言えます。
グラフィックボードの予算はざっくり言うと3の倍数で予算と性能を分けることができます。
予算3万円以下はエントリーモデル、3~6万円はミドルレンジ、6~9万円はミドルハイエンドモデル、9万円以降はハイエンドモデルです。
動画編集で考える場合、主に編集する動画の解像度で考えると分かりやすいです。
3万円以下 | GTX 1650、GTX 1660 SUPER、Radeon RX570 |
3~6万円 | RTX 4060、RTX 3060、Radeon RX6700XT |
6~10万円 | RTX 4070、RTX 3070、RTX 4060 Ti、RTX 3060 Ti |
10万円以上 | RTX 4080、RTX 3080、RTX 4090、RTX 3090 etc |
2024年になってビデオカードの価格高騰はやや鈍化し、やっと適正価格な市場相場となりつつあります。
エントリーモデルはフルHDのシンプルな動画編集向け。ミドルレンジはフルHDの複雑な動画編集やカラーグレーディングを行う方向けとなります。
4K映像やCG制作を行う方はRTX 3060以上のミドルハイエンドモデルがおススメです。
RTX 3080や3090のようなハイエンドグラフィックボードは複雑な4~8K映像や高フレームレート映像を編集する方には買うメリットがあるかもしれませんが、多くの方には宝の持ち腐れになってしまうオーバースペックモデルです。
一般的な動画編集なら10万円を上限で考えても問題ありません。
グラフィックボードはNVIDIAとAMD以外からも販売されています。
これらの製品は「オリジナルファンモデル」と呼ばれ、ゲームユーザーや自作パソコンユーザーに好まれています。
オリジナルファンモデルのメーカーを挙げるとASUS、MSI、ZOTAC、GIGABYTE、玄人志向、Palitがあります。
主に大型のクーラーファンが備え付けられ、高いクロックで動作するよう設定されています。
ゲームの快適さを求めるならオリジナルファンモデルがおススメです。
大型のクーラーのほうが冷却能力も高く静音性に優れているといった特長があります。
これに対してNVIDIAやAMDが販売するグラフィックボードはリファレンスモデル(標準モデル)と呼ばれています。
動画編集はグラフィックボードをオーバークロック設定にしなくても十分使える上に、リファレンスモデルの方が寿命が長い傾向があります。
なので動画編集がメインのクリエイターは無理してオリジナルファンモデルを選ぶ必要はありません。
2024年主流のグラフィックボードの中で動画編集向けの製品をランキングにして紹介します。
4K動画編集はRTX 4070がオススメです。私は2024年もこれでいきますよ。
価格を抑えた新製品RTX 3060 Ti。ビデオメモリは8GBでコスパ抜群です。
第13世代 Core i5 13400Fと合わせれば4K動画編集にも十分対応できるようになっているのでおすすめ。ビデオメモリ4GB。
発売直後は不人気のようでしたが、RTX 3XXXシリーズの在庫がなくなり次第メインストリートモデルになるのは間違いなしです。
RTX 4XXXシリーズでコスパ最高と評判が良いRTX 4060 Tiは4K動画編集向け。
こんな感じで動画編集用パソコンに適したグラフィックボードの選び方を解説してみました。
ポイントとしては、フルHDの動画を編集するのか、それとも4K対応の動画も編集したいのかによって選ぶべきグラフィックボードや必要な性能の高さも変わってきます。
なので、どんな用途で動画編集用パソコンを使いたいのかによって選ぶのがいいですね!
あと、せっかく高性能なグラフィックボードを搭載していても、最新のドライバーに更新していなかったり、解像度の設定をしていないともったいない状態になってしまいます。
NVIDIAのコントロールパネルは右クリックで設定できるので、新しいパソコンや液晶モニターを購入したら設定を忘れないようにしましょう。
フルHD編集のためならグラフィックボードの中でもエントリーモデルの性能で十分です。
一方で4K動画編集には性能の良いグラフィックボードが必要です。
映像の画質や解像度、丁寧な編集にこだわる場合にはミドルハイエンドモデル、ごくシンプルなカット編集ならもう少し下のクラスのモデルでOKです。
どのレベルの編集作業をするかによって、また予算とも相談しながら選んでみてくださいね。
とにかく安く性能の良いグラフィックボードを搭載したパソコンを手に入れるならBTOパソコンで組まれた動画クリエイター向けPCを買うのがオススメです。
BTOパソコンショップの公式通販サイトでは決済画面に進むとグラフィックボードを選べることもあります。
通販で買う場合も柔軟にパーツ交換できるパソコンショップがおススメです。
マウスコンピューターは定期的に実施しているセールで売れ筋のグラフィックボードを搭載したパソコンを購入できますよ。
G-Tune DG-I7G7S
CPU:Core i7-14700Fシークレット価格 ⇒279800円(税込)
※当サイトはMouse様より特別に許可を頂いてシークレット価格のページを紹介しています
DAIV FX-I7G7S
CPU:インテル Core i7-14700F338800円(税込)
>>販売終了しました
レノボ通販サイトのカスタマイズ画面ではアップグレードできるグラフィックボードの選択幅が広いのでオススメ。
Lenovo Legion T5 26IRX9
CPU:Core i9-14900HX315150円(税込)
ドスパラ通販サイトももちろんカスタマイズにも対応してくれており、グラボのダウングレードがあるのも魅力です。
必要最小限の構成にしたい方はオススメです。
GALLERIA ZA9C-R47
CPU:Core i9-14900KF327980円(税込)
※10月14日時点の価格です。最新の価格は公式ページをご確認下さい