プロのフォトグラファーやビデオグラファーがカメラやレンズの次に気を遣って投資するのが液晶ディスプレイです。
プロ用の液晶モニターにはEIZOのカラーマネージメントディスプレイが有名です。
フォトレタッチャーやカラリストに定番の液晶ディスプレイで一般的な液晶モニターよりも高価で高性能です。
カラーマネージメントディスプレイは常に正しい色表現で画像(映像)を表示することができるように、「キャリブレーション」と呼ばれる色域の調整機能を搭載しています。
キャリブレーションを行うには専用のセンサーが必要で、EIZOでは「EX-3」がそれにあたります。
私はフリーランスで本格的に仕事を始めたのを機にEIZOのカラーマネージメントディスプレイを導入しました。
プロの方はみんな使っているってハナシです
しかし、購入から1年ほどキャリブレーションを全く行わずに使っていて、なんだかちょっとモニターが暗くなってきた感じがしてきたので、キャリブレーションセンサーを購入してみました。
このエントリーではEIZOのモニターをEX-3で実際にキャリブレーションしてみます。
カラーマネージメントディスプレイの購入を検討している方や、キャリブレーションをやってみたことがない方はぜひ読んで参考にしてみてください。
2018年からBTOパソコンを使った動画編集の検証を実施し、これまで年間20台以上 累計100台以上のパソコンレビュー記事を執筆しました。PC通販サイトとコラボで動画編集用のパソコンの企画・販売や当サイト限定クーポンの配布を行っています
この動画はEIZO公式チャンネルの「ColorNavigator 6を使ったカラーマッチングセミナー」です。
液晶モニターと写真プリントの色を合わせるカラーマッチングについて詳しく解説してくれています。
EIZOの液晶ディスプレイに備わったキャリブレーション機能とキャリブレーションセンサーの使い方を分かりやすく説明してくれているので、カラーマネージメントディスプレイに興味のある方や、モニターキャリブレーションをやったことがないクリエイターの方はぜひ視聴してみましょう。
液晶モニターは長年使っていると徐々に暗くなってきたり、赤色や青色に傾いてきます。
このようなモニターで写真編集や映像編集を行った場合、プリンターで出力した写真の色とモニターの色が違っていたり、映像を納品したお客さんから「色がおかしい」と指摘を受けることになりかねません。
プロの写真家や映像制作者はこのような液晶ディスプレイの性質を理解しているので、いつでも工場出荷時の正常な色表現に戻すことができるカラーマネージメントディスプレイを使用しています。
カラーマネージメントディスプレイはセルフキャリブレーション機能を搭載しており、メーカーにお願いしなくても簡単にカラーマッチングを行うことができるようになっています。
キャリブレーションセンサーとはカラーマネージメントディスプレイでキャリブレーションを行うときに必要になる装置です。
キャリブレーション時、上の写真のように液晶モニターの画面上に乗せて使うようになっています。
EIZOの液晶ディスプレイにはキャリブレーションセンサーを内蔵している製品もありますが、私が使用しているEIZO ColorEdge 23型カラーマネジメント液晶モニターはキャリブレーションを行う際に別途キャリブレーションセンサーが必要になる製品なので、EIZO純正のキャリブレーションセンサー「EX3」を購入することにしてみました。
キャリブレーションにはカラーマネージメントソフトも必要で、PCにインストールしてソフトウェアを起動してキャリブレーションを行います。
EIZOのカラーマネージメントソフトは液晶ディスプレイ購入時に付属しているディスクからインストールできます。
また公式HPからもダウンロードできるようになっています。
ではキャリブレーション機能を持っていない液晶ディスプレイの場合、キャリブレーションできないのでしょうか?
