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1.22023
Canon XF605を徹底解剖 買う前と後のギャップを詳しくレビュー

※2023年1月に更新しました
いつ買う?どこで買う?

とある理由で業務カメラを買うことを決心し、まずはSONY PXW-Z190を検討していました。
しかし実際に使ってみることで考え直すことにしましたよ。
過去記事:SONY PXW-Z190は暗い暗いと言われるけど実際はどう?
2番目の候補となるのがCanon XF605です。
ソニーのビデオカメラしか使ってこなかったので、Canonの業務カメラに乗り換えるのはかなり抵抗がありました。
そこで先輩カメラマンさんの意見を聞きつつネットの情報を隅々まで調べたうえで、業務カメラのショップにも足を運びデモ機に触れてみることにしましたよ。
初のビデキン京都本社にCanon XF605の実機を触りに来ましたよ😊
気に入ったぁ! 買うべ買うべ🤭 pic.twitter.com/1sjVZGedts— おーとふぉーかす@ブログと動画編集でメシを食う (@sonycameralove) January 7, 2022
ここではようやく決心して購入したCanon XF605の買う前と後のギャップや撮影業務で実際に使ってみた感想やおススメの設定方法、一緒に使うと便利なアイテムの紹介をいたします。
これから業務カメラを買うのに悩んでいる方(特にソニーユーザーの方)はぜひ読んで見てください。
この記事で解説すること
前半:Canon XF605の性能についての考察
後半:Canon XF605のファーストインプレッション・おすすめアイテム
を解説します。
Canon XF605がどんなカメラなのか?スペックを良く知っている方は読み飛ばしてくださいませ。
目次
Canon XF605の評判はどう?ネットで調べた検証・レビュー記事を考察
カメラマンの先輩方に
「PXW-Z190が欲しいと思ってます。どうですかね?」
と尋ねると、多くの方から「Canon XF705のほうがイイよ」「新しく出たXF605のほうが良さげよね」というご意見を頂戴しました。
みなさんソニーの業務カメラを使っているのにもかかわらずCanonの業務カメラを勧められるのはかなり意外です。
経験豊富なカメラマンさんはメーカー問わずアンテナ張っていて頭が上がりません
そこでこの機会にネットでCanon XF605について徹底的に調べてみようと思いましたよ。
まず最初に見つけたのがPRONEWSプレゼンツ Canon Creator Socety LIVEでXF605をテーマとしたインタビュー企画の動画です。
この動画ではタイムコード・ラボ 宏哉さんがカメラマン目線によるCanon XF605の評価について語っておられます。
業務カメラを使っている方はメチャクチャ共感できることがたくさんあると思うのでぜひ視聴してみてください。
私はCanonのチャンネルでSONYのNX5Rが業界標準と語る姿勢を見てこの方に惚れそうになりました。
参考情報:テレビカメラマンの魅力的な選択肢 Canon「XF605」!厳しく機能検証してみた
レビュー記事がPRONEWSの特集に上がっていたのでリンクを共有します。
Canon XF605についてむちゃくちゃ詳しくレビューされているので、この記事を読まなくてもどんなカメラかとてもよく分かるはずです。
Canon XF605を買う前に徹底解剖 ライブ配信用途には最適か?
Canonの業務カメラは全く使ったことがないので、どんなイメージセンサーや映像処理エンジンなのか詳しく調べてみることにしましたよ。
イメージセンサー
Canon XF605のイメージセンサーは1.0型CMOSセンサーで有効画素数829万画素です。

単板式センサーと三板式センサーの仕組みの違い
ここが3CMOS(三板型)を採用したSONY PXW-Z190やHXR-NX5Rと大きく違う点です。
SONYではPXW-Z150が単板型となっており、Canon XF605とZ150の違いを見比べてみると色々見えてきます。

フルHDと4Kのセンサーサイズの画素イメージ
Canon XF605のイメージセンサーは829万画素で4K(UHD)解像度を出すための最低限の画素数(3840×2160px)となっております。
一方のPXW-Z150は1,420万画素。画素数が多いと画像が精細になるメリットがありますが、一方でセンサーの受光面積が小さくなるため暗い映像になってしまいます。
画素数だけで考えるとCanon XF605はPXW-Z150よりも明るく撮れる(高感度ノイズは発生しにくい)のかなぁという印象です。

