この記事にはプロモーションが含まれています
エントリー
7.222023
ソニーワイヤレスマイクUWP-D11の使い方を解説するよ

※2023年7月に更新しました。
ソニーのワイヤレスマイクは映像制作者にとって定番中の定番アイテムで、ビデオグラファーの方なら一度は使ったことがあるはずです。
ところがワイヤレスマイクの使い方を隅々まで熟知している方は意外と少ないのではないでしょうか。
また、「ワイヤレスマイクは使えて当然」という暗黙の了解もあって、詳しい使い方の説明をしないまま渡されることも多く、私も現場で何度か困った経験があります。
利用されているワイヤレスマイクはソニーが大半を占めていますが、ソニーの中でもいくつかの種類があり、使い方が微妙に違います。
ここで使い方を解説する機種はUWP-D11という機種で2014年に発売された比較的新しいモデルです。
送受信機のモニターに黄色の枠があるのが特徴的なワイヤレスマイクです。
ここではソニーのワイヤレスマイク UWP-D11の使い方を解説します。
記事前半は「今撮影現場なんだけど使い方が分からない!」っていう緊急事態の方のためにとりあえずつなぐ方法から「音が出ない」などのエラーに対応する手順を。
後半はワイヤレスマイクUWP-D11のよくあるエラーの対処法や知っておきたい便利な機能を解説します。
じっくり使い方を知りたい方や購入前の方はソニーUWP-D11の取説を隅々まで読んでみてください。
ソニー ワイヤレスマイクロホンパッケージ UWP-D11の後継機 UWP-D21
目次
とりあえず今すぐ使いたい方向け!ワイヤレスマイク使用手順
今(撮影)現場!使い方が分からない。音が入らない!という緊急事態でとりあえず送受信機をつなげて音声が入る方法です。
赤外線送信(SYNC)で設定できる
ワイヤレスマイクは通常周波数を合わせて送信機と受信機の電波を繋げますが、UWP-D11は周波数を赤外線送信を使って自動で行えます。

UWP-D11の受信機(URX-P03)
まず受信機側の電源を入れます。
ワイヤレスマイクの受信機(URX-P03)はアンテナが二本備わっている方です。
電池が入っていることを確認して「POWER」を押し続けます。

UWP-D11の受信機(URX-P03)の画面説明
電源が入ってまず表示しているのは
①バッテリー残量
②ALL B〇
③周波数
になっています。

「-」ボタンを2回押して「AUTO SET」を選択
この状態で受信機の「-」ボタンを2回押して「AUTO SET」を選択します。
次に「SET」ボタンを長押しすると画面表示に「YES」が点滅表示されます。
この状態で「SET」を1回押すと受信機が周囲の電波を自動で読み取って、雑音が最も入りにくいチャンネルと周波数を探し始めます。

SYNC >点滅中に送信機の電源をON
受信機の画面に「SYNC>」が表示されるので、点滅している最中に送信機の電源を入れます。
送信機はアンテナが1本の「UTX-B03」です。

UTX-B03の電源ONで「SET」「POWER/MUTING」を同時押し
UTX-B03の電源を入れるときは「SET」を押しながら「POWER/MUTING」を押し続けます。
そして受信機と送信機それぞれに備わった赤外線受光部を隣り合わせにします。
すると送信機側(UTX-B03)のディスプレイに「SYNC? NO」と点滅表示されます。
この状態で送信機の「+」または「-」で「YES」に変更し、「SET」を押すと送信機と受信機の周波数がシンクロし、電波がつながります。
送信機と受信機が繋がったかどうか確認する

受信機側のヘッドホン端子で音声の受信を確認
受信機側のヘッドホン端子にイヤホンを差し込んで送信機側に接続したラべリアマイクが拾う音が聞こえるかどうか確認します。
赤外線送信できないときの対処法
イヤホンを指して音が聞こえない、またはノイズが入る場合は設定を間違っているかもしれません。
以下の方法を試してみてください。
周波数帯域を指定して設定する
撮影現場で無線を使ったマイクや音響機器が他にもあり、その電波がワイヤレスマイクUWP-D11の電波と干渉してノイズが入る場合があります。
その場合はもう一度チャンネルと周波数の設定を赤外線受信でやり直してみるか、または周波数を指定して送信機と受信機を繋げます。
周波数帯域を手動で合わせる前に、会場や音響の担当者の方に空いている周波数やチャンネルを確認します。
使用されていないチャンネルが分かれば指定して繋ぎます。
まずは受信機側の設定から。

周波数が表示されている状態を確認
「+」または「-」を押して周波数が表示されている状態にします。
そして「SET」ボタンを長押しすると、「ALL」が点滅するので「+」または「-」を押して「B-1」から「B-8」のいずれかを選択して「SET」を押します。