実はそんなことはありません。
キャリブレーションセンサーを購入して、専用のソフトウェアをインストールすれば普通の液晶モニターもキャリブレーションは行えるようです。
ただし、その場合はソフトウェアキャリブレーションという調整方法となっており、パソコンのビデオカード(GPU)のRGB出力を下げることによってカラーマッチングされるようです。
つまり、キャリブレーションを行った結果として階調の減少や階調とびが現れるようです。
またソフトウェアキャリブレーションは、キャリブレーションを行う人のスキルによってかなり精度が左右されてしまうようです。
初心者にはあまりオススメできない方法とも言えますね。
カラーマネージメントモニターの場合は、PCのビデオカードではなくモニター内部の出力を変更するので階調とびの心配はありません。
今回購入したキャリブレーションセンサーはEIZO専用の製品で、普通の液晶モニターをソフトウェアキャリブレーションする場合は、汎用のキャリブレーションセンサーを使います。
汎用のキャリブレーションセンサーではSpyder(スパイダー)が有名です。
使ったことがないので何とも言えないのですが、SpyderはすべてのデスクトップモニターおよびノートPCのモニターをキャリブレーションできるようですね。
実際にノートパソコンの液晶モニターをキャリブレーションして検証している記事もありましたよ。
EIZOのキャリブレーションセンサーはEIZOダイレクト(直販サイト)でも購入できますが、Amazonや楽天市場のほうが値段が安かったのでAmazonで購入しましたよ。
キャリブレーションセンサー「EX3」は本体と保証書、ユーザーマニュアルが付属しています。
本体はこんな感じです。思っていたよりも小さいです。
取り扱い説明書は日本語訳もあるので安心です。
表面の保護フィルムをはがして使います。
センサーの上面はキャップになっているみたいですね。
EX3はEIZOの液晶ディスプレイにUSBケーブルで接続して使うようになっています。
それでは早速カラーマッチング(キャリブレーション)を行ってみましょう。
私が使っているEIZOのカラーマネージメントモニターは一番低価格なCS230-CNです。
現在(2021.1月 時点)はCS230-CNにキャリブレーションセンサーが付属したセット商品が直販サイトで販売されているので、これから買うならそれが良さそうですよ。
CS230-CNにはColorNavigator Ver.6.4.12が付属しています。ひとまずディスクからソフトをインストールします。
ディスク内の「Launcers.exe」をダブルクリックするとセットアップ画面が開くので「インストール」をクリックします。
無事インストールは完了しましたが、起動してみると「モニターのUSB接続が確認できません」と表示されました。
液晶モニターはパソコンとDisplayPortケーブルで接続していますが、キャリブレーション時にはUSBケーブルでも接続する必要があるみたいですね。
EIZO 液晶ディスプレイ CS230-CNに付属していたUSBケーブルのことを思い出しました。
これ何に使うんだろう?と疑問に思っていたのですが捨てなくてよかった(;'∀') いや捨てちゃダメでしょ。
CS230-CNの裏側に付属のケーブルが接続できそうなポートが2つあります。
ColorNavigator 6の画面ではポート1に挿すよう指示がありますので、その通りにポート1へ接続しました。
ColorNavigator 6が正しく起動し、ようやくキャリブレーションを行えるようです。
カラーマッチングの目標を「web向けコンテンツ作成用」、「写真鑑賞用」、「印刷用」の3つから選択できるようになっています。
とりあえず写真鑑賞用を選んで、画面右にある「調整」をクリックします。
すると測定器の選択画面が開きます。
すでにキャリブレーションセンサーを液晶ディスプレイに接続している場合は測定器の枠にセンサーの名称が表示されているようです。
EX3をUSBケーブルで液晶ディスプレイに接続しました。
するとEX3のキャップを取り外すように指示画面が表示されます。
EX3のキャップは簡単に取り外すことができますよ。
次に進めると液晶モニターを少し上に向けてEX3を画面の上に乗せるよう指示が出ました。
上の写真のように、ColorNavigator 6で表示された画面に合わせるようにキャリブレーションセンサー EX3を上からぶら下げます。
EX3のフタで液晶モニターをキズつけないように気をつけます。
こんな感じでテープで貼り付けておくとずり落ちることはありませんよね。
追記
※使い方間違っていたようです(笑) 読者様にご指摘いただきました。ありがとうございます。
フタを動かしてモニターの反対側に回して重りにするようです。私と同じことすると液晶モニターをキズ付けるので気を付けて。
モニターキャリブレーションを実行します。しばらくの間、画面を放置します。10~15分ほどかかるようですね。
モニターキャリブレーションが完了しました!メチャクチャ簡単です。
モニター使用時間も表示されています。
上の写真がキャリブレーションを行う前です。
そしてこちらがキャリブレーション後の画面です。
写真はSONY α6500で撮影しています。露出は全く同じ設定です。
写真鑑賞用に設定したからでしょうか?ほんの少しですが、黄色が強くなっている感じがします。
ColorNavigator 6を終了しようとすると、「SelfCorrectionが無効です」と表示されます。
SelfCorrectionは定期的に自動でキャリブレーションする機能です。CS230-CNにはコレクションセンサーが内蔵されており、設定しておけば自動表示補正できるみたいです。
ColorNavigator 6の操作画面にある「高度な機能」⇒「SelfCorrection設定」を選びます。
SelfCorrectionを有効にするかどうか確認画面が出ますので「SelfCorrectionを有効にする」にチェックを入れて使用時間を入力し、OKを選びます。
使用時間はおよそ1か月ごとに実行するよう設定しましたよ。
こんな感じです。
モニターキャリブレーションを行うことで液晶ディスプレイの表示をいつでも正しい状態に調整することができるので、長期間にわたって液晶ディスプレイを使うには安心です。
液晶ディスプレイは映像制作専用として使うならEIZOの上位モデルをお勧めしますが、手始めにCS230-CNで運用するのもなかなか良いですよ。