SONY PXW-Z150のイメージセンサー「Exmor RS」の仕組み 画像引用元
SONYはPXW-Z150のような画素数を高めたイメージセンサーの場合、積層型構造や裏面照射型構造を採用して受光面積を増やし高感度・低ノイズ特性を持たせています。

積層型CMOSと裏面照射型CMOSの違い 画像引用:Canon PowerShot G5 X Mark II
一方のCanonも積層型CMOSや裏面照射型CMOSを取り扱っています。
Canon XF605は残念ながら積層型CMOSなのか裏面照射型CMOSなのかの記載は見当たりませんでした。
映像処理エンジン
映像処理エンジンはDIGIC DV 7です。
上位機種のCanon XF705がDIGIC DV 6の2基搭載仕様です。
Canonの主なカメラの映像処理エンジン
Canon XF605・Canon C70・C500 MarkⅡ | DIGIC DV 7 |
Canon XF705 | デュアル DIGIC DV 6 |
EOS R3・R6・R5 | DIGIC X |
DIGIC DV 7を採用しているカメラを調べてみるとXF 605の他にCanon C70やC500 MarkⅡがあります。
DIGIC DV 7は2019年に発表されており、先だってC500 MarkⅡ(2019年12月発売)に搭載されています。
この映像処理エンジンにより4K60P 4:2:2 10bitやフルHD 120Pのような高フレームレートの撮影が実現できるようになっているそう。
対応する記録方式
Canon XF605はフレーム毎圧縮のIntra Frameと複数フレームを圧縮するLong GOPの記録方式を選べます。
メディアに記録できる最高画質は4K(3840×2160)で最低画質はHD(1280×720)です。
フレームレートは4K選択で60P(59.94P)~24P(23.98P)、フルHD選択で120P~24Pを選べます。
参考情報:Canon XF605 記録方式|Canon 公式
また同時にプロキシ(Proxy)記録ができるので、AスロットのSDカードに4K60Pの高画質記録を行いながらBスロットのSDカードにHD(1280×720)60Pで記録可能です。

Canon XF605のデュアルSDカードによる異種同時記録の概要 画像引用元:Canon公式
Canon XF605はSDカードがダブルスロットで、リレー記録やサイマル記録(同時記録)が行えるのは他の業務カメラと同様です。
そしてさらにXF605は異なる解像度(4KとフルHD)や異なるファイルフォーマット(XF-AVCとMP4)、異なる記録方式(Intra FrameとLong GOP)の記録データをそれぞれのSDカードに記録できます。
例えばクライアントから求められている動画の解像度はフルHDだけど、アーカイブデータは4Kで残したい。
撮影データも一緒に納品をしなければならないので片方のSDカードにMP4で記録したい。
映像制作の現場ではこのような変則的な要望に応える場合、撮影データをパソコンに取り込んで変換ソフトで書き出す作業が発生してしまいがちです。
Canon XF605なら目的に合わせたデータを同時記録できるので、変換作業を省略でき非常に便利です。
MP4やProxyで記録したデータをすぐに制作会社へデータ転送し、すぐに編集に取り掛かってもらうことも可能です。
上位モデルのCanon XF705にはこのような機能がなかったので、Canon XF605はよりウェブメディア向けの映像制作に適応できる業務カメラになっていると言えます。
データ転送機能に優れたXF605
Canon XF605はiPhoneアプリ「Content Transfer Mobile」を使って放送局のサーバーに撮影データをサーバーにFTP転送することができる機能を持っています。
Windowsには対応していないので非常に残念ですが、MacやiPhoneユーザーはこの機能を使うことで作業の効率化を図れるはずです。
オートフォーカス性能
Canon XF605はXFカムコーダー初の瞳オートフォーカスに対応しています。
瞳AFはソニーのミラーレス一眼を筆頭に民生カメラで導入が進んでおり、CanonもEOS R6・EOS R3に高精度の瞳検出AFを搭載しています。
オートフォーカス機能はドキュメンタリー撮影でとても重宝します。
ブライダルの撮影ではAFの精度が高いカメラを使うと疲労感がずいぶん減るのでぜひ使ってみたいです。
いつ?どこで?買うか迷うCanon XF605
いずれにせよ業務カメラは高額なので公式サイトの仕様やレビューだけ見ても買う決断ができません。
それにどこで買うかも重要で、なるべくならサポートがしっかりして分割支払いにも対応してくれる業務カメラ専門のショップで購入したいところです。
これまで業務用の映像機材を購入したショップでXF 605の価格と在庫状況をチェックしてみました。
業務用カメラショップのXF 605価格比較
システムファイブ | 537,900円 |
ビデオ近畿 | 537,900円 |
フジヤカメラ | 537,900円 |
機材屋 | 537,900円 |
2022年1月調べ(価格は変更の可能性あります)
これまで利用したことのある業務機材のネットショップでは価格が横並びです。
この他にマップカメラも同じような価格となっておりますが、家電通販サイトでは値段がグッと上がります。
プロ機材は使い方によって故障や不具合が発生する可能性が高いので、やはり購入するなら上にあげた4店のような専門店を選びたいところです。
中でもビデオ近畿は京都の実店舗に展示しているとのことで、早速見に行ってみることにしました。