「B41~B46」を選ぶ
仮に「B-4」を選択して「SET」を押すと右のB〇〇が点滅し、「+」または「-」を押すと「B41~B46」のいずれかを選べます。
この中のどれか一つを選んで、送信機も同じ手順で受信機と全く同じチャンネルと周波数を選びます。
これで手動で周波数をリンクすることが出来ました。イヤホンで確認して音が聞こえるかどうか確認します。
ノイズが入る場合は他のチャンネルまたは周波数に変更します。
雑音が発生するときの対処法
ワイヤレスマイクの音は入っているけど「ザザッ」っという雑音が入る場合があります。
この場合は以下の方法で設定を確認・変更してみてください。
周波数帯域が同じかどうか確認する
まずは送信機と受信機のチャンネル・周波数が合っているか確認します。
風による雑音を防ぐ(ローカットフィルター)
まれに空調の風がラべリアマイクに直接当たってノイズが入る場合がります。
その場合はUWP-D11のローカットフィルター機能をオンにして空調音やホワイトノイズをカットすることが出来ます。
ローカットフィルターの設定は送信機(UTX-B03)側のみ設定すればOKです。

「+」または「-」を数回押すと「LCF」に
表示が点滅していない状態で「+」または「-」を数回押すと「LCF」があります。(工場出荷状態ではLCFの下にHIGHが表示されています)
これが表示されている状態で「SET」を長押しすると「HIGH」が点滅表示されるので「+」を押すとLOW/MID/HIGHが選べます。
カットできる周波数は4段階に設定できます。
OFF | フィルターOFF |
LOW | カットオフ周波数 100Hz |
MID | カットオフ周波数 150Hz |
HIGH | カットオフ周波数 200Hz |
音が聞こえないときの対処法
チャンネルと周波数を赤外線受信、または手動で合わせた後、全く音が聞こえないときの対処法です。
送信機と受信機のチャンネルが間違っていないか確認する
まず送信機と受信機のチャンネルと周波数が合っているか確認します。
ミューティング動作がオンになっていないか確認する
ここでは簡単に説明しますが、UWP-D11にはシンプルモードと拡張モードの2種類の操作モードが選べます。
拡張モードはUWP-D11に備わる全ての設定・操作が出来るようになっています。
ただし、ワイヤレスマイクUWP-D11は一般的な使い方をする限りでは拡張モードを使用する必要がありません。

「MENU MODE」で「SET」を長押し
シンプルモード/拡張モードの切替は「+」または「-」を数回押すと「MENU MODE」があるので表示している状態で「SET」を長押しして「+」または「-」を押すと「SIMPLE」または「ADVANCE(拡張モード)」を選びます。
送信機と受信機の両方を変更する必要があります。

送信機の「POWER/MUTING」を1回押すことで消音状態(ミューティング状態)に
拡張モードで使用する場合に限り送信機の「POWER/MUTING」を1回押すことで消音状態(ミューティング状態)となります。
拡張モードで音が入らない場合は誤操作で「MUTING」に切り替わっていないかまず疑いましょう。
送信機がライン入力になっている
UWP-D11は新品で購入した場合は初期設定でオーディオ入力レベルが「MIC」に設定されています。
UWP-D11は入力レベルを「MIC」で使用するのが一般的です。
「MIC」に設定していれば、赤外線で周波数を合わせればすぐに使うことが出来ます。
しかし、もしレンタルでUWP-D11を使う場合は前の使用者がLINE入力に切り替えていた場合、音が鳴らない可能性があります。
MIC入力に戻します。MIC入力は送信機(UTX-B03)の設定です。

「SET」を長押しして「+」または「-」を押せば「MIC」に切り替わる
「+」または「-」を数回押して「IN LEVEL」が「LINE」になっている場合、「SET」を長押しして「+」または「-」を押せば「MIC」に切り替わり、再度「SET」を押します。
音が聞こえているがかなり小さいときの対処法
音が聞こえているけど非常に小さい場合、チャンネルと周波数が合っているかまず確認してから以下の設定を確認します。
送信機がライン入力になっていないか確認
送信機がMIC入力ではなくLINE入力になっている場合に起こります。
前述したLINE/MICの切替をやってみてください。
送信機のアッテネーターの設定値が大きい
UWP-D11はマイクの収録音声が歪まないように送信機のアッテネーターが工場出荷時の設定で9dBになっています。

アッテネーターの設定
胸元にラべリアマイクを装着する場合は0dBが推奨されているので変更してみます。
追記
送信機のアッテネーターを試しに0で使ってみるとかなりボリュームが大きくなります。
工場出荷時の設定は意外と適正なのかもしれません。
それでも音が小さい場合は0または3dBまたは6dBに設定して調整してみてください。
音が歪む
音が大きすぎて歪む場合はチャンネル/周波数を合わせてからアッテネーターの設定値を変更します。
また、モノラルミニジャックのヘッドホンを使うと音が歪みますので、必ずステレオミニジャックのヘッドホンを使いましょう。
チャンネルの変更が出来ない
一旦電源をオフにして、SETボタンを押しながら電源をONにしてください。
受信機のRFインジケーターが点灯している
同じ部屋や施設で他の無線機が使用されている場合、同じ周波数で使うと電波妨害が起こります。

