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10.62021
FlycamC5(フライカムC5)初心者のためのバランス調整方法

※2021年10月に更新しました。
前回のエントリー ステディカム FlycamC5を改造してみた! ではFlycamC5の改造について解説した。
このエントリーではFlycamC5 の改造がどうして必要なのか?
そして改造することによってどんな恩恵があるのか?
FlycamC5(フライカムC5)初心者のためのバランス調整方法も含めて、もう少し具体的に解説していきたいと思います。
念のためにお伝えしておきますが、私もステディカムの知識はそんなに深くはありません。
ここで記載する内容は私の備忘録でもあります。
ステディカムについてインターネット検索で調べついたものをまとめていますが誤っている部分もあると思います。
もしあなたがステディカムを理論的なアプローチで深く学びステディカム撮影を極めたいと思うなら、引用元のサイトも紹介していますので是非そちらも参考にしてください。
私も書きっぱなしにはするつもりはなく今後、間違いに気がついたら随時修正するつもりです。
スタビライザーの基本
スレッド型とマーリン型
ステディカムに代表的な商品でマーリン(steadycam merlin)があります。
これに対してFlycamC5またはGlidecam タイプのステディカムをスレッド型と呼ぶそうです。
スレッド型とマーリン型の特徴をそれぞれ簡単に述べてみますね。
スレッド型
業務用ステディカムの多くはスレッド型が主流です。スレッド型は改造・改良も簡単で、比較的簡単に安定したステディカム映像が撮影できます。
スレッド型でジンバル部分を上下自由に動かせることができるステディカムはドロップタイム(※)も調整しやすくて使いやすくなっています。
ステディカムの最高級品 SteadyCam Pilot や tango もジンバルの位置を上下に調整できるようになっています。
尚、Glidecamはジンバルを上下調整できません。FlycamC5はジンバルを上下調整できます。
2~3万円台のスレッド型ステディカムでジンバルを上下調整できるのはFlycamC5 だけであり、その点でもFlycamC5はバリュー価格ではないでしょうか。
けど、初心者でも比較的安定した映像が撮れるスレッド型にも一つ難点があります。
それはとても重いことです。
FlycamC5 はカメラを装着せずに5kg近くあります。
慣れないうちは一分も撮影すれば腕が痛くなるでしょう。
長時間撮影するには体を鍛えるしかありません。
マーリン型
これに対しマーリンタイプはとても軽量で、長時間の撮影でも無理なくできます。
慣れれば片手でもオペレーション出来るでしょう。
また、半分に折りたたむことができるので持ち運びしやすいのも便利です。
マーリンもバランス調整は比較的簡単です。
マーリンはスレッド型に比べると安定感は劣ります。
ステディカムは重いほど安定し、軽いほど揺れが目立つようになります。
また、マーリンは風に弱いという欠点があります。
風の強い屋外での撮影ではスレッド型に軍配が上がるでしょう。
ステディカム操作で主に解消したい3つの代表的な「揺れ」
ステディカムはマーリン型・スレッド型いずれも揺れを最小限におさえて滑らかな移動撮影をおこなう撮影補助機材です。
ステディカムで撮影をする際に、軽減したい「揺れ」についてそれぞれ解説します。
ピッチング
カメラを装着したステディカムを持って前に進もうとすると、カメラが上下に揺れます。この縦揺れをピッチングと呼びます。
この縦揺れはセッティングを完璧に行ってもかならず起こります。
ステディカムのオペレーションが上手くなればかなり解消することが可能ですが、全く揺らさないで撮影するのはプロでも難しいと言われています。
ローリング
ステディカムの操作中、左右に揺れるのがローリングです。
カメラを左右に振った時、ローリングが起きます。
軽量なステディカムは横揺れが起きやすいです。
スレッドタイプとマーリンタイプを比較すると、スレッドタイプのほうが比較的防ぎやすいです。
ヨーイング
カメラの向きが左右に振れてしまうことをヨーイングと言います。
ステディカムにカメラを装着し、実際に直進してみるとカメラの向きが風や空気抵抗で左右に振れてしまうのです。
この揺れがヨーイングです。
通常ステディカムの操作は両手で行います。
きき手でハンドルを持ち、もう一方の手をジンバル近くにそえてヨーイングを防ぎます。
ヨーイングはマーリンタイプよりもスレッドタイプのほうが顕著に起こりやすいです。