ビデオ近畿 京都本社
業務用ビデオカメラを展示してくれている販売店はほとんどなく、関西のほうではビデオ近畿はプロ機を展示している数少ない店舗のうちの一つです。
Canon XF605の展示品があるとのことで京都の本店まで来ましたよ。

Canon XF605
実機を目にするとカメラの雰囲気や持った感触がよく分かります。
近くに業務機を取り扱うお店があればぜひ実機を見てから購入するのをオススメします。
有料のレンタルで利用してから購入するのも良いかもしれません。
サイドグリップに手を通して構えてみると実際の重さ(バッテリーと合わせて約2.3kg)はあるものの、安定感があってハンディ撮影は楽に使えそうです。
カメラ本体サイズ比較
Canon XF605 | 幅x高さx奥行き:168x173x333 mm 本体重量:2010g バッテリー重量:約225g (BP-A30 14.4V 約3100mAh) |
SONY PXW-Z190 | 幅x高さx奥行き:190x202x419.7 mm 本体重量:2300g バッテリー重量:約220g (BP-U30 約2500mAh) |
SONY HXR-NX5R | 幅x高さx奥行き:176×199.5×385 mm 本体重量:2100g バッテリー重量:約300g (NP-F970 7.2V 約6300mAh) |
30分程触らせてもらって気が付いた(気になった)点です。
ズームレンズはソニー HXR-NX5Rよりもやや粘りがあり、ズーム位置が決まっています。(絶対値が割り当てられている)
一方向にぐるぐる回るHXR-NX5RやPXW-Z190とは違うズーム機構で、一眼カメラのズームレンズを使い慣れている方は違和感がないと思います。
焦点距離は35mm判換算で25.5mm~382.5mmの光学15倍ズームです。
デジタルテレコンバーターで6.0倍・3.0倍・1.5倍に拡大できます。

Canon XF605の2か所に備わるズームレバー
均一な速度でズームできるズームレバーは上部ハンドルとサイドグリップに備わっており、ソニー機と同様の操作ができます。
違う点はズームレバーを使ったデジタルズームとズームリングによる光学ズームを併用できないことです。
左側面の切替スイッチ(RING/ROCKER)でどちらを使うか切り替える必要があります。
また焦点距離(ズーム位置)が絶対値になっているので、ズームレバーによるデジタルズームからリング操作に切り替えるときにズームリングで合わせている焦点距離に移動してしまうという特性があります。
これはこれまで使ってきたソニー機(NX5RやZ190)と随分違う点で、常にズームレバーとズームリングを併用している場合は戸惑うかもしれません。
またアドバンスト 30xのズーム機能では光学15倍から画素切り出しで30倍までズーム幅が広がり、スムーズに拡大することができます(フルHD・HD撮影時のみ)
他には液晶モニターがかなりくっきり表示され、ピントの山も分かりやすい上に使いやすいタッチパネル機能も備わっています。
ソニー機とはやや違う部分がありますが、PXW-Z190よりも魅力的なカメラに感じたので購入を決意しました。
業務カメラは5年償却 分割購入でキャッシュを温存しよう
仕事でカメラを使う場合、当然カメラは経費として扱うことができます。
30万円以上する高額な業務カメラは1回(購入した年度)で全額経費で落とすことができず、固定資産として計上して減価償却を行うことになります。
減価償却とは法定耐用年数に応じて分割して費用計上することで、耐用年数が5年のカメラでは例えば50万円で取得すると1年ごとに10万円ずつ経費とすることができます。
Canon XF605は取得年度に一括償却できないので、やはり無理せず分割購入したいところです。
業務カメラの通販を調べていると、ビデオ近畿とシステムファイブではオリコのショッピングローンが使えることが分かりました。
参考情報ショッピングローン「オリコ」36回まで分割手数料をシステムファイブが負担します!
ここのところ半導体不足の関係でカメラの納期遅れや販売一時中止が起きており、Canon XF605もいつ同じような状態になるか分かりません。
分割購入なら悩む必要はないと考えすぐに注文することにしました。
もちろんクレジットカードで分割購入するのも良いですが、分割手数料を通販サイトが負担してくれるサービスがあるのは魅力的です。
コロナ禍でなるべくキャッシュを温存したい映像制作者にとってはとてもありがたいですね!
Canon XF605が届いた!
オリコのショッピングローン審査も無事通過し、システムファイブからCanon XF605が届きました!
開封動画を撮りましたのでご覧ください。
Canon XF605に同梱の付属品はバッテリーと充電器・ACアダプターケーブルとレンズフード・レンズキャップ・ビューファインダーキャップ・大型のアイカップ・保証書となります。
Canon XF605の外観