RFインジケーターが点灯している場合は要注意
RFインジケーターが点灯している場合は電波妨害が起こっている合図で、この場合はチャンネルと周波数を変更して使いましょう。
知っていると便利な機能
ここからの解説はUWP-D11をより快適に使うための機能です。
※拡張モードの場合のみ使用可能な設定です。
参考:拡張モードの設定方法
電池残量を正確に表示するには
使用している電池の種類に合わせて設定することで電池残量の正確性が高まります。

UWP-D11の電池残量を正確に表示するには
MENU MODE⇒「ADVANCED」に変更した拡張モードにし、「+」または「-」を数回押して「BATTERY」の項目にして「SET」を長押し、TYPE1・TYPE2・TYPE3の3種類から選べます。
TYPE1 | アルカリ乾電池 |
TYPE2 | 充電式ニッケル水素電池 |
TYPE3 | リチウム電池 |
拡張モードで最後に行った設定はシンプルモードに変更した後も設定が継続されるので、一度TYPE1~TYPE3のいずれか設定変更・確認してからシンプルモードで使うのが良いでしょう。
画面表示の濃度を変える
液晶ディスプレイの文字やアイコンの濃度を変更できます。

画面表示の濃度変更
送信機または受信機の「+」または「-」を数回押して「CONTRAST」に設定し、「SET」を長押し、1~10のいずれかを設定します。
※数字が大きいほど色が濃くなります。
電源ボタンをロックする
受信中に誤って電源がオフにならないようPOWERボタンをロックできる機能があります。
拡張モード時のみ使用できますが、拡張モードでロックしてシンプルモードに変更しても設定が継続されます。

電源ボタンをロック
拡張モード設定時に送信機または受信機の「+」または「-」を数回押して「PWR LOCK」に設定し、「SET」を長押し、「LOCK」または「UNLOCK」のいずれかを設定します。
工場出荷時は「UNLOCK」になっています。
「LOCK」に設定すると「POWER」ボタンを長押ししても電源がOFFになりません。
工場出荷時の設定に戻す
全ての設定を初期化し、購入時の状態に戻す事も可能です。
レンタルで利用する場合は最初に初期化するのがオススメです。
前回の使用者が複雑に設定を弄っていると、次に自分が使うときに困ることがありますからね。
レンタル業者さんが初期化を行ってくれていれば良いですが、そのままになっていることが多々あるので私はいつも初期化しています。
設定の初期化は拡張モード時にしか使えません。

工場出荷時の設定に戻すには
拡張モード設定時に送信機または受信機の「+」または「-」を数回押して「RESET」に設定し、「SET」を長押しすると「RESET OK?」が表示するので「+」または「-」を押して「YES」に設定して「SET」を押します。
エラーメッセージが表示された場合は?
液晶ディスプレイに以下の表示が現れた場合、修理が必要になります。
EEP ERROR
バックアップメモリーデータの異常です。ソニーのサービス窓口に連絡します。
PLL ERROR
PLLシンセサイザーの異常です。電源のオンオフで改善する場合がありますが、直らない場合はサービス窓口に連絡します。
NO TONE
受信機で設定したコンバンダーモードのエラーで音声信号がミュート状態になっています。
取説のコンバンダーモードを参考に、送信機と受信機のコンバンダーモードを同一にすることで改善します。
周波数リスト
ワイヤレスマイクUWP-D11は複数のワイヤレス機器を使用する環境で使う場合、混信しないようにグループ・チャンネルと周波数に配慮する必要があります。
使用する会場やセミナールームですでに使用されているワイヤレスマイクのチャンネルと周波数を調べ、UWP-D11では別のチャンネルになるよう設定し直します。
周波数リスト
この記事の最初に解説した赤外線送信(SYNC)で設定する方法はグループが「ALL」となっており、同時多チャンネル運用は考慮されていません。
複数のワイヤレス機を使う場合は上記の表を参考にグループ・チャンネル・周波数を離して設定しましょう。
ソニーワイヤレスマイクUWP-D11の使い方を解説するよ まとめ
こんな感じです。
この記事ではシンプルモードの設定を中心に、とりあえず現場でワイヤレスマイクUWP-D11を使用する方法からエラー時の解決方法をマニュアルをもとに解説しました。
拡張モードによる細かな設定はありますが、UWP-D11は周波数を合わせればとりあえず使用できます。
UWP-D11を業務用カメラに接続する方法やUWP-D11を購入するときに注意したいことについては以下のエントリーで解説しましたので、合わせて読んでみてください!
ソニー ワイヤレスマイクロホンパッケージ UWP-D11の後継機D21
動画クリエイター向けメルマガ配信中です