特にワイルドキャット2のように軽量なスレッドタイプはヨーイングが起こります。
FlycamC5では錘部分の長さを延長する改造を施すことでヨーイングがほとんど現れなくすることができます。
(追記:後継機種でFlycamC6が発売されています。FlycamC6では改造しなくても錘側の長さを延長できるのでこちらをお勧めします。)
この主な3つの揺れを解消するのがステディカムの役割です。
ローリング・ピッチング・ヨーイングはステディカムのバランス調整を万全にすることでかなり軽減することができるでしょう。
ステディカム初心者さんはとにかくセッティングを丁寧に行なうことをオススメします。
バランス調整が万全であればステディカムオペレーションの難易度はかなり低くなるでしょう。
FlycamC5の準備とバランス調整
①FlycamC5にカメラを取り付ける前にまず長さを調整します
FlycamC5では写真のツマミを緩めることでシャフトの長さを調整することができます。
スレッドタイプのステディカムは縦に長いほど揺れを防ぐことが可能です。
長すぎると歩きにくくなるので、自分の身長に合わせて歩きにくくならない程度にできるだけ長めに調整しましょう。
②カメラを装着する
では次にカメラを装着しましょう。
雲台を取り外してネジでカメラを取り付けます。
FlycamC5は一眼レフカメラはもちろん、業務用ビデオカメラも装着できます。
ステディカムはカメラの取り付けからバランス調整が始まります。
カメラを外すともう一度バランス調整が必要になります。
実際の撮影ではステディカムからカメラを取り外したくなることがあるでしょう。
その場合、何度もバランス調整をするのは面倒ですよね。
ステディカムユーザーの多くはこの面倒な設定を軽減するためにクイックシューを利用しています。
クイックシューをステディカムに取り付けることで撮影中カメラをいつでも取り外すことができるし、何度もバランス調整を行う必要がありません。
私はFlycamC5用にQRA-635LIIを購入しました。
過去のエントリーステディカム FlycamC5を組み立ててみた!でも紹介しているので是非参考にしてください。
③左右のバランスを調整する
まず左右のバランスを調整しましょう。
スレッドタイプはカメラを装着した雲台側の重心がちょうどシャフトの位置にくるように設定します。
FlycamC5はカメラ位置を左右前後に調整することができます。
一ミリ単位で調整することができるので、バランス調整をかなりシビアに追い込めます。
持ち上げてみて傾いていなければまず第一段階終了です。
では次に前後のバランス調整です。
まずはロックを緩めて前後にスライドさせてちょうどカメラが水平になるように調整します。
そして次に持ち上げたFlycamC5を回してみます。
カメラ雲台側の重心を完璧にとらえることができたら横揺れなくきれいに回るはずです。
まずはこの調整を完璧にしましょう。
④ドロップタイムの調整
錘側を左右どちらかに持ち上げてその手を放し、錘が真下に振れるまでの時間をドロップタイムといいます。
目安ではドロップタイムは1秒程度が良いとされています。
FlycamC5はジンバルを上下に調整することができます。
ジンバルを調整することでドロップタイムを変更することができます。
ジンバルの位置はどのように決定するのか?
重心部分にジンバルを設置するのではなく、重心部分よりもやや上にジンバルがくるように調整します。
参考:YouTubeスタビライザー 実践・応用編 これで完結
ジンバルが重心に近いほど、ドロップタイムが遅くなります。
ドロップタイムがおよそ1秒程度になるようジンバル位置を調整すると良いでしょう。
ドロップタイムの設定についてはこちらの動画も参考にしてみてください。
慣性モーメント
スレッドタイプであれば長さが長くなるほど慣性モーメントは大きくなって安定するとのことです。
私も完全に理解できているわけではないですが、体感として重いほど安定するというのは分かる気がします。
重いと操作が大変ですが身体を頑張って鍛えましょう(笑)
ステディカムで参考になるサイト一覧
ステディカムのセッティングについて参考にしたサイト・動画のリストです。
参考になると思いますので是非ご覧ください。
ステディカムの原理と製作
ステディカムオペレーターのトレーニング Training for Steadicam Operators
GLIDECAMの組み立て・調整方法のご紹介
ステディカム(カメラスタビライザー)の作動原理と理想型
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