Canon XF605
手元に届いてじっくり触ってみると、ビルドクオリティの高さに改めて気分が高揚します。
重量は約2.5kg(レンズフード・バッテリーBP-A30を含む)で、2.8kg(レンズフード・アイカップ・バッテリーBP-U30を含む)のPXW-Z190と比べると大分軽く感じます。
HXR-NX5Rがバッテリー込みで2.5kgなので、重さはほとんど同じです。
ただ、左側のグリップに手を通して持ってみたところ、前後のバランスが良いのでNX5Rよりも手に馴染み良く長時間構えても疲労感が減りそうな感じがします。

Canon XF605付属のファインダーキャップ
またビューファインダーのキャップが付属しているのが驚きました。ソニーのカメラでは見たことがなかったのでかなり嬉しい気分になります。
ビューファインダーやアイカップは静電気でホコリが付きやすいので、カメラを保管するときは是非キャップをつけてゴミの付着を防ぎたいところです。

Canon XF605の左側面
待望の三連リングはやはりNX-5Rよりも粘りがあります。
むしろ粘りがありすぎてやや硬いかも..個体差でしょうか。これ調整できるとよいな。
ボディ表面はザラザラとした金属的な仕上がりとなっていて、SONY シネマライン FX6によく似た触り心地です。
色は深みのある黒で、所々プラスティッキーなNX-5Rと比べると別格の高級感があります。
値段が高いだけあって外観は全体的にこれまで使ってきたSONY製の業務用カメラを凌いでいます。

Canon XF605の左側面拡大
各種ボタンの配置はソニーのカメラと異なる部分が多いので、慣れるのに時間がかかりそうです。
特にNDフィルターがボタンによる電動式になっているのがこれまで使ってきたカメラと大きく違う点で、押し続ければ濃度が違うNDフィルターに次々切り替わります。
クリア・1/4・1/16・1/64の4段階で、+ボタンを押し続ければ1/64からクリアへ戻ります。

Canon XF605の右側面
ハンドルのスペースも十分な空きがあり、三脚撮影時に右側から手を突っ込んでズームレバーやファンクションキーを押すのも抵抗なくできる設計になっています。
またCanon XF605はXLRマイク端子が2つで左側がINPUT 1、右側がINPUT 2となっています。SONYと逆になっています。

Canon XF605のXLR端子と入力切替スイッチ
一般的な業務カメラのマイク入力端子はXLR端子のみになっていることが多いのですが、Canon XF605は3.5mmのマイクジャックも備わっているのが特徴的です。
一眼カメラでお気に入りの3.5mmジャック入力の外付けガンマイクを使っている方は流用できるでしょう。
XLRのLINE/MIC/MIC+48V(ファンタム電源)の切替スイッチも業務カメラ定番の場所に備わっています。

左:Canon XF605の前部分・右:Canon XF605の後ろ部分
またガンマイク装着部分のショックを吸収する機構は、RODEのような一眼カメラの外部マイクで採用されているショックマウントが採用されているのも特徴的です。
手持ち撮影の機会が多いロケ撮影では効果を発揮しそうです。

Canon XF605のストラップ取り付け部
ハンディ撮影をサポートする仕組みはストラップ取り付け部にも見られます。
液晶モニター側は金具になっていてSONY NX-5Rよりも強度がありそうです。

左:Canon XF605のビューファインダー 右:ヘッドホン端子
ビューファインダーの角度調整部はやや固めでしっかりしています。
ハンドル部に備わるヘッドホン端子は丈夫なカバーが備わっています。
カバーはちょっと取り外しにくいのが難点です。

Canon XF605のインターフェースとアクセサリーシュー
背面のインターフェースはバッテリーに近い方で上からUSB Type-C、イーサネット端子、HDMI端子、DC IN(電源)端子と並びます。
その右側は上からリモート端子(RC-V100 リモートコントローラーを接続する)、タイムコード端子、G-ROCK SYNC端子、SDI-OUT端子と並んでいます。
Canon XF605はHDMIとSDI-OUTで同時に映像を外部出力できるようになっています。
また内蔵マイクの上部に備わるシューには電子接点が見当たりませんが、ハンドル上部に備わるシューには電子接点があります。
TASCAMが開発したXLRマイクアダプターを併用することで、最大4chのXLR入力による音声収録ができるという点もこのカメラの魅力の一つです。
関連情報:キヤノン、富士フイルム、ニコン、各社との協業によるプロ品質での動画音声収録を実現するミラーレスカメラ対応XLRマイクアダプター『CA-XLR2d』を開発|TASCAM

左:Canon XF605の三連リング近くにあるFn11キー 右:グリップ周辺のFnキー
3連リングの下(Fn11)や、グリップの上部にファンクションキーが備わる点もソニー機やCanon従来の業務カメラと同様で省略は一切されておりません。
CanonXF605はXF705から10%のサイズダウンを実現しておりますが、撮影オペレーションに必要なキーはそのまま装備されている点は高く評価できるポイントです。

sachtler ザハトラー カムポーターS SC201にCanon XF605を入れた状態
先だって購入したsachtler ザハトラー カムポーターS SC201にCanon XF605を入れてみるとややキツめに収納されます。
マジックテープで止める仕切りパッドを取り付けた状態で、スペースにバッテリーやACアダプターを入れるつもりでしたが、そのスペースもやや狭くてギリギリ詰めることになりそうです。
同メーカーのバッグでサイズが大きくなるカムポーターS SC202という製品があるので、もう少しゆったりXF605と撮影機材を詰め込みたい方はSC202を選ぶほうが良いかもしれませんね。

Canon XF605を詰め込んだsachtler ザハトラー カムポーターS SC201
やや小ぶりのビデオカメラ用バッグsachtler ザハトラー カムポーターS SC201にCanon XF605を収納して肩掛けしてみました。
カメラの大きさ・重さともに負担が少なく、電車での移動でも持ち運びできます。
少予算の撮影案件ではこのスタイルで身軽に対応できるので、XF605にピッタリのカメラバッグを選べたと思っています。
sachtlerのカメラバッグはsachtler製三脚バッグと同じで、創りがしっかりとして頑丈なのでオススメですよ。
XF605のデータ転送機能を検証
Canon XF605に実装された機能の中で私が一番興味があるのが、スマートフォン(iPhone)と専用アプリ「Content Transfer Mobile」を使ったサーバーへの転送機能です。

Canon XF605のアプリ「Content Transfer Mobile」 画像引用元:Canon XF605公式
残念ながらアプリ「Content Transfer Mobile」はiOSのみ対応なので、Androidスマホを使用している私はまずiPhoneを調達する必要があります。
アプリを使った転送機能を活用して、クラウドサービスにFTP転送できればタイムリーに撮影データを編集者に渡すことができます。
報道カメラマンはもちろん、日々の撮影データを外注の動画編集者に即時転送したいYouTubeチャンネル運営者にも最適な機能です。
チャンネル運用を内製化している会社ならCanon XF605の転送機能をぜひ活用したいところです。
Content Transfer Mobileの転送機能はiPhoneを借りてぜひ検証してみようと思っています。
XF605の最適なSDカードはどれ?

Canon XF605の記録容量検証で使用するSDカード 左:SF-G64T 右:SF-M128T
Canon XF605に最適なSDカードはどれか調べてみます。
4Kで記録できることはもちろんのこと、422 10bitやHDRにも対応した記録データを取り扱うことができるCanon XF605は相応のメモリーカードが必要になるはずです。
そこで手持ちのSDカード(SONY SF-G128GB)がCanon XF605にどの程度対応できるのか?どのぐらいの時間記録することができるのか調べてみます。

Canon XF605の録画設定画面
上の画像はCanon XF605のメニュー画面内の記録方式を設定する画面です。
解像度・記録形式・ビットレート・フレームレートによって収録時間は変わります。
Canon XF605の4K収録時間(SDカード容量 128GB)
4K(3840×2160) 135Mbps / MP4(HEVC)422 10bit | 120分 |
4K(3840×2160) 100Mbps / MP4(HEVC)420 10bit | 162分 |
4K(3840×2160) 150Mbps / MP4(HEVC)420 8bit | 108分 |
4K(3840×2160)410Mbps Intra / XF-AVC 422 10bit | 39分 |
4K(3840×2160)160Mbps Long GOP / XF-AVC 422 10bit | 102分 |
上の表はシステム周波数を59.94Hz、フレームレート 29.97p、記録オーディオ形式をAAC 16bit 2CHに設定しています。

Canon XF605の録画設定画面
Canon XF605はIntra-flame(フレーム毎圧縮)で記録するにはXF-AVCを選ぶ必要があり、MP4(HEVC)を選ぶとLong GOP(フレーム間圧縮)となります。
Intra-flameはデコードの負荷が少なく、そのかわりにデータ容量が大きくなります。
動画編集時にカラーグレーディングで細かな色編集を実施するのに最適なデータです。
Long GOPはデコードの負荷が大きいので高性能なパソコンでないと編集できませんが、そのかわりにデータ容量が少なく済みます。
簡単なカット編集しかしない場合はパソコンのデータ保存領域が少なくて済むというメリットがあります。
尚、Canon XF605はMP4(HEVC)で記録する場合フレームレートを変更しても収録時間が変わりません。(Intra-flameでは59.94pは29.97pの半分の収録時間になります)

XF-AVC選択時のメイン解像度/ビットレート 設定画面
また記録方式をXF-AVCにするとIntra-flameとLong GOPのどちらも選択が可能です。
メイン記録方式でXF-AVCを選び、メイン解像度/ビットレートに進めると4K・フルHDともにIntra-flame・Long GOPを選ぶことができます。

Canon XF605の記録オーディオ形式 選択画面
Canon XF605は同じメニュー画面でオーディオ形式を設定できます。
メイン記録方式でMP4(HEVC)を選んだ時のみ「メイン記録MP4オーディオ形式」で「AAC 16bit 2CH」と「LPCM 16bit 4CH」を選ぶことができます。
AACとLPCMの違いは音声をデジタルデータにする際に圧縮する(AAC)か非圧縮にする(LPCM)かどうかで、一般的にLPCMのほうが高音質です。
MP4とMP4(LPCM)の違いについて|Panasonic公式
LPCMは非圧縮のため、これを選ぶとさらに収録時間は短くなります。
Canon XF605を使う多くの方は編集前提で撮影すると思うので、LPCMを選びたいところですよね。
ただLPCMを選ぶとデータ容量が増えるので、大容量のSDカードを購入できるかどうかで選ぶことになるかもしれません。
カメラマンさんによっては4Kで撮影する機会がほとんどなく、もっぱらフルHDで撮影している方も多いでしょう。
以下ではCanon XF605のフルHD(1920×1080)設定にした場合、128GBのSDカードで収録できる時間を明記します。
Canon XF605のフルHD収録時間(SDカード容量 128GB)
フルHD(1920×1080) 50Mbps / MP4(HEVC)422 10bit | 321分 |
フルHD(1920×1080) 35Mbps / MP4(HEVC)420 10bit | 455分 |
フルHD(1920×1080) 35Mbps / MP4(HEVC)420 8bit | 455分 |
フルHD(1920×1080)160Mbps Intra / XF-AVC 422 10bit | 102分 |
フルHD(1920×1080)50Mbps Long GOP / XF-AVC 422 10bit | 328分 |
上の表はシステム周波数を59.94Hz、フレームレート 29.97p、記録オーディオ形式をAAC 16bit 2CHに設定しています。
フルHD解像度は4K解像度の約1.5倍ほどの収録時間で撮影できます。
とは言え、Intra-flameではフルHDにしても128GBのSDカードで102分しか撮影できないのは注意が必要です。

Canon XF605はフルHD XF-AVC選択時にフレームレート 59.94iが選択可能です
また記録カメラマンおなじみのフレームレート59.94iもフルHDでXF-AVCを選べば設定可能です。
フルHD 59.94i 収録時間(SDカード容量 128GB)
フルHD(1920×1080)160Mbps Intra / XF-AVC 422 10bit | 102分 |
フルHD(1920×1080)50Mbps Long GOP / XF-AVC 422 10bit | 328分 |
4K設定でインターレース記録ができないのは、もう需要がないのかもしれませんね。
XF605におすすめのSDカード
Canonが公式サイトでXF605検証済のSDカードを公開してくれています。
【業務用ビデオカメラ】動作確認済みメモリーカードは?(XF605)|Canon公式
どのSDカードもSDXC UHS-IIのSpeedClass10/U3/V90の規格で高額なメモリーカードとなっています。
Canon XF605検証済SDカード一覧(Canon公式調べ)
ProGrade Digital 128GB(PGSD128GBCKJP) | 3.2万円 |
Angelbird 128GB(AVP128SDMK2V90) | 4.6万円 |
Angelbird 256GB(AVP256SDMK2V90) | 8.7万円 |
SanDisk 128GB(SDSDXDK-128G-JNJIP) | 2.5万円 |
DELKIN DEVICES 128GB(DDSDG2000128) | 1.7万円 |
DELKIN DEVICES 256GB(DDSDG2000256) | 3.6万円 |
Amazon価格(2022年2月調べ)
まあどれも値段が高い(汗)
Amazonで買うかどうかは別として、この中ではProGrade DigitalまたはSanDiskが評判が良いので第一候補になるのではないでしょうか。
SONYのUHS-II対応SDカードで選ぶと以下になります。
SF-G128T 128GB | 3.6万円 |
SF-M128T 128GB | 1.8万円 |
SF-M256T 256GB | 3.1万円 |
SONYストア価格(2022年2月調べ)

左:SF-M128T 右:SF-G64T
ソニーのSDカード「TOUGHシリーズ」には2種類あり、SF-GはV90規格の読書速度です。
一方のSF-MはV60規格で読書速度は若干劣ります。
SF-Gはこの記事を書いている時点で256GBが存在しません。SF-Mには256GBが用意されています。
容量・低価格重視ならSF-Mを選びたいところですが、V60規格なのが不安です。
特にメモリーカードの性能を求められそうなIntra-flameで収録する際にはV90を選ぶのが無難。フルHD LongGOPメインならV60でも良さそう。
うーん。Canon XF605は購入後も金食い虫になりそうな予感しかしません(苦)
電子部品の価格が高騰しているのでモタモタしていると価格改定するかもしれません。
ひとまずSF-G128TとSF-M256Tを追加することにします。
Canon XF605でシネマチックな画を撮れる?NiSiのフィルターを購入
Canon XF605はCanon Log3の記録やHDR収録にも対応しています。
画像引用:Canon XF605 公式
またCanon XF605はピクチャープロファイルのバリエーションとして従来のWide DRの他に、EOS StandardとEOS Neutralを追加し、EOSの一眼ムービー特有のコントラストを強めたカラープロファイルを追加しています。
とはいえセンサーサイズが小さいので背景ボケ等は弱く、Canon XF605だけでEOS R3のようなシネマチックな映像を撮影するのは難しいでしょう。
でも予算の都合でカメラ一台しか持っていけない場合、XF605だけで映像表現の幅を広げることができればかなり有利です。

NiSiフィルター BlackMist 1/4
そこでCanon XF605の描写力をカバーするために一眼ムービーユーザーに人気のNiSiフィルター BlackMist 1/4を購入することにしましたよ。
BlackMistフィルターはハイライトとシャドウ部分のコントラストが低くなり、やや霧がかかった幻想的な画像が撮れることで人気です。
作例を拝見すると画像や動画の編集ソフトでよくあるソフトフォーカス(ブラー)のような効果に似ていますが、ソフトウェアのエフェクトよりも雰囲気が良くてわざとらしさがありません。
細かな黒い拡散素材をフィルターガラスに点在させることによって、レンズが受ける光が回折してイメージセンサーに取り込まれることで独特の画質が得られるようになっています。
また、BlackMistフィルターはNiSi以外にもケンコー・トキナーやK&F Conceptでも取り扱いがあり、価格が安いので目移りしますが、NiSiは多くのビデオグラファーさんがお薦めしているのでちょっと高いけど買ってみることにします。
Nisi ブラックミスト 82mm 円形フィルター 濃度1/2 | 1万円弱 |
Nisi ブラックミスト 82mm 円形フィルター 濃度1/4 | 1万円弱 |
Nisi ブラックミスト 82mm 円形フィルター 濃度1/8 | 1万円弱 |
※価格はAmazon調べ
XF605のレンズフィルター径は58mmですが、一眼カメラにも流用できるようあえて82mmを選びます。

NiSiフィルター BlackMist 1/4をCanon XF605に装着
このためXF605に82mmのBlackMistフィルターを取り付けるにはステップアップリングが必要です。
過去にAmazonで購入したステップアップ&ステップダウンリングセットを用いることで、58mmから5段階にステップアップして82mmのBlackMistフィルターを取り付けることができました。
このような荒っぽいつけ方をするとケラレが発生することがありますが、XF605にはケラレが発生することなく使えることが分かりましたよ。
またブラックミストフィルターは1/2・1/4・1/8の3つの濃度から選ぶことになります。
フィルター効果が最も強いのが1/2で、レビューを見ると扱いが難しく白飛びしやすいという意見も見受けられ、レビューを参考に初心者が扱いやすいという1/4の濃度を選択しました。
気候が暖かくなればモデルさんにお願いして屋外で撮影検証してみようと思いますので追ってレポートします。
Canon XF605を出張ライブ配信に使ってみた感想
Canon XF605を出張ライブ配信で使用する予定があるので、その前準備をしてみました。

Canon XF605とライブ配信の機材
Canon XF605はHDMIとSDIの出力端子があり、ライブ配信ではどちらかを利用してCanon XF605の映像をスイッチャーに取り込みます。
HDMI(SDI)出力時に必ず実施する設定の中に、カメラのモニターに表示されている情報を外部出力するかどうかの設定があります。

Canon XF605とライブ配信の機材 画像拡大
これが正しく設定できていないと、配信する映像の上にカメラの設定情報が表示されて事故になってしまいます。
これまで使ってきたSONYの業務カメラでは映像の外部出力設定項目の中に情報表示のオンオフ設定がありましたが、Canonは少し違ったメニュー項目に含まれています。
取扱説明書を読んでも分からず、Canonサポートダイヤルに電話して確認しました。
「モニタリング設定」の項目を選択⇒「4」⇒「オンスクリーン表示」でSDIまたはHDMIを選び、入/切を選択することで、外部出力する映像のカメラ設定情報を消すことができます。

Canon XF605とライブ配信の機材
またCanon XF605は記録映像と外部出力映像で別々のフォーマットに設定することが可能です。
この機能は他の業務カメラでもありますが、そのバリエーションに制限があります。
例えば4K記録をしながら外部出力で1920Pしか選べない、720Pで出力できないといったケースがあります。
ライブ配信ではスイッチャーに複数のカメラ映像を入力する場合、フォーマットを統一する必要があります。
例えばZoom配信では720Pを求められることが多く、記録は1920×1080i(インターレース)で設定したいのに、その場合は映像出力で720Pを選べない、そもそも720P出力に対応していないという業務カメラがあります。
Canon XF605は記録と外部出力で異なるフォーマットにする際のパターンが他の業務カメラよりも豊富なので、ライブ配信用途で使うには非常に便利です。
Canon XF605の質問や、やってほしいこと募集します
Canon XF605の検証テーマを募集します。
予定では瞳検出と頭部検知AFの検証や、ゲインブースト機能使用時のノイズ量などを実際に撮影して検証してみようと思っています。
この他Canon XF605について知りたいことがあればこちらのお問い合わせフォームやtwitterにDMいただければ、回答いたしますのでぜひご連絡ください。
検証実施毎にこの記事に追記していきますのでぜひまたご覧いただけるようお気に入り登録していただけると嬉しいです